関西支店 荻野純一
なぜだろう。青春はほんの一瞬なのに、思い出は一生色褪せない。夏の陽の下で白球を追った日々…あれはもう何十年前になるのか。あの頃は、練習中に水を飲むことはなぜかタブーだった。いま朝礼で毎朝、作業員に水分を十分とるよう繰り返し言っている自分を重ね合わせると、なにかおかしい。
夢の甲子園――近くに住んでいながら決して手の届かなかった場所。最後の夏は、府予選の3回戦で終わった。それもコールド負け。相手チームは、シードの甲子園常連校。くじ運が悪いのにも程がある。しかし、もしあのチームにあたっていなければ、ひょっとしてベスト16ぐらいには進めたかも…いやベスト16じゃやっぱり甲子園へは行けない。
会社に入ってからは、たまにビール片手に現場の仲間と阪神のナイター見物。しかし、やっぱり夏の高校野球は格別だ。観戦しているうちに、いつのまにか自分が高校生に戻っている。「打て! 走れ! どっちも負けるな!!」気がついたら、いい歳をして、泣いている。
そんな高校生の夏を見守る――「鹿島建設」