“女性が働きやすい職場環境を作ることは,女性に限らず誰にとっても働きやすい職場環境の創出につながる”――
当社はこうした考えのもと,「女性活躍推進」への積極的な取組みを通じ,
多様な人材が多様な働き方のできる「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現をめざす。
そして現在,当社では女性総合職の新卒採用が本格化した2006年入社前後の社員が役職に就きはじめ,
新たなステージでの活躍を見せている。
今月の特集では,当社の社外取締役の齋藤聖美ジェイ・ボンド東短証券代表取締役社長と女性役職者が集い,
これからの働き方について意見を交わした。
座談会出席者
さいとう きよみ
齋藤 聖美 取締役
ジェイ・ボンド東短証券代表取締役社長
1973年 慶應義塾大学経済学部卒業。
日本経済新聞社,ソニーに勤務したのち,1979年 ハーバード・ビジネススクールに留学。
1981年 同校卒業,MBA取得。
1984年 モルガンスタンレー投資銀行入行。
東京支店,ニューヨーク本社でエグゼクティブディレクターとして勤務。
1992年 独立し,コンサルティング会社を設立。
2000年 国債電子取引運営会社ジェイ・ボンド(現ジェイ・ボンド東短証券)設立,
代表取締役社長に就任。
2015年6月より当社取締役。
その他,大手企業の取締役を歴任,バスケットボール女子日本リーグ会長も務める。
すだ くみこ
須田 久美子 ダイバーシティ推進担当部長(司会)
土木管理本部 土木企画部
(兼務)人事部 ダイバーシティ推進グループ
1982年入社。技術研究所に配属。
22年間,コンクリートの耐震性や長寿命技術等の研究技術開発に携わる。
2005年 土木設計本部プロジェクト設計部橋梁グループ設計長。
2007年 東京土木支店裏高尾橋JV工事事務所副所長。
2009年 同支店中央環状品川線統括事務所五反田出入口工事事務所副所長。
2014年 同支店東京外環地中拡幅準備事務所所長。
その後も首都圏3環状道路の施工等に携わり,2017年6月 土木管理本部土木企画部
ダイバーシティ推進担当部長,兼人事部ダイバーシティ推進グループ。
まつもと まりえ
松本 麻里恵 課長代理
関東支店 営業部(建築担当)開発・PFIグループ
2006年入社。開発事業本部に配属。開発計画部で顧客不動産のコンサルタント業務等を担当。
2010年より2年間,日本経済研究所出向。
2012年 開発事業本部事業部でマンション開発等を経験。
2014年 同本部事業部事業課長代理。同年10月より育児休業。
2015年 同本部プロジェクト開発部開発企画課長代理。
新築案件の仕込み等を経て,2017年1月 関東支店営業部開発・PFIグループ課長代理。
市街地再開発事業に携わる。
しもやまだ かずこ
下山田 和子 工事課長代理
東京建築支店 明大中野中高建替計画工事事務所
2003年入社。建築設計エンジニアリング本部構造設計グループで3年間,
オフィスや生産施設等の構造設計業務を担当する。
2006年より5年間,関東支店建築設計部構造設計グループ。
2011年 東京建築支店生産計画部プロジェクト推進第1グループに異動し,施工関連業務に携わる。
2013年 課長代理。
2015年 同支店(仮称)IHI瑞穂工場エンジン組立場建設工事事務所工事課長代理。
2016年4月 同支店明大中野中高建替計画工事事務所工事課長代理。
さわだ あさこ
澤田 麻子 課長代理
東京建築支店 管理部総務グループ
2008年入社。海外支店管理部で研修後,2009年より3年間,
横浜支店中央建築営業所で現場事務を担当する。
2012年 海外土木支店契約リスク管理部。
2014年からはインドネシア・タンジュンプリオク出張所で海外現場の事務を経験する。
2016年 東京建築支店管理部現業グループ。
2017年4月 同支店管理部総務グループ課長代理。
たけのうち あやこ
竹之内 綾子 設計主査
土木設計本部 地盤基礎設計部鉄道・基礎グループ
2004年入社。土木設計本部に配属され,橋梁設計,地盤基礎設計を担当。
2008年より約2年半, 東京土木支店JR東北縦貫線工事事務所で施工管理を経験する。
2011年 土木設計本部に戻り,育児休業。
2013年 同本部設計管理部設計企画グループ。
2014年 育児休業。
2016年 土木設計本部地盤基礎設計部鉄道・基礎グループ。
2017年 設計主査。
これまでの経験の蓄積
須田 皆さん,本日はお集まりいただきありがとうございます。進行役を務めさせていただく須田です。入社36年目となりました女性土木技術者,いわゆる“ドボジョ”であります。技術研究所,土木設計本部を経て2007年からの約9年間,土木現場で橋やトンネルをつくってきました。今年6月から,ダイバーシティ推進担当として土木管理本部と人事部を兼務しています。
本日は,ジェイ・ボンド東短証券代表取締役社長であり,2015年6月から当社の取締役を兼任されている齋藤聖美様をゲストにお迎えし,若手役職者の皆さんが今抱いている志や課題を通して,これからの働き方について考えていきたいと思います。
齋藤 今日は鹿島の第一線で活躍されている皆さんの座談会に参加させていただけるということで,楽しみにして参りました。色々お話を聞かせてください。
須田 齋藤取締役は,様々な経歴の持ち主であり,日本を代表する女性実業家として大変著名な方でいらっしゃいます。我々女性陣にとって憧れの存在ですね。今日は,齋藤取締役からのアドバイスを存分に吸収していきましょう。
全員 宜しくお願い致します。
須田 本日参加の女性陣は,当社が各部門で女性総合職の新卒採用に本格着手した2006年前後に入社した社員です。皆さん,役職に就いて広く活躍されています。それでは,これまでの経歴を簡単に紹介してもらいましょう。
松本 私は2006年に入社し,開発事業本部でマンション開発や賃貸オフィスの運営管理,顧客不動産のコンサルタント業務等を担当してきました。途中2年間出向したシンクタンクでは,地方自治体に対する各種施策立案等に関わる調査・コンサルタント業務を経験しました。産休・育休を取得して,現在は大宮駅前の再開発事業の事業推進担当者として現地に常駐し,権利者対応をはじめ再開発に関わる業務全般を担当しています。
齋藤 私も不動産には少しご縁がありまして,外資系の投資銀行で不動産を担保にした資金調達やM&Aに関わる仕事をしていました。当時は女性など無縁な業界で,私が現場に行くと“おお…”といった空気が流れて,女性用トイレもなかったような時代でした。こうやって若い女性が活躍されるようになって,時代は変わったと実感します。
下山田 私は2003年入社で,現在の建築設計本部構造設計統括グループに3年間,次に関東支店の建築設計部に5年間在籍し,2011年,東京建築支店生産計画部に異動して,入社当初から希望していた施工系の業務に携わるようになりました。現在は2現場目となる「明大中野中高建替計画工事」で施工管理や設計対応を担当しています。男子校の中に女性がいるという,珍しい環境で仕事をしています。
須田 下山田さんは設計から現業部門に異動された,当社では珍しい経歴の持ち主です。
澤田 私は2008年,事務系で入社し,現在は東京建築支店の管理部総務グループで広報・文書・稟議・研修企画等を担当しています。入社1年目は,当時の海外支店で海外事務の仕事を勉強させていただきました。2年目からは横浜支店で建築現場の事務を3年間経験したあと,海外土木支店に戻り,2014年からはインドネシア・北ジャカルタ・タンジュンプリオクの高架道路現場に約2年常駐し,土木の現場事務を経験しました。
齋藤 それは貴重な海外経験でしたね。
須田 澤田さんは,アルジェリアの現場にも産業医面談の同行や業務支援に出張して,精力的に海外業務を担当しています。そして,竹之内さんも鹿島の“ドボジョ”の若手リーダー格として頑張っています。
竹之内 2004年入社の竹之内です。土木設計本部で4年間,橋梁や地盤基礎の設計を担当し,5年目から東京土木支店のJR東北縦貫線の建設工事に2年9ヵ月従事しました。2015年3月に開業した「東京上野ライン」です。神田駅周辺で新幹線の直上に線路を架ける難工事で,夜勤も経験しながら施工管理を担当しました。土木設計本部に戻ってからは子供を2人出産し,2度の産休・育休を取りまして,昨年4月からは同本部の地盤基礎設計部鉄道・基礎グループに復帰し,鉄道高架橋の設計照査や基礎構造物の設計を担当しています。
女性が働く環境の変化
須田 10年選手ともなると色々な経験を積んできて頼もしい限りです。皆さん,やはり入社してからの約10年間で女性が働く環境は変わってきたと感じますか?
澤田 とても感じます。入社10年目になりますが,総合職の女性の数が増えたことを実感します。当時はどこに行っても「ここでは第1号の女性総合職」と紹介されていまして,特別扱いされている感じに戸惑うことも多かったです。今は周りにも違和感なく接していただけるので,この10年で女性総合職の地位が確立されたことを改めて感じます。
須田 なるほど,確かにそういう空気はありましたね。
下山田 現場もそうですね。女性の現場監督がいても,前ほど驚かれることはなくなりました。職場環境も10年前とはだいぶ変わりました。私は入社は設計部ですが,当時から現場でのトイレ問題は大きかったです。ロッカーもなかったですし,トイレはお客様のところを使わせていただいたりという環境だったので,今は恵まれていると思います。
須田 そうでしたね。政府の成長戦略により,2014年以降「女性活躍推進」が一気に加速しました。当社では職場環境の改善・整備をはじめ,関連制度・各種研修の見直しや拡充,また技術系女性社員・女性管理職を5年で倍増,10年で3倍にする自主行動計画を策定し,2015年には人事部内にダイバーシティ推進グループを設置して積極的に取り組んでいます。
松本 私は育休から復帰する前に「出産前後の女性総合職向け研修」を受けました。先輩の経験談や他業界の動向などを知ることができただけでなく,育児と仕事の両立について,社内で同じ不安を持っている人たちと情報を共有できて有効な研修でした。
竹之内 「女性総合職キャリア研修」も女性の働き方について,専門家の講演や先輩方からのアドバイスをいただけ,懇親会などの意見交換の場もあり有意義でした。
下山田 鹿島の女性技術者と協力会社の女性技能者が中心となって,女性の目線で建設現場の職場環境を改善しようという「鹿島たんぽぽ活動」も土木・建築の現場が各々工夫して活動しているようです。
竹之内 現場の規模や女性の数によって取組み方は様々ですが,ここ数年で現場の職場環境が大きく改善されたと思います。
齋藤 女性の意見が反映された職場環境であれば,とても働きやすくなりそうですね。それによって,男性の方たちもよくなるわけでしょう?
須田 そうなんです。建設業は次世代の担い手不足が深刻化しており,若い作業員の確保にも職場環境の改善は大変重要です。
齋藤 先程,澤田さんがいつも“第1号”だという話をされていましたけれど,皆さんは鹿島の女性総合職のパイオニアなわけですから,ロールモデルがいないので苦労されてきたと思いますが,「女性を迎える」周りの男性上司や同僚も情報や経験が乏しく,まだ戸惑うことが多いと思います。
須田 そうですね。女性の部下をもつ男性管理者を集めた「上司セミナー」等を開催し,男性現場所長などの教育にも力を入れています。最近は,「鹿島たんぽぽ活動」に積極的な現場所長などを,“イク(育)ボス”と呼んで,現場全体で職場環境の改善に取り組んでいます。
齋藤 よい雰囲気になってきましたね。
澤田 少し話は変わるのですが,海外経験の中で,女性としてのハンディキャップがどうしても乗り越えられなかったことがひとつありました。インドネシア駐在時の話ですが,私は基本的に男性と同じ条件でいいと思って現地に乗り込んだのですが,衣食住の住のところでセキュリティが甘いと感じる出来事が起こりました。その時は,上司に相談して住居を替えてもらいましたが,これからもこういうことが付きまとうのかなと感じてしまいます。
須田 それは,働き続けるためには重要な視点です。それに,澤田さんがそこに行くまで,周りは女性が住むには難しい環境であることに気がつかなかったわけですよね。
澤田 出張で泊まったことはあったのですが,いざ住んで仕事をしてみると,そうはいかなかったです。
齋藤 これもやはり先程申し上げたパイオニアならではの苦労ですよね。澤田さんの経験によって,次に続く女性社員にとって安全な環境を整えてあげることができたということです。
ライフイベントとキャリアメイクの両立
須田 皆さんは,キャリアメイクのために自らが努力して取り組んだという経験はありますか。
下山田 私は父が屋根瓦の職人だったので,施工系の仕事をしたいと学生時代から思っていました。しかし,就職活動当時は,施工系での女性の採用はほぼないに等しかったため,まずは設計で経験を積んだあとに,現場に出ようと考えていました。折に触れて,上司や周囲の方々には現場希望をアピールしていたのですが,そういった女性の前例もないですし,まだ施工系女性総合職の定期採用もない時でしたので,苦戦しました。そこで,少しでも私の本気を会社に伝えたいと思い,施工系の資格を数多く取りまして,現在に至っています。
須田 自ら努力して勝ち取った夢ですね。
澤田 私も,入社前から海外で仕事をするという目標は変わっていません。ずっと一貫してイメージしている将来のなりたい姿があるので,常にその目標のために何をすべきかを考えて行動しています。今は全然違う国内の仕事をしていますが,それが決して無駄だとは感じていません。目標への通過点として,色々な人と面識を持ちながら多くのことを吸収したいと思っています。
竹之内 一貫して変わらない目標があるなんて,かっこいいですね。私は,この座談会のお話を受けた時,現場勤務の頃に「現場で働く女性」として受けた取材の記事を読み返してみました。そこには,現場がすごく楽しいと感じている自分がいて,育児で一旦現場を離れるかもしれないけれど,また現場に出たいと話しているんですね。当時,私はこんなことを考えていたのかと思い出して,また現場に行きたくなってきました。
須田 この座談会が,自分のこれからの働き方を考える気づきになったのであれば嬉しいです。
竹之内 いつか現場で働くということを念頭に置きながら,現場で今の設計経験が生かせるように技術力を身に付けたいと思っています。一歩先を見越して,自分のステップアップを考えることは大切だと感じました。特に,子供が生まれると自分の時間が少なくなるので,資格は早めに取っておいた方がいいと思います。
松本 私もそれは思います。やはり,子供が生まれてから生活が変わりまして,とにかく時間がないので,何事においても常に先読みをして取捨選択して行動するよう心掛けています。また,復職後,想像以上に上司や同僚とコミュニケーションを図る時間が限られることが課題と感じており,夜の時間が取りづらい分,ランチミーティングなどで情報共有できる機会が増えるといいなと思っています。
竹之内 私は5年間設計業務から離れていたブランクを取り戻すためにも,もっと仕事をしたいのに,育児で業務時間が限られるという状況です。周りの方々は優しい言葉をかけてくださるので恵まれていると感じますが,「どうしたらもっと仕事ができるか」ということを一緒に考えていただけたら,とても嬉しいです。
松本 私も仕事では,例えば「フレックスで何時までに帰らなければならない」ですとか,「この日は子供のお迎えがあるので行けない」といったマイナス点を主張するのではなく,「自分はこの時間内に何ができます」「何をやっていきたいと思っています」といったことを周囲にも伝えながら,プラスの方向で取り組むように意識しています。それは女性に限ったことではないのかもしれませんが,育児中ということに甘えずに,積極的にメリハリのある働き方をしていきたいです。
齋藤 女性はタイムマネジメントの達人だと思います。そうじゃないと,子育てしながら仕事をするのは不可能ですよね。男性はその点,タイムプレッシャーがあまりないように思います。もっと女性を見習ってタイムマネジメントすると,ワークライフバランスなど自然とできてくるのではないかなといつも思っています。是非,この方たちをモデルに男性も学んでほしいですね。
これからの働き方
須田 皆さん役職にも就かれて,これからの働き方について色々と考えることが多くなったのではないでしょうか。ひとつ新しい話題として,現在,人事部が「働き手確保」と「職場の繁忙緩和」という観点から,特性に応じた柔軟な働き方の推進を検討しており,その一環として,竹之内さんが期間限定で在宅勤務のトライアルに協力することになりました。
竹之内 そうなんです。もう少し柔軟な働き方ができないかと常々考えていました。人事部主催の「女性総合職キャリア研修」の時にこの話をしてみたことがきっかけで,今回,在宅勤務のトライアルに協力させてもらうことになりました。
須田 人事部でも竹之内さんから色々と課題を抽出してもらい,今後の働き方改革の参考にしたいと考えています。
齋藤 うちの会社は,社員の半分が中国人なのですが,お子さんの体調不良などによる保育園からのお迎えの電話は全員男性にかかってきます。お国柄なのだと思いますが,彼らは仲間うちでお互いに仕事の調整をしながらフレックスなどを活用し,働きやすくなるように工夫しています。このように,多様な職場のカルチャーがあるので,鹿島も色々な制度を男女隔てなく利用できる空気が浸透するといいですね。
松本 今後管理者として仕事をしていく上で,どう取り組んでいけばいいのか最近悶々と考えていまして,これまでとは意識を変えていかなければと思っているのですが。
齋藤 役職に就くと働き方も変わってきますよね。平社員の時はがむしゃらに仕事をして期待以上の成果をあげて評価されるというのが正しい働き方ですが,役職者が同じ働き方をしては駄目です。男性の場合は,先輩の姿を見て割と上手く変わっていくのですが,女性の場合は自覚して働き方を変えていかないといけないと思います。
下山田 私も2年前に初めて部下が付いたのですが,どう仕事を割り振っていいのか悩みます。私の意図することを伝え切れないことが多く,いつも時間に追われて仕事をしていると自分でやった方が早いと思ってしまい,上司にそれでは駄目だとよく注意されます。
須田 私も同じタイプだったのですが,現場に出てからは部下に任せることを学びました。部下を信じて,成果を出すことをじっくりと待つ姿勢でいれば,相手も期待に応えたいというモチベーションが生まれてくるものです。人を上手にマネジメントしていくことも,役職者としての大切な業務のひとつです。そこに,やりがいを感じるようになってくる日が来るのではないでしょうか。
齋藤 我慢のしどころですね。皆さん,今がターニングポイントだと捉えて頑張って欲しいです。
ネットワークを深める
澤田 齋藤取締役はキャリアを積まれてきた中で,“ガラスの天井”を感じたことはありますか?
齋藤 皆さんの話をうかがっていると,30年遅く生まれたかったなと羨ましく思います。私の頃は,女性は結婚してすぐに会社を辞めるという時代でしたから,これ以上ここにいてもキャリアアップは望めないという限界を感じたら,転職するしか方法がなかったですね。私の転職歴が多いのは,そのためです。
澤田 今,私は一般に言われる“ガラスの天井”を感じているわけではないのですが,やはり女性のロールモデルがいないので,今後のキャリアが見えてこないところに漠然とした不安を感じています。
下山田 私も今の現場が終わったあと,どういう選択肢を選ぶべきなのか悩んでいます。施工系で女性の先輩はいませんし,2006年以降に入った施工系女性総合職の方たちにも聞いてみたいのですが,なかなか交流する機会もありません。
須田 土木は,「土木技術者女性の会」というネットワークがありまして,産学官横断で女性技術者が集い,様々な活動を展開しています。当社の社員も多数参加しているので,多くのロールモデルに接する機会があるという点では恵まれていますね。
齋藤 皆さん,ロールモデルがいないことを不安に感じている方が多いですね。でも,須田さんだってご自身が現場に憧れて所長にまでなられて,“ガラスの天井”を自分で突き破っていらっしゃる。皆さんも,お話を聞いていると,ちゃんとご自身の夢があって,それに向かって突き進んでいるじゃないですか。ただ一般的に女性は真面目すぎ,責任感が強すぎるきらいがあります。なんでも自分ひとりで頑張ろうとせず,うまく周囲の人たちを動かしながら戦略的に仕事をしていくと,視野も広がり新たな働き方が見えてくるのではないでしょうか。
須田 とても参考になりました。今日は,この座談会を通じて様々な思いを共有することができました。これからは,職種の枠を超えて鹿島で働く女性社員たちのネットワークをより太く頑丈なパイプでつなぎ,新たな働き方を創っていきましょう。
齋藤 是非今後も,色々な形で皆さんと交流できることを楽しみにしています。
全員 今日はありがとうございました。
(2017年7月7日,本社にて収録)