鹿島建設サステナビリティ・
リンク・ボンド plus
本発行の目的及び背景2024年9月4日発行
当社グループは、事業活動や中期経営計画における施策と、SDGsをはじめとした社会課題との関連性を整理し、社会課題の解決と当社グループの持続的成長を両立させるためのマテリアリティ(重要課題)として7項目を定めています。これらのうち「脱炭素・資源循環・自然再興への貢献」に関しては、環境への取組みの基本として2013年に策定した「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を見直し、2024年に「鹿島環境ビジョン2050plus」として改定しました。3つの分野「脱炭素」「資源循環」「自然再興」が相互に関連しあっている(相乗効果・トレードオフ)ことを認識したうえで、2050年カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの実現に向けたグループの目標や行動計画を再構築しています。
2050年カーボンニュートラル(スコープ1・2・3)の実現に向けては、2030年度におけるグループ全体のCO2排出量を、スコープ1・2では2021年度比42%削減、スコープ3では2021年度比25%削減としました。この目標値についてSBTi(Science Based Targets Initiative)から1.5℃水準のSBT(Science Based Targets)認定を取得しています。
また、2050年にサーキュラーエコノミーを実現すべく、KPIに「再生材使用率」及び「建設廃棄物再資源化等率」を採用しました。「再生材使用率」の目標値は、2026年度40%、2030年度60%とし、「建設廃棄物再資源化等率」の目標値は、2026年度97%、2030年度99%としております。
加えて、保全活動が中心の「自然共生」という考え方をより積極化し、生物多様性の損失を止め、反転させる「自然再興=ネイチャーポジティブ」の考え方を採用しました。自然再興の定量化はまだまだ発展過程にあると認識していますが、現時点の目標として、2026年度までに顧客/社会へのNbS(注1)提供(環境認証・外部表彰等取得)10件/年、2030年度までに顧客/社会へのNbS提供(環境認証・外部表彰等取得)累計100件と設定しました。
当社グループは今後も、2050年度目標の達成に向け、建設現場での生産性の向上や効率的な設計による省エネ、再エネ電力等による電力の脱炭素化、バイオ燃料等による燃料の脱炭素化、低炭素建材の開発/使用、「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の普及、再生材利用・サステナブル調達拡大、建設廃棄物の再資源化技術の開発/普及、設計での生物多様性等の提案、顧客や地域と連携した活動の拡大等の諸施策を推進し、持続可能な社会の実現に向けて積極的に貢献してまいります。
このような環境保全と経済活動が両立する持続可能な社会の実現に向けた取組みをファイナンスの側面からも推進すべく、当社は第2回のサステナビリティ・リンク・ボンド「鹿島建設サステナビリティ・リンク・ボンド plus」(注2)を発行しました。
当社の「鹿島建設サステナビリティ・リンク・ボンド plus」フレームワークの詳細につきましては、以下を併せてご参照ください。
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(注1)
「NbS(Nature-based Solutions)」とは、自然の機能を活用して社会的課題に対処する取組みをいいます。KPI3においては、顧客・社会のネイチャーポジティブ実現に貢献する環境認証を取得した建設プロジェクト等の件数をNbS提供件数として算定します。
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(注2)
当社は2023年3月に初めてのサステナビリティ・リンク・ボンド(通称:「鹿島建設サステナビリティ・リンク・ボンド」)を発行しましたが、今般、「鹿島環境ビジョン2050plus」を策定したことに伴い、新たなフレームワークに基づくサステナビリティ・リンク・ボンドの通称を「鹿島建設サステナビリティ・リンク・ボンド plus」といたしました。
当サステナビリティ・リンク・ボンドの概要
名称 | 鹿島建設株式会社 第49回無担保社債 (社債間限定同順位特約付)(サステナビリティ・リンク・ボンド) |
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別称 | 鹿島建設サステナビリティ・リンク・ボンド plus |
条件決定日 | 2024年8月29日 |
発行日 | 2024年9月4日 |
発行総額 | 200億円 |
発行年限 | 5年 |
発行利率 | 年0.795% |
KPI |
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SPTs |
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判定日 | 2027年8月末日 |
債券の特性 | いずれかのSPTsが未達成の場合、本サステナビリティ・リンク・ボンドの償還後1年以内に、排出権クレジット購入又は寄付のいずれか、又は排出権クレジット購入と寄付を組み合わせて実施します。各SPTsが未達成の場合の排出権クレジット購入額又は寄付額は以下のとおりです。
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主幹事 | 大和証券株式会社、SMBC日興証券株式会社、 野村證券株式会社、みずほ証券株式会社 |
Structuring Agent |
大和証券株式会社 |
取得格付 | A+(株式会社格付投資情報センター) |
関連するSDGs |
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サステナビリティ・リンク・ボンドとしての適合性について
当社は、本発行にあたり、サステナビリティ・リンク・ボンド発行のために国際資本市場協会(ICMA)が定める「サステナビリティ・リンク・ボンド原則(Sustainability-Linked Bond Principles)2024」(注3)及び環境省が定める「サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)」(注4)に即したサステナビリティ・リンク・ボンド plusフレームワークを策定するとともに、株式会社格付投資情報センターから、サステナビリティ・リンク・ボンド plusフレームワークが両者に適合する旨のセカンドオピニオンを取得しております。
なお、本フレームワークに係る第三者評価を取得することに関し、環境省の「令和6年度グリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業(脱炭素関連部門)」(注5)の補助金交付対象となることについて、発行支援者である株式会社格付投資情報センターは、一般社団法人環境パートナーシップ会議より交付決定通知を受領しております。
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(注3)
「サステナビリティ・リンク・ボンド原則(Sustainability-Linked Bond Principles)2024」とは、国際資本市場協会(ICMA)が2024年6月に公表したサステナビリティ・リンク・ボンドの商品設計、開示及びレポーティング等にかかるガイドラインをいいます。
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(注4)
「サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)」とは、サステナビリティ・リンク・ボンド原則との整合性に配慮しつつ、市場関係者の実務担当者がサステナビリティ・リンク・ボンドに関する具体的対応を検討する際に参考とし得る、具体的対応の例や我が国の特性に則した解釈を示すことで、我が国におけるサステナビリティ・リンク・ボンド市場の健全かつ適切な拡大を図ることを目的に、環境省が2022年7月に策定・公表したガイドラインをいいます。
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(注5)
「令和6年度グリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業(脱炭素関連部門)」とは、グリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ボンド等を発行しようとする企業や地方公共団体等に対して、外部レビューの付与、グリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ボンド等フレームワーク整備のコンサルティング等により支援を行う登録発行支援者に対して、その支援に要する費用を補助する事業です。対象となるサステナビリティ・リンク・ボンドの要件は、脱炭素関連部門においては、国内のエネルギー起源CO2の排出削減(国内脱炭素化)に資するKPIが一つ以上含まれていること、サステナビリティ・リンク・ボンド等フレームワークがガイドラインに準拠することについて、資金調達完了までに外部レビュー機関に確認されること等とされています。
当サステナビリティ・リンク・ボンドに関する投資表明
当サステナビリティ・リンク・ボンドへの投資表明をしていただいた投資家をご紹介いたします。
投資表明投資家一覧
- 青い森信用金庫
- アセットマネジメントOne株式会社
- 石川県信用農業協同組合連合会
- 株式会社岩手銀行
- 大阪信用金庫
- かながわ西湘農業協同組合
- 北おおさか信用金庫
- 株式会社高知銀行
- 神戸信用金庫
- 学校法人十文字学園
- 城南信用金庫
- 住友生命保険相互会社
- 第一フロンティア生命保険株式会社
- 株式会社筑邦銀行
- 銚子商工信用組合
- 東京海上アセットマネジメント株式会社
- 東京ベイ信用金庫
- 東春信用金庫
- 東濃信用金庫
- 長野信用金庫
- 西三河農業協同組合
- ニッセイアセットマネジメント株式会社
- 日本地震再保険株式会社
- 萩山口信用金庫
- ブラックロック・ジャパン株式会社
- 三菱UFJ信託銀行株式会社
- 株式会社武蔵野銀行
レポーティング
当社は設定したKPIの実績とSPTsに対する達成状況について、以下の内容を当社ウェブサイトにて年次で開示します。
項目 | レポーティング内容 | レポーティング時期 |
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KPIの実績 | 各年度におけるKPIの実績 | 当サステナビリティ・リンク・ボンドの発行の翌年度を初回とし、以降償還まで年次で公表 |
重要な 情報更新等 |
SPTs達成に影響を与える可能性のある情報(サステナビリティ戦略の設定・更新等) | 適時に公表 |
排出権の 購入又は 寄付の詳細 |
排出権クレジット購入:排出権クレジットの名称、移転日及び購入額 寄付:寄付先の名称、選定理由、寄付額及び寄付実施予定時期 |
適時に公表 |