鹿島建設サステナビリティボンド
本発行の目的及び背景2022年3月8日発行
当社グループは、社会課題の解決と持続的な成長を両立させるための7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、事業活動を通じた課題解決に向けた取組みは、SDGsの達成に貢献しています。
マテリアリティのうち「脱炭素社会移行への積極的な貢献」に関しては、2013年に環境への取組みの基本として「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を策定し、Zero Carbon、Zero Waste、Zero Impactの達成に向けた取組みを積極的に推進しています。
2021年5月には「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を見直し、新たなCO2排出量削減目標として、2013年度比で2030年度に50%削減、2050年度にはカーボンニュートラル(100%削減)を設定しました。CO2排出量の削減計画では、現場から排出されるCO2の削減(スコープ1、2)と、カーボン・オフセットの2つの取組みにより、事業規模を拡大させつつ2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すとともに、2023年度中のSBT(Science Based Targets、温室効果ガス削減目標に関する国際認証)取得を目指しています。
自社の事業範囲の上流である建材の製造段階や、下流である引渡し後の建物運用段階といったサプライチェーン(スコープ3)についても、低(脱)炭素材料の開発・使用や、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)など省エネ建物の設計・施工などで、CO2削減に積極的に取り組んでいます。
また同じく、「新たなニーズに応える機能的な都市・地域・産業基盤の構築」や「安全・安心を支える防災技術・サービス提供」に対しては、R&Dの分野において、ウェルネス空間などの新しい価値を持つスマートビルの構築に向けた研究に加え、マルチハザードに対する評価と評価に基づいた対応、対策技術の構築が重要と考え、そのための膨大なデータや高度シミュレーション技術を駆使して、安全・安心を支える防災技術・サービスの提供につながる開発を推進しています。
「たゆまぬ技術革新と鹿島品質へのこだわり」や「人とパートナーシップを重視したものづくり」に対しては、自動化施工技術による工程最適化や、自律機能強化のためのシミュレーション・AI開発、スマート生産に向けたロボット化をはじめ、遠隔化やデジタル化を核とした多くの要素技術の開発を推進しています。
今般、このような環境やR&Dに関する当社グループの先進的な取組みを幅広いステークホルダーの方々にご認識いただくべく、当社はサステナビリティボンドを発行しました。
今回のサステナビリティボンドの発行を通じて調達した資金は、鹿島環境ビジョンに即した再生可能エネルギーに貢献するSEP船の建造やグリーンビルディングの建設、サステナビリティに貢献するR&D推進に向けた施設・機器の設置購入に充当され、本発行を通じて、脱炭素社会移行を含めた社会的課題解決への積極的な貢献をしていきたいと考えています。
本発行に至る、当社におけるストーリー及びフレームワークの詳細につきましては、以下をご参照ください。
サステナビリティボンドの概要
名称 | 鹿島建設株式会社第47回無担保社債 (社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド) |
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別称 | 鹿島建設サステナビリティボンド |
条件決定日 | 2022年3月2日 |
発行日 | 2022年3月8日 |
発行総額 | 100億円 |
発行年限 | 5年 |
発行利率 | 0.250% |
資金使途 |
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主幹事 | SMBC日興証券株式会社、大和証券株式会社 野村證券株式会社、みずほ証券株式会社 |
Sustainability Bond Structuring Agent |
SMBC日興証券株式会社 |
取得格付 | A+(株式会社格付投資情報センター) |
サステナビリティボンドとしての
適格性について
当社は、サステナビリティボンドの発行のために、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2021」(注1)、「ソーシャルボンド原則(Social Bond Principles)2021」(注2)、「サステナビリティボンド・ガイドライン(Sustainability Bond Guidelines)2021」(注3)、環境省の「グリーンボンドガイドライン2020年版」(注4)及び金融庁の「ソーシャルボンドガイドライン」(注5)に即したサステナビリティボンドフレームワークを策定しました。
サステナビリティボンドに対する第三者評価として、株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から、当該フレームワークが「グリーンボンド原則2021」、「ソーシャルボンド原則2021」、「サステナビリティボンド・ガイドライン2021」、「グリーンボンドガイドライン2020年版」及び「ソーシャルボンドガイドライン」に適合する旨のセカンドオピニオン(注6)を取得しております。
また、本社債の発行に当たって第三者評価を取得することに関し、環境省の「令和3年度グリーンボンド等促進体制整備支援事業」(注7)の補助金交付対象となることについて、発行支援者たるR&Iは一般社団法人グリーンファイナンス推進機構より交付決定通知を受領しました。
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(注1)
「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2021」とは、ICMAが事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)により策定されているグリーンボンドの発行に係るガイドラインをいい、以下「グリーンボンド原則」といいます。
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(注2)
「ソーシャルボンド原則(Social Bond Principles)2021」とは、ICMAが事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)により策定されているソーシャルボンドの発行に係るガイドラインをいい、以下「ソーシャルボンド原則」といいます。
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(注3)
「サステナビリティボンド・ガイドライン(Sustainability Bond Guidelines)2021」とは、ICMAにより策定されているサステナビリティボンドの発行に係るガイドラインをいい、以下「サステナビリティボンド・ガイドライン」といいます。
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(注4)
「グリーンボンドガイドライン2020年版」とは、グリーンボンド原則との整合性に配慮しつつ、市場関係者の実務担当者がグリーンボンドに関する具体的対応を検討する際に参考とし得る、具体的対応の例や我が国の特性に即した解釈を示すことで、グリーンボンドを国内でさらに普及させることを目的に、環境省が2017年3月に策定・公表し、2020年3月に改訂したガイドラインをいいます。
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(注5)
「ソーシャルボンドガイドライン」とは、ソーシャルボンド原則との整合性に配慮しつつ、発行体、投資家、その他の市場関係者の実務担当者がソーシャルボンドに関する具体的な対応を検討する際に参考となるよう、いわゆる先進国課題を多く抱える我が国の状況に即した具体的な対応の例や解釈を示すことで、ソーシャルボンドの社会的な効果に関する信頼性の確保と、発行体のコストや事務的負担の軽減との両立につなげ、我が国においてソーシャルボンドの普及を図ることを目的に、金融庁が2021年10月に策定・公表したガイドラインをいいます。
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(注6)
セカンドオピニオンとは、企業等が定めるサステナビリティボンドのフレームワークが、サステナビリティボンド・ガイドライン等に適合していることを評価するものをいいます。
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(注7)
「令和3年度グリーンボンド等促進体制整備支援事業」とは、グリーンボンド等を発行しようとする企業や地方公共団体等に対して、外部レビューの付与、グリーンボンド等フレームワーク整備のコンサルティング等により支援を行う登録発行支援者に対して、その支援に要する費用を補助する事業です。対象となるグリーンボンド等の要件は、グリーンボンドの場合は調達した資金の全てが、サステナビリティボンドの場合は調達した資金の50%以上がグリーンプロジェクトに充当されるものであって、かつ発行時点において以下の全てを満たすものとなります。
- (1)
グリーンボンド等の発行時点で以下のいずれかに該当すること
- ①主に国内の脱炭素化に資する事業(再エネ、省エネ等)
- 調達資金額の半分以上又は事業件数の半分以上が国内の脱炭素化事業であるもの
- ②脱炭素化効果及び地域活性化効果が高い事業
- 脱炭素化効果:国内のCO2削減量1トン当たりの補助金額が一定以下であるもの
- 地域活性化効果:地方公共団体が定める条例・計画等において地域活性化に資するものとされる事業、地方公共団体等からの出資が見込まれる事業等
- (2)
グリーンボンド等フレームワークがグリーンボンドガイドラインに準拠することについて、発行までの間に外部レビュー機関により確認されること
- (3)
いわゆる「グリーンウォッシュ債券(実際は環境改善効果がない、又は調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、グリーンボンド等と称する債券)」ではないこと
当サステナビリティボンドに関する
投資表明
当サステナビリティボンドへの投資表明をしていただいた投資家をご紹介いたします。
投資表明投資家一覧
- 株式会社鹿児島銀行
- 岐阜信用金庫
- 株式会社京都銀行
- 株式会社小糸製作所
- 甲府信用金庫
- 住友生命保険相互会社
- 第一フロンティア生命保険株式会社
- 大同火災海上保険株式会社
- 株式会社筑邦銀行
- 東京海上日動火災保険株式会社
- ニッセイアセットマネジメント株式会社
- 株式会社八十二銀行
- ヒロセ電機株式会社
- 株式会社北洋銀行
サステナビリティプロジェクトの概要
当社は、現在建造中の「SEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船(以下、SEP船)」の建造資金、並びにシンガポール共和国チャンギビジネスパークにおいて建設中の「The GEAR」の建設資金と併せ、「The GEAR」において推進するR&D(研究技術開発)の施設・機器の設置購入に要する新規投資及びリファイナンスを使途とするサステナビリティボンド(鹿島建設サステナビリティボンド)を発行いたしました。
資金使途(1)
名称 | SEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船 |
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投資額 | 約185億円(鹿島建設持分 約55億円) |
完成時期 | 2022年9月(稼働開始:2023年4月)(予定) |
設計・建造 | 基本設計:GustoMSC社(オランダ) 建造:PaxOcean Engineering社(シンガポール) 主クレーン:Huisman社(オランダ) |
稼働予定期間 | 12年間 |
稼働予定場所 | 日本国内 |
特徴 |
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関連するSDGs |
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資金使途(2)
建物名 | The GEAR(Kajima Lab for Global Engineering, Architecture & Real Estate) |
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計画地 | シンガポール共和国 チャンギビジネスパーク |
主要用途 | オフィス、研究施設 |
敷地面積 | 5,235m2 |
延床面積 | 13,087m2 |
構造 | RC造 |
階数 | 地下1階、地上6階 |
設計 | 鹿島建設株式会社 |
施工 | Kajima Overseas Asia (Singapore) Pte. Ltd. |
着工 | 2020年12月 |
竣工 | 2023年(予定) |
主な環境への配慮 |
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主な環境認証等 |
*Green Mark:シンガポール共和国における建物総合環境性能評価システム日本のCASBEE、米国のLEEDに相当 |
関連するSDGs |
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資金使途(3)
The GEARでは、現地の政府機関や大学、外部企業等とのオープンイノベーションを推進しつつ、グローバルな社会課題解決を目指したR&D活動を実施する計画です。具体的には先進的なデジタル・ロボット化施工技術の開発のほか、ITを利用して省エネルギーと快適性の両立を図ることをコンセプトとしたサステナビリティ技術とスマートウェルネス技術の開発に取り組む計画です。
関連するSDGs |
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レポーティング
当社は、調達資金が全額適格プロジェクトに充当されるまで、調達資金の充当状況を示すレポートに加え、適格プロジェクトに係る指標に関するインパクトについて、サステナビリティボンド発行から1年後を初回とし、償還までの間、年1回ウェブサイトに公表いたします。
鹿島建設サステナビリティボンド(第47回無担保社債) レポーティング
- 2回目(2024年4月公表)(PDF: 132KB)
- 1回目(2023年4月公表)(PDF: 133KB)