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KAJIMAダイジェスト

BIM@SITE

現在,建設業界で急速に普及が進んでいるBIM(ビム)。
企画から設計,施工,維持管理にいたるフェーズで利用できる,
3次元のデータベースを構築することで,建築生産の流れを世界的な規模で変えると期待されている。
今月の特集では,さまざまなシーンで活用される当社のBIMを紹介。
最前線の現場で活躍するBIMの詳細な仕組みや,携わる人々の声を伝える。

一元管理で生産性向上

BIM(ビム)とはBuilding Information Modelingの略称。一般に,建物の3次元モデルにデータベース機能を持たせたシステムのことを指す。単に2次元の図面を3次元化することではなく,企画から設計,施工,維持管理にいたる建築の各フェーズの情報を一元化し,目的に応じて活用できるよう加工できるものだ。それぞれがデータを重複して作成する必要がないため生産性の向上が図れるほか,顧客や事業者,設計者,施工者といった多数の関係者間でリアルタイムに情報を共有でき,プロジェクトを一体的に推進するコミュニケーションツールとしても活躍する。

BIMの概念は米国CADメーカーが2002年に提唱し,2005年の米国建築家協会大会で発表された。その後,徐々に日本へも普及の波が押し寄せ,大手ゼネコン,設計事務所を中心に導入する動きが拡大してきた。いまやシンガポールではBIMによる確認申請が義務化されるなど,海外展開にも不可欠のツールとなってきている。

フロントローディングへの取組み

当社はBIMという言葉すら存在しなかった1997年から,市販の3D-CADソフトをカスタマイズし,意匠・構造・設備の各設計データが統合できるDB(データベース)-CADの開発に着手。設計から見積,施工の各フェーズで分断されていたデータを一元管理するシステムを構築し,2001年から運用してきた。2010年から建築管理本部内にタスクチームを立ち上げ,研究開発に取り組み,2013年末に正式にBIM推進グループとして専任組織化した。

しかし,建築生産業務のすべてを3次元化し一元管理するのは,技術面からも時間やマンパワーがかかり,かえって生産効率を下げ,高コストになりかねない。そこで当社では,施工部門で取り組むフロントローディングの支援ツールとして着目。フロントローディングとは,プロジェクト初期から施工に関する情報を設計図に反映させ,施工部門の労力をシフトさせること。BIMを施工側から積極的に導入し,検証を進めることにした。

改ページ

現在は,BIMソフト(Graphisoft社製・ArchiCAD)を全支店の施工部門に導入,操作教育を行うなどシステム構築に取り組み,体制を強化。設計施工プロジェクトはもちろん,他社設計プロジェクトにも柔軟に対応ができる仕組みが整いつつあり,ここ数年で導入実績を飛躍的に伸ばしてきた。

次項からは,BIMのさまざまな展開を紹介するほか,現場での活用シーンをレポート。BIM担当者とともに顧客,設計者,施工者それぞれの視点からBIMの可能性を探る。

図版:従来切り離されていた設計図や施工図の作成の流れは,BIMモデルによって一元化される

従来切り離されていた設計図や施工図の作成の流れは,BIMモデルによって一元化される。BIMモデルから2D出力(2次元図面への書き出し)も容易で,引渡し後もBIMモデルはファシリティマネジメントへ活用できる。こうした一連のBIM活用を,当社は設計者と施工者とが早い段階から情報共有を行うフロントローディング型プロセスによって先駆的に導入してきた

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