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KAJIMAダイジェスト

Platform:BIMを支えるプラットフォーム

これまで見てきたさまざまなシーンでのBIM活用。
当社のなかでこれらを中心的に統括する建築管理本部BIM推進グループは,
顧客をはじめプロジェクト関係者にとって利用しやすいサービスとなるよう,
システム面,運用面の整備に日々邁進している。
BIMプロジェクトを支えるプラットフォームを紹介し,今後の展望を見据える。

BIMを統括する「現場所長」

プロジェクトのBIM導入にあたっては,まず基本モデルの作成を海外の提携モデリング会社で行う。次に,そのモデリングデータを活用目的に合わせて国内のモデリング会社で2次加工を施し,さまざまなフェーズに展開させる。その際,プロジェクトごとに費用対効果を検討し,適切なモデリング戦略を立てて顧客や設計者,建設現場間をつなぐのがBIMマネージャーの役割だ。

BIMマネージャーは難易度に合わせモデリング会社へモデルの発注を行い,モデルは顧客や設計監理会社へはデザイン検討材料として,専門工事会社へは工程や納まり確認などに利用される。こうした活用方法をマネージャーがコーディネートして現場にモデルを提供するなど支援を行い,ときには自らモデル上の建物内に入り込みエラーを確認することもある。いわば建設現場でいえば所長に当たる役割を担い,BIM活用の現場を統括する。

また,システムの基幹となるBIMソフトの使い勝手を検証したり,モデリングの基本操作教育を行うなど,ソフト面のインフラ整備にも従事する。今後増加が見込まれる案件にはソフトを操作できる人材の確保が急務であり,社内BIMマネージャーの育成をして裾野を広げていくことが求められている。

実りを得る時代

建築設計部門では,すでに2010年よりすべてのプロジェクトの基本設計初期段階でデジタルモックアップを活用し,意匠・構造・設備の各設計担当者らが3Dシステム内で作図・確認・調整をしている。同時に施工部門ではソフトの操作教育などを行い,BIMへの取組みを本格化させてきた。現在までの3年間で130現場以上に導入,今後も飛躍的に件数が伸びる見込みだ。

「もはやBIMは夢物語の段階から,実際の活用の段階を経て,実りを得る時代になってきました」と建築管理本部BIM推進グループの矢嶋和美担当部長。「これまで建設業界で築かれてきた2次元のプロセスも非常に洗練されたものであり,高い精度と完璧な実施によって世界で最も困難な要求事項を満たしてきました。そのプロセスのなかで,変化すべきものからBIM化していくことで,さらなるグローバル化に適応できるでしょう」

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世界初のクラウド・プラットフォーム

現在,当社のBIMの基本モデルはフィリピンでトップクラスの設計会社や,BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング会社)であるインドの企業と提携して制作。直近では韓国の企業とも提携を開始するなど,海外へモデリング拠点を広げている。また従来から施工図作成を担ってきたグループ会社の鹿島クレスは,モデル作成からBIM活用提案を現場に行うなど,多岐にわたる支援を行っている。

加えて昨年10月,新たな国内のモデリング拠点として,沖縄県IT津梁(しんりょう)パーク内に,鹿島沖縄BIMセンターを開設。増加するプロジェクトへ対応する組織体制を拡大中だ。

モデリングに用いるBIMソフトは,ひとつのファイルに最大40人が同時アクセスできる。ただ, BIMデータは容量が大きく機密性が高いため,データ共有が社内ネットワーク内に限られ,社外のプロジェクト関係者との協調作業が難しいという課題があった。

そこで昨年6月,NTTコミュニケーションズのクラウドサービスを採用し,高いセキュリティを持つクラウドサーバー「Global BIM®」を立ち上げた。顧客をはじめ複数企業にまたがるプロジェクト関係者間でBIMデータの共有・管理が可能になった世界初のシステムだ。これにより,場所や時間に制限されることなく作業が可能となり,海外モデリング拠点との連携がより強化される。また海外プロジェクトにおいても,最新の建物情報をいつでも利用できるようになるため,今後の活用が期待されている。

これからの建築生産,海外戦略の中心的役割を果たすBIMの展開に向け,そのネットワークとコラボレーション環境の構築はさらに進化していくだろう。

図版:Global BIM®のシステム

Global BIM®のシステム。高いセキュリティ性と耐震性,そして安定した電力設備を持つクラウドサーバーで,BCP対策も万全。海外を含むすべての現場や支店,社外関係者BIMデータの共有を可能にした

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鹿島のBIM体制

統括管理を行うBIM推進グループを中心に,体制が築かれている。モデリングは,設計会社兼BIMコンサルタントであるフィリピンAidea社,BPOであるHCLジャパン・インドと提携,ここに新たに韓国のDoalltech社が加わって,レベルに合わせ作業を分担。一方,国内には従来から図面作成のエキスパートである鹿島クレスと鹿島沖縄BIMセンターがあり,沖縄では進行中プロジェクトの設計・仕様変更に対応するなど,多種多彩に拠点を展開している。

図版:本社BIM推進グループ

本社BIM推進グループ

図版:鹿島沖縄BIMセンター

鹿島沖縄BIMセンター

図版:BIM活用における当社の体制

BIM活用における当社の体制。統括管理を行う推進グループを中心に,モデリング拠点,技術研究所がモデリングやシミュレーションを行ってBIMモデルを作成。工事事務所(現場)にモデルを提供する

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図版:鹿島のBIM体制

COLUMN 盛況を呈した,鹿島BIMプレゼンテーション@Korea

2月20日,韓国・ソウルにてBIMソフトメーカーGraphisoft社が主催する国際会議 「BIM Conference KOREA 2014」が開かれた。韓国大手の建設会社や設計会社,大学・研究機関から総勢500名を超す参加者のあるなか,日本からは鹿島と日建設計が招聘を受けて参加。当社はBIM導入を進めている最先端の建設会社としてプログラムの最後に登壇し,矢嶋和美担当部長がプレゼンテーションを行った。会場の外ではデモンストレーションも行われ,参加者の関心を呼んだ。

韓国のBIMは途上段階にあり,当社の導入事例や中長期的スキームで取り組む体制など,具体的なプレゼンテーション内容がとても有用だったようだ。質疑応答は予定の時間を目一杯使って行われるなど聴衆の関心は非常に高く,熱気に満ちた会議だった。

図版:矢嶋和美担当部長

図版:国際会議「BIM Conference KOREA 2014」

国際会議「BIM Conference KOREA 2014」。当社は建築現場への展開と生産システムへの移行についてを中心にプレゼンテーションを行った

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