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環境技術タイムライン 鹿島の系譜をたどる

当社は自社施設やその関連施設において,経済合理性が高く,
また将来的に可能性を秘めた技術を試行,検証しながら,省エネ化のノウハウを蓄積してきた。
これらを展開し,都市型・郊外型,中小規模・大規模・超高層といった
さまざまな用途・規模に応じたベストソリューションを提供している。
近年ではBCPへの配慮や,環境不動産価値の向上に資するラベリング取得のノウハウも蓄積されている。
ここではメルクマールとなったプロジェクトから省エネビルの変遷を見ていく。

図版:タイムライン 2001年~2005年

[運用改善] 汐留タワー(2003年竣工)

超高層でありながら,オフィスガーデンと呼ぶ二層ごとの吹抜けなどを利用した自然換気をはじめ,当時の最新の環境配慮技術を適用した建物。竣工後,当社の関連会社である鹿島建物総合管理が継続的なチューニングに取り組み,入居後のエネルギー使用量をピーク値から35%低減,技術水準の高さに加え,運用に応じた調整や省エネ改修などの重要性を示した。これにより,他の建物にも適用可能なノウハウを蓄積している。

CASBEE Sクラス BEE=3.6(新築時の自主評価)

写真:汐留タワー

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図版:タイムライン 2006年~2009年

[大規模オフィス] 赤坂別館(2007年竣工)

当社の技術部門が入居する都市型大規模ビル。この設計では自社ビルというよりも汎用的なテナントビルのプロトタイプをめざした(上階には集合住宅が併設)。

空調システムは,中規模以下のビルで最も汎用的に利用されているビル用マルチ空調システムを採用。天井には650角のシステム天井を用い,それに合った照明器具を採用している(竣工時はまだLED照明は一般的でなく,高効率なHf蛍光灯を採用している)。

ここでは,当時比較的新しかったタスク&アンビエントの考えを取り入れ,残業時や不在席にタスクの温熱環境や照度を緩和して,省エネと快適感を両立させている。ここでの技術的な試みは性能検証を経て汎用化され,顧客の建物への提案につながった。

CASBEE Sクラス BEE=3.3 第三者認証

写真:赤坂別館

[研究・実験施設] 技術研究所本館 実験棟(2009年竣工)

この建物は赤坂別館とは異なり,少し先の技術を実験的に取り入れながら,実際に利用して性能検証と改善を行い,ノウハウを蓄積する意味合いが強い。当社の再生可能エネルギー利用の特徴的な技術のひとつであるReHP®なども,ここでの運転実証と改善を経て,現在,顧客への展開を行っている。

CASBEE Sクラス BEE=3.2 自主評価

写真:技術研究所本館 実験棟

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図版:タイムライン 2010年~2012年

[リニューアル] 鹿島KIビル(2011年改修)

1989年に当時のインテリジェントビルのプロトタイプとして竣工した,当社設計部門が主に入居するビル。東京都が既存建物に打ち出したCO2排出量のキャップ&トレード制度の強化を見据え,6階部分の半分を50%省エネ化するZEB改修を試行した。

屋上に追加設置した太陽光発電装置によるスマート充放電システム,対流を併用した放射空調システム,明るさ感に配慮した照明器具の開発などにより,快適感を保ちながら省エネ化を図る技術が用いられている。夏季休暇の9日間でオフィスの約500m2を居ながら改修するなど,既存建物のZEB Ready化に資する技術を蓄積した。

写真:鹿島KIビル

[中小規模オフィス] 技術研究所本館 研究棟(2011年竣工)

この建物は,郊外に立つ中小規模のオフィスビルのプロトタイプとなるビルである。

研究所の自社施設にありがちな技術がてんこ盛りの建物ではなく,計画段階からぜい肉をそぎ落とし,建築・構造・設備の統合的かつ簡素化されたデザインを採用して,建物自体での省エネを図った。建物内ではダクトレス空調+タスク空調を採用し,季節ごとの切換えを自在にしたほか,タスク照明+アンビエント照明+間接照明の組み合わせで明るさ感を損なわず省エネとなる照明環境などをめざした。これ以外にも多面的に環境配慮設計を採り入れ,CASBEEの最高評価(取得時)となるBEE=8.3を取得し,日本でも浸透し始めた世界標準の環境ツールのひとつLEEDのEBOMでプラチナ認証を取得した。

CASBEE Sクラス BEE=8.3 第三者認証
LEED EBOM(既存評価)
プラチナ(第三者評価)

写真:技術研究所本館 研究棟

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[超高層オフィス] AKASAKA K-Tower(2012年竣工)

超高層のテナントビルであり,入居者の執務環境が犠牲になる省エネ技術は採用できないこと,大規模のために中央熱源方式となること,テナント誘致の観点からBCPへの配慮が重要であったことなどが特徴である。ここではアウトフレームによる日射遮蔽能力の向上や,蓄熱システムの高効率利用,熱源の高効率制御などを取り込み,一般的な超高層ビルに適用可能な先進的技術の試行・検証を行っている。

CASBEE Sクラス BEE=4.4 第三者認証

写真:AKASAKA K-Tower

図版:タイムライン 2013年~2015年

[複合施設] 東京イースト21(2013年改修)

1992年に竣工した複数用途の建物で構成される地域開発。継続的な省エネ改修に取り組むとともに,東日本大震災以降,BCP対応への関心が高まるのを背景に,竣工後20年を契機として,有事の際のエネルギー自立と普段のエネルギーの有効活用を可能とするスマートエネルギーネットワークを構築し,施設の資産価値の向上を図った。ここで確立したエネルギーのBCP対応技術は,東天紅上野本店などにも展開された。

写真:東京イースト21

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図版:タイムライン 2016年~2017年

[都市型中規模オフィス] KTビル(2016年竣工)

 都市型中規模オフィスのプロトタイプ。隣地が迫る敷地で使いやすい矩形の平面プランを確保し,明るさ感を損なわない窓計画,照明計画に配慮した。赤坂別館と同様に汎用性の高いビル用マルチ空調システムを採用しているが,制御の工夫や実際の利用状況に応じた適正容量の見直し等により高い省エネ性能を達成している。

CASBEE Sクラス BEE=8.1 第三者認証
BELS認証取得 BEI=0.46 「ZEB Ready」

写真:柱,梁,床版などを徹底的にプレキャスト化した

柱,梁,床版などを徹底的にプレキャスト化した

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