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KAJIMAダイジェスト

銀座らしさを護る

銀座ルール

「56m」。これは地区計画「銀座ルール」で決められた建物の高さ制限を示す数字だ。銀座地区の建物は,一部の大規模開発を除いてこの制限内に収まっている。100~200m級の超高層ビルが林立する東京都心では圧倒的に低いことがよくわかる。しかし,銀座地区では56mという制限をあえて設けることで,青空が広く見える開放感や整然とした街並みを築いてきた。銀座の特徴のひとつと言えるだろう。

天井高を変えずに階数を増やす

GINZA SIXの建設にあたり東京都から認められた容積率は1,400%。56mの高さ制限があるなかでこの容積率を十分に使いきるには,通常の工法では地上部分を12フロアとして地下を深くするしかなかった。

一般的に,地下をより深くすることは,建設コストが増加するうえ地下フロアの商業的価値はあまり高くないとされる。そこで当社で初めて適用したのが,天井高を変えずに地上部分の階数を増やす「KMF(Kajima Mixed Fireproof)梁工法」だ。この工法を採用することで地上13階を実現した。

KMF梁工法は,鉄骨梁の上フランジをスラブ内に埋め込み,下フランジの耐火被覆を厚みの薄い発泡性耐火材(耐火シート)とすることで,階高を縮減する技術だ。2013年4月に2時間耐火構造,2015年3月に1時間耐火構造の大臣認定を取得している。

GINZA SIXでは,KMF梁工法を2~6階部分に採用。1フロアあたり通常の梁に比べて約20cm階高を縮減することができた。階高に与える影響の大きい大梁のみに適用し,小梁は通常のスラブ下に配置することで,大梁に囲まれた部分の床は一体となり,床の剛性も維持される仕組みになっている。

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図版:KMF梁工法イメージ図

KMF梁工法イメージ図

図版:KMF梁工法による階高ダウン,地上階数アップ(イメージ)

KMF梁工法による階高ダウン,地上階数アップ(イメージ)

空調ダクト兼用加圧防煙設備

KMF梁工法で天井厚が減ることでダクトなどの設備が入るスペースは当然少なくなる。そこでGINZA SIXでは,一般的に別々に設置する平常時の空調還気と火災など非常時の排煙の横引きメインダクトを兼用した。設備をスリム化し,最小限のダクト量で均一な還気・排煙風量を確保することができ,天井懐内のダクトスペースの縮減につながった。高い天井高を維持しながらも階高を最小限にする設備になっている。

図版:ダクトイメージ図(店舗フロア)

ダクトイメージ図(店舗フロア)

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Column 安全で安心な交通・歩行者ネットワーク

区道の付替えを行い一体化した区画を占める大きな建物が建つことで,人々が行き交う道を遮断してはならない。至るところを通り抜けできる「路地」もまた,銀座の特徴だからだ。そうした思いから地域に開かれた場として交通・歩行者ネットワークの充実を図った。

施設内には東西,南北それぞれに敷地内通路が設けられた。東西方向は,中央通りから建物内2階へ自然と上がり三原通りまで通じる歩行者専用通路「銀座パサージュ」が,南北方向には歩車分離された24時間開放の敷地内通路(あづま通り)が整備された。南北の歩道は3mの幅を持たせることでストレスなくすれ違いができる。

安全で安心な動線を確保したことで,人々の回遊性を高めている。

図版:地図

写真:南北敷地内通路

南北敷地内通路

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