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KAJIMAダイジェスト

輝ける旬の女性たち

file-13:切磋琢磨を続ける若き研究者

写真:岡田侑子さん,笹岡里衣さん

photo:HARUKI

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岡田侑子

(おかだ・ゆうこ/東京都出身/理工学部都市環境学科卒)
技術研究所 岩盤・地下水グループ 研究員

2015年入社以来,山岳トンネルに関する研究・技術開発に取り組み,切羽前方の湧水計測技術の開発などを担当。計測装置の仕様検討から現場で適用試験,計測データの整理・分析を行い,より安全な施工を支援する技術の確立を目標に奮闘する。休日は,テニスや水泳で汗を流す。学生時代の友人と食事しながら,他愛もない話をするのが一番の楽しみ。

笹岡里衣

(ささおか・りえ/埼玉県出身/理工学研究科都市環境学専攻修了)
技術研究所 土質・地盤グループ 研究員

2016年入社。学生時代の研究テーマであった液状化に関連する研究・開発業務に携わる。地盤改良効果を定量的に評価するための試験条件の整理のほか,顧客への報告資料の作成なども担当。生産性や安全性の向上のために,新技術の開発も進めている。昨年,現場ヒアリングでは初めて夜勤を経験した。趣味はヨガ。疲れや悩みなどをリセットし,新鮮な気持ちになれるという。

研究や技術開発は,世の中に役立ってこそ意味がある

「私たちは,ねじれの関係」と話すのは,技術研究所 岩盤・地下水グループの岡田侑子さんと土質・地盤グループの笹岡里衣さん。2人は同じ大学で地盤工学を学び,液状化について研究を続けてきた。1年先輩だった笹岡さんは,自分の強みを持って社会に出たいと大学院へと進む。その間,岡田さんは大学を卒業,2015年に当社へ入社。1年後,笹岡さんが当社の門を叩いた。奇しくも,2人とも技術研究所に配属され,大学の先輩,後輩が入れ替わったかたちだ。これを“ねじれ”と呼んでいるが,学生時代から大の仲良しで共通点も多い。

「大好きな数学を使って,人の役に立つ仕事がしたかった。自然現象を数式で表す土木って面白そう」(笹岡さん)。「数学や理科が得意な典型的なリケジョ(理系女子)でした。将来,自分の手で大きなものを造ってみたかった」(岡田さん)。2人は高校生の時,土木を志した思いを振り返る。当社へ入社を希望したのは,大学の授業で聞いた当社社員の講義がきっかけだった。

岡田さんは,大学3年の夏に,当社の鉄道現場でのインターンシップに参加。「複雑かつ緻密な計画をして,工事が進められていることを知り,大きなやりがいを感じました。猛暑の中での仕事で,体力的な辛さも味わいましたが,鹿島だからこそできる難工事に携わりたいという思いが勝りました」。笹岡さんも,授業を通してものづくりの楽しさに触れ,ゼネコンへの思いを募らせていった。「広島や伊豆大島の土砂災害の現場などを視察しました。自然災害は,起きることを防ぐことはできなくても,人々の命や生活を守る研究や技術開発はできる。そうした仕事をしてみたかった」。

写真:山岳トンネルに関する技術開発を行う岡田さん

山岳トンネルに関する技術開発を行う岡田さん。現場からの視点と学術的な視点とのバランスを取りながら,幅広い知識と経験を兼ね備えた土木技術者として成長していきたいと意気込む。「大学時代の笹岡さんは,研究室に誰よりも長くこもり,研究に没頭していたイメージです」

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現在,2人は現場支援や基礎研究に日々奮闘中だ。岡田さんは,山岳トンネルの湧水情報を計測する技術開発に力を注ぐ。突発的な湧水があると,甚大な災害につながる恐れがあるため,切羽前方の湧水情報を得ることが重要となる。現場への技術展開とフィードバックを行い,真に使える技術の確立を目指す。笹岡さんは,大学院で学んだ知識を活かし液状化に関する業務に取り組む。地盤改良試験の条件整理やデータ分析のほか,過去の事例や研究成果を文献で調べ,関係者への情報提供も積極的に行っている。

まだ一緒に仕事をしたことはないが,ともに知識と経験の幅を広げていくことの必要性を実感している。「地盤の知識だけでは仕事ができない。この1年で気づかされたことです。広範囲の知識が求められるので,アンテナを高く張り,最新の情報や動向に敏感でいるようにしたい」(笹岡さん)。「将来は施工管理を経験し,現場に即した技術開発を行える技術者を目指していきたい」(岡田さん)。

今,土木技術者として駆け出したばかりの2人。「同僚として,良きライバルとして,切磋琢磨しながら,ともに高め合っていきましょう」とお互いにエールを送る。そして根底には共通した思いがある。「研究や技術開発は,世の中に役立ってこそ意味がある」。学生時代に2人が学んできたことだ。

写真:真剣な眼差しで土質の試験する笹岡さん

真剣な眼差しで土質の試験する笹岡さん。様々な経験を通して自分の強みを見つけ,将来は,「その分野ならば笹岡がいるよ」といわれる技術者を目指す。「岡田さんは,学生時代から優秀だったので,私も負けないよう必死に勉強していました。今は近くに同窓生がいて心強いです」

Voice 自慢の教え子の飛躍に期待 中央大学名誉教授 國生剛治

学生時代の2人を指導していました。印象に残っているのは,ずば抜けた“体力と気力”の持ち主だということです。自然災害の現場では,男子学生がヘトヘトになる中で,疲れも見せずに熱心に調査を行う姿に感心しました。計測機器などの扱いにも長けていて,仕組みも良く理解していました。女子学生は機械に弱いという私の固定概念を打ち破ってくれたのも2人です。物事をとことん突き詰めようとする力があるのでしょう。土木技術者には大切なことです。例えば土質であれば,土の物理的・力学的性質を机上だけで判断しては駄目で,実際にどんな地盤に存在していたのかを自分の目で確かめてこそ,本質的に役立つ技術になると教えてきました。東日本大震災以降,土木を志す女子学生が増えています。今の学生にとって2人は手本であり,私の自慢の教え子です。これからの飛躍を楽しみにしています。

写真:國生剛治教授(中央),岡田さん(左)と笹岡さん

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