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シリーズ 東日本大震災から5年 東北の春2016 復興への道を築く人たち 農業再生

全国からの職員一丸となって工事にあたっている

仙台空港からほど近くでは,農業の復興に向けた事業が行われている。「貞山堀防潮水門災害復旧工事」である。

貞山堀は,仙台湾の海岸線に沿って阿武隈川と旧北上川を結ぶ延長46.4kmの国内最長の運河。木材など物資輸送を目的として仙台藩主伊達政宗の時代から長きにわたって開削と維持が続けられてきた。政宗の諡(おくりな)である「貞山」から名付けられたといわれている。工事は,震災被害を受けた防潮水門の復旧を行う。被災した旧施設の上流約200mに新たに水門を構築して水位の安定と海水の遡上防止を図る。名取市が位置する仙台平野は,米どころでカーネーションなどの花卉生産も盛んだ。農業復興に加え,堤防を1.5m嵩上げする防災事業の側面も併せもつ。

現場を指揮するのは,田島千冬所長である。水門工事は全国的にも経験者が少ない。田島所長は北海道から「石狩川頭首工」での実務経験を買われて2013年4月に東北支店に赴任した。「樋門や排水機場はすべて津波で機能不全に陥りましたが,順次復旧しています。名取川特定災害復旧事業で最後に残ったのがこの現場です。津波で海水を被った農地も復旧されて,周辺ではビニールハウスも増えています」。

写真:田島千冬所長

田島千冬所長

水門の構築には運河を迂回させる必要がある。鋼矢板で仮廻しの水路をつくり,運河を締め切ってドライエリアを構築したうえで水門を建設する。完成後には仮水路を埋め戻して築堤を行う。現在,工事は最終局面。水門設置を完了して埋戻しが最盛期を迎える。毎日,2台の重ダンプが仮置きした土砂を運ぶ。

現場では,田島所長のほか関東や関西からも社員が応援に駆けつけ,オール鹿島で対応を続けている。「震災の規模を考えれば,東北の人員だけでは難しい。全国からの職員一丸となって農業再生にあたっています」。

写真:貞山堀防潮水門復旧工事

貞山堀防潮水門復旧工事

※写真:大村拓也

名取川特定災害復旧事業 貞山堀防潮水門災害復旧工事

場所:
宮城県名取市
発注者:
農林水産省東北農政局
設計者:
NTCコンサルタンツ
規模:
防潮水門工 仮廻し水路工 護岸工 その他付帯構造物一式
工期:
2013年12月~2016年8月

(東北支店施工)

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