Mita S-Garden
「環境」に寄り添うビルを目指して
photo: 解良信介/URBAN ARTS
都心駅前に建つオフィスビル。まず目に映るのは,まちに面した角地を占める,緑豊かなオープンスペース。
脱炭素社会の要請に応え,「環境配慮」が設計のテーマとなった。ビル全体の一次エネルギー消費量を基準値から約52%削減し,本建物全体でZEB-Ready認証を取得。空調・換気容量や照度の見直し,開口率の調整など,ほかの中規模オフィスにも適用できる汎用的なステップを積み重ね,省エネビルを実現した。
加えて本建物は,上述の「地球環境」だけでなく,「都市」や「身の回り」といった,より小さな環境にビル開発が貢献できることを,設計者として省みる契機にもなった。
冒頭の緑化空間もそのひとつ。建築ボリュームを集約し,事業性の高い整形フロアを確保しながら,隣接する商店街沿いに緑の茂る空地を創出した。まちと境界なく繋がる場所で,人々がどう振舞うかを想定し,素材やファニチャーをつくり込んだ。
外観も,多彩な営みが日夜交わる商店街の環境に寄り添い,時にその背景となる佇まいを目指した。結果として,不均斉な表情を取り込み,スケールを細分化した立体感あるファサードが生まれた。隣接建物との調和から色彩計画を決定し,街並み形成を意図した。
最上階には,景観を取り込むカフェスペースを,ワーカーのための場所として設けた。
本建物が,これからのワークプレイスの在り方に寄与していくことを願う。
(風間 健・田渕誠一・熊澤綾乃)
photo: 川澄・小林研二写真事務所
photo: 川澄・小林研二写真事務所
photo: 川澄・小林研二写真事務所
photo: 川澄・小林研二写真事務所
Mita S-Garden(東京都港区)
- 発注者: 三井不動産
- 基本設計: 山下設計
- 実施設計: 当社建築設計本部
- 用途: 事務所
- 規模: S造一部CFT造 11F 延べ9,902m2
- 工期: 2021年8月~2022年11月
(東京建築支店施工)
風間 健
(かざま・けん)
建築設計本部
チーフ
- 主な作品:
-
- 資生堂グローバルイノベーション
センター(S/PARK)
- 資生堂グローバルイノベーション
田渕誠一
(たぶち・せいいち)
建築設計本部
チーフ
- 主な作品:
-
- AKASAKA K-TOWER
- 東熱本社ビル
- MARINE & WALK YOKOHAMA
- Kタワー横浜
- ANA Blue Base
熊澤綾乃
(くまざわ・あやの)
建築設計本部
アシスタントチーフ
- 主な作品:
-
- 東京測器研究所 本社ビル