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これからの建設業

財部 これから将来を見通したときに,皆さんが取り組みたいこと,業界が果たさなければならない役割など何か考えていることはありますか。
松井 近隣住民の方から,本当に超高層ビルは倒れないのかと聞かれたことがあります。震災を経て,一般の方が技術に疑念を抱きはじめている。そういう背景があるなかで,地震対策技術を発展させるのが建設業界の大きな責務かと思っています。もうひとつ,現場を運営していて思うことがあります。総合請負業として,当社が工事全体を担保することが多いですが,総合請負業という業態も変化していくであろう中で,得意先のメリットを第一に考えながら,当社にとってもベストなやり方を模索していくことが重要だと考えています。
永江 そうですね。得意先からの要求の高度化に応えるためにも,工事規模やリスクに応じた契約方法の多様化が必要ではないでしょうか。一括請負・総価契約以外の選択肢を増やし,習熟しておくことが求められてくると思います。例えば,オープンブックでのコスト+フィーについては,コストの証明や適正なフィーの設定など課題も多いですが,ブラッシュアップしていく必要があります。
 CM(コンストラクション・マネジメント)を事業ポートフォリオに加えるのは,当社にとって大きなメリットがあると思い,数年前から社内に企画案を提案しています。しかしながら,発注者からすればゼネコンがCMで参画するメリットを見出せず,土木の世界では,なかなか浸透していません。今回,震災復興で女川や宮古のような参画事例が出てきていますが,鹿島が参画したことで事業全体にメリットがあったということになれば,CMの普及にもつながり,今後,活躍できるフィールドのひとつになると思います。
鬼頭 CMをはじめ,海外での様々な契約事例は参考になると思います。
新里 私が今後必要と思うのは,都心部の機能更新,再開発でしょうか。木造住宅が集中するなかで,耐火・耐震性能を高めて防災機能を持たせながら,利便性を追求する。浜松町と八重洲二丁目中地区でも再開発をはじめています。
鬼頭 海外の開発事業も注目ですね。海外ではデベロッパーとしての鹿島が高く評価されていて,人材も豊富です。アメリカのIDI(流通倉庫)やハワイのフアラライ(リゾート),インドネシアのスナヤン(都市開発),シンガポールのミレニア(都市開発)など,鹿島だからこそできた開発事業です。特に東南アジアは都心でも街並みが雑然としていて再開発事業が進んでいきますので,参画するチャンスもたくさんあります。
吉川 同じく海外で鉱物輸送インフラについて企業者へのアドバイザーとして参画しているプロジェクトがあります。鉄道でやるか道路にするか。要はコンサルティングです。我々が施工するかは別として,コンサル業務を通じて企業者の求めるものを知るのは大切だと思っています。
吉田 海外から労働者を受け入れる下地をつくらなければならないのではと考えています。日本は少子高齢化が進んでいて,建設業の労働者不足がもう既に表面化しています。いずれは外国人労働者を受け入れざるを得ない。そのための準備が必要になってくると思います。
高村 福島第一原子力発電所の復旧対応ですね。現地では多数の関係者が懸命に作業を続けている。私たちが保有する技術を活かせると信じています。
永江 現在,支店間異動が活発になっていて様々な制度が変わろうとしています。産みの苦しみといいますか,運用の仕方ひとつとっても非常に厳しい時期だと思うのです。しかし,いま道筋をつくっておかなければ10年後には手遅れになるかもしれない。変わらなければという意識を持ち,我々が先頭に立って様々な制度を変えていく覚悟で業務に臨みたい。

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度会 「人が想像できることは,人が必ず実現できる」。当社のテレビコマーシャルでも起用されているジュール・ヴェルヌの言葉を実現したい。建設業は常に一品一様のものをつくっていますから,そこには様々な要求がある。鹿島は多少無理があっても客先の依頼を叶えてみせる力強さを持っていると思うのです。その実績をもとに,これまでにない価値をつくりだして,社会に提供する。時代をつくるということです。全社一体となって時代をつくるくらいの意気込みが必要だと思っています。
財部 今日,集まってくれた皆さんのように,部署・職種の垣根を越えて,様々な議論を交わすことが,これからの鹿島をつくる第一歩ではないでしょうか。本日はありがとうございました。

(2013年8月29日,鹿島本社にて開催)

図版:集合写真

CM方式

図版:CM方式

CM方式はアメリカで確立したプロジェクト実施方式であり,プロジェクトの工期遅延,予算超過などを防止するため,マネジメントを専門に行うCMr(コンストラクション・マネジャー)が,発注者,設計者と一体となってプロジェクトの全般を運営管理する方式である。施工に伴うリスクの取り方によって,「ピュアCM(CMエージェンシー)方式」と「CMアットリスク方式」に大別される。
写真は,工事が進むおながわまちづくりプロジェクト。

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