当社は,かねてより北中米,アジア,ヨーロッパ地域それぞれに統括現地法人を置き,
建設事業,不動産・開発事業を展開しており,2015年にはオーストラリアへ進出。
そのグローバルネットワークは17の国と地域,100社を超えるグループ会社によって構成されている。
世界を舞台に活躍する鹿島グループの女性たちに,その魅力と仕事への思いを聞いた。
台湾での鹿島の歴史は古く,建築を手掛ける中鹿営造(本社・台北市)も設立から30年が経過し,台湾での鹿島ブランドを確立しています。当社施工のマンションは凄い人気で,高級マンションの代名詞「宏盛帝寶マンション」は,10年経ったいまも台湾一の販売価額を誇ります。
私は大学で学んだ応用日本語学を活かしたいと考え,中鹿営造に入社しました。前董事長の秘書として総務の仕事,日本商工会の連絡窓口,式典や忘年会の司会と,色々経験させていただきました。
2009年からは台湾系企業の営業を担当しています。台湾は狭い社会なので,業界内での評判がすぐに伝わります。工事面では勿論のこと,営業もきめ細かな対応を心掛けています。また,台湾は日本と同じ地震国のため,お客様から鹿島技術研究所や日本の建設現場の見学などの要望が多いです。私も通訳を兼ねて同行し,鹿島の技術について勉強させていただいています。これは,ローカルの企業では経験できない魅力です。
今後も,鹿島グループの一員として,鹿島の伝統と技術力を台湾の社会に伝えていきたいと思います。
私は,2015年に設立されたカジマ・オーストラリア(KA)の傘下で建設・開発事業を手掛けるICON社に勤務しています。オフィスは,メルボルン中心部から南東へ3km程の場所に位置するCremorneという町にあります。小規模なオフィス,工房,アートギャラリーなどが立ち並ぶ魅力的な場所です。
私は,KAがICON社を買収して間もない昨年7月に入社しました。国際的に幅広い分野で高い信用をもつ鹿島と,オーストラリアでビジネスを広げるICON社の事業統合は,魅力的でした。また,同社が医療福祉施設の受注の拡大を目指している点にも,とても興味がありました。新しいビジネスを作り上げる過程を,私も一緒に経験したいと思ったからです。
現在は,Health, Government & Institutions Sector Managerとして医療福祉施設,教育・研究施設,公共施設などのマーケット開拓に注力しています。医療福祉施設分野への進出は容易ではありませんが,いまの目標は,鹿島とICON社のパートナーシップを活かし,1年以内に数件の中小規模案件を勝ち取ることです。私たち現地スタッフは,そのための努力を惜しみません。
私は,シンガポールにあるアジア統括現地法人カジマ・オーバーシーズ・アジア(KOA)のシンガポール建設部門で,QSマネージャー(見積管理部長)として入札業務を担当しています。この仕事は,短い入札準備期間に工事費・経費の計画と協力会社の見積りを比較・交渉し,入札に向けたベストプライスを導き出す,工事受注が使命です。昨今厳しい受注競争が続くシンガポール建設市場のなかで,KOAが競争力のあるゼネコンとして優位に立つことができるよう貢献していきたいです。
また,2015年に設立されたカジマ・オーストラリア(KA)の立ち上げでは, 買収するICON社の現場を視察し,作業進捗と支払い状況について確認・精査する業務を担当しました。グループ横断で,KA設立という大きなプロジェクトに携ることができたのは貴重な経験であり,誇りに思う出来事でした。
入社から13年が経過しましたが,素晴らしい同僚と思いやりのある上司に恵まれ,彼らは私にとって家族のような存在。子育てをしながら働く母親として,仕事と家庭を両立できるカルチャーが整っている職場環境にとても感謝しています。そして,自身をスキルアップできる魅力ある会社で働いていることに幸せを感じています。
タイ南部の代表的なリゾート・プーケット島の西海岸では,KOAの子会社「バンタオビーチ」社が別荘地開発プロジェクトを展開しています。約16haの丘陵地に延床面積約1,200~2,000m2の広さを誇る21戸の分譲ヴィラが計画され,プロジェクトの第一弾として昨年8月,ショーヴィラが完成し,分譲がスタートしました。現在は,2区画で分譲ヴィラの建設が進行中です。
私は,このプロジェクトの実施設計を担当しています。基本設計者である「坂倉アトリエ」と以前,他物件でコラボレーションした経験が縁となり,デザイン・コンセプトを共有できるパートナーとして選ばれました。
仕事の拠点は日本のオフィスですが,施工中は頻繁に現地に足を運び, 1週間程滞在。打ち合わせや視察を一気にこなします。鹿島の品質を現地コンサル・施工者に理解してもらうよう努め,設計体制,家具・什器などの業者選定など,事業者と二人三脚で対応してきました。構造や工法などが日本とは大きく異なるため,現地のアーキテクトや建設会社から学ぶことも多いです。今後も分譲ヴィラの設計,購入者の方への対応などを通じ,プロジェクトの質をさらに向上させていきたいと思います。
私たちが働くカジマ・ポーランドは,2001年に首都ワルシャワに拠点事務所を開設して以来,生産・物流施設を中心に建設事業を展開しています。100名近い従業員のうち女性が約4割を占め,みんな生き生きと仕事をしています。
ポーランド第4の都市ブロツワフで,2015年4月から約5ヵ月間で施工した「プロロジスパーク倉庫DC8新築工事」は,所長と工事長を除き,施工管理に関わる現場業務を私たち6名の女性社員が担当しました。これは意図的ではなく,過去に施工した同社プロジェクトの経験と成果を考慮して現場組織を編成した結果,女性チームが誕生したのです。短工期に加え,冷蔵施設の施工,環境認証BREEAMの取得が求められた難易度の高い工事でしたが,最高のチームワークによって無事故で工事を完了することができました。現在は,新たな現場で活躍する者,育児休暇中で子育てに奮闘する者と様々ですが,私たちは強い信頼関係で結ばれています。
ポーランドの建設業界は,日本と比較しても,決して女性が活躍できる環境にあるわけではありません。こうして,私たちが現場の第一線で活躍できるまでに成長できたのは,男女分け隔てなく社員育成に力を注ぎ,平等に評価する当社マネジメント陣の手腕によるところが大きいと思います。
我が国でも,工科大学で学ぶ学生の数は年々増加し,女性エンジニアの活躍が期待されます。今後も素晴らしい後進との出会いを期待して,カジマ・ポーランドがもっと素晴らしい会社に発展するよう頑張っていきたいです。
私は鹿島U.S.A.(KUSA)グループの物流倉庫開発会社「CORE5」(本社・アトランタ)の取締役副社長・CFO(最高財務責任者)のポジションに就いています。会計や財務の統括およびプロジェクトファイナンスの調達や共同投資案件におけるパートナー企業との交渉が,私の主な業務です。当社は2015年に設立されたばかりの会社ですが,私とKUSAとの信頼関係は20年以上続いています。
私は大学卒業後,大手会計事務所,大手生命保険会社の不動産投資部門などで経験を積んだ後,1995年,当時物流倉庫開発分野で成長著しいデベロッパーとして注目されていたIDI社(当時KUSA傘下)に入社しました。Controller(経理部長)を経て,2007年にはCFOに昇進することができました。私の仕事への情熱は,偉大なる親会社と愛すべき優秀なチーム・メンバーによって支えられてきました。
2013年,大きな転機を迎えました。全米屈指の物流倉庫開発会社へ成長したIDI社は Brookfield社へと売却され,KUSAは多額の利益を享受することができました。私の会社人生で一番印象に残る出来事だったと言えるでしょう。売却に関わるデューデリジェンスは非常に複雑でしたが,この経験は私にとってかけがえのない財産となっています。
そして,光栄にも私はIDI社のDNAを受け継ぐ新会社CORE5の設立メンバーとして,再びKUSAグループの一員になることができました。社名の由来である「ステークホルダーとの長期的関係の構築」「全ての仕事を最高の品質で」「優秀な人材の確保」「有言実行」「長期的な価値創造」という5つのコア・バリューを信念に,社員全員がHappyになれる一体感のある職場環境の構築に,いままさに取り掛かろうとしているところです。
私は,ハワイ州ホノルルに本社を構えるHDCCで働いています。当社は100年以上の歴史をもつ建設会社で,社名に “dredging”(浚渫)とあるように,かつては土木工事が中心でしたが,現在はホテル,コンドミニアム,商業施設などの建築工事も得意とする会社へと成長しています。2002年,HDCCはKUSAグループの一員になりました。日本の皆さんもご存知の「アラモアナセンター」やホテル「ハレクラニ」は当社の施工です。現在私は,旧「Honolulu Advertiser Building」の改修工事でProject Manager(現場所長)を担当しています。来年工事が完成すると,当社の本社ビルになる予定です。大学で学んだ設計の技術を磨くため,ハワイ最大手の建設会社であるHDCCに入社しました。ホノルル再開発地区の高層建築やアラモアナセンターの拡張工事といった大型プロジェクトを担当するなかで,建設業の魅力にどんどん惹かれていきました。第三子を妊娠しながら初のProject Managerを担当した19階建てのコンドミニアム「Halekauwila Place」(2014年竣工)は,私にとって思い出のプロジェクトのひとつです。
早いもので,入社から15年が経ちました。当時,建設現場で働く女性は珍しかった時代でしたが,むしろ私はそこにやりがいを感じ,男性以上の働きができることを証明したいと頑張ってきました。幸運にも素晴らしい先輩たちに恵まれ,とても刺激的な職場環境のなかで,多くを学ぶことができました。私の仕事に対する哲学は,「誰一人欠けても現場はうまくいかない」ということです。皆それぞれに役割があり,対等な立場でお互いを尊重し合うことこそが,現場を運営する秘訣だと思います。
HDCCで働くことができたことで,仕事もプライベートも私の人生は最良のものになりました。今度は私が会社に恩返しをする番です。HDCCの看板を守るため,高品質な建物をつくり続けていきます。
2008年入社。エンジニアリング本部(当時)で4年間,国内の生産施設の設計,施工管理,コンサルティング業務を経験した後,2012年から2年間,米国国際要員研修に参加しました。
この研修は,若手社員を対象に,広い見識とグローバルな視点を持った人材を育成することを目的に,KUSA傘下の子会社でOJTを行うものです。日本の製造業の多くが海外進出するなかで,エンジニアリング事業本部も海外での工場建設に関わる機会が増えており,今後,私自身も海外プロジェクトに関わるチャンスがあると考えました。将来に向けて,自身のスキルアップに絶好のチャンスであると思い,本研修に応募しました。
私のOJT先は,ジョージア州アトランタに本社を置くKBDG(カジマ・ビルディング&デザイングループ)でした。同社は米国南東部・中西部を中心に,主に物流施設や生産施設の設計・施工業務を手掛けています。私はここで,現場管理業務に必要な知識を学んだ後,3つの生産施設の現場を通じて,施工管理・製造機器の試運転業務から見積業務・契約業務・コスト管理など,現場管理に必要な一連の業務を経験させていただきました。
“Have the time of my life”という言葉があります。日本語では「最高に楽しい時間を過ごす」とでも訳せるでしょうか。私の米国国際要員研修での2年間は,まさにこの言葉にふさわしい時間でした。慣れない国で経験の浅い現場業務を担当することは,戸惑いの連続でした。うまく仕事を進められずフラストレーションもありましたが,周りの方々のサポートのお蔭で乗り切ることができました。また,他業種の同年代の日本人とも交流する機会が多く,非常に刺激を受けました。アメリカでの人脈は私にとってかけがえのない財産となっています。
帰国後も「グローバルで活躍できるエンジニア」という夢を持ち続けながら,国内外のプロジェクトを担当し知識・経験を蓄えています。後輩の皆さんも是非,こうした研修制度にチャレンジしてみてください。