PFIの歩み
1990年代に英国で導入されたPFI事業。サッチャー政権において,財政立直しのため行政システム再構築の一環として考案された。民間の創意工夫を生かし,安価で質の高いサービスを行うことが目的だ。これまで有料橋,鉄道,病院,学校などの分野で大きな成果をあげた。
その後,わが国でも1999年に法制化された。この十年余の累計で,事業規模は約4.7兆円(事業者が決定している337件の合計)と推計され,PFIは公共施設などに関する事業の一手法として着実に普及してきている。
公民連携(PPP)とPFI
従来公共が実施していた社会資本整備について,官と民が責任をもって得意な役割を分担し合う公民連携(PPP:Public/Private Partnership)は,成熟期を迎えた現代社会の大切なキーワードだ。
PFIは,PPPの事業手法の一つで,公共部門が対象となる公共サービスの企画・計画を決定し,民間事業者がPFI事業会社を設立してその事業を推進するという官民の役割分担となっている。施設整備,建物所有,維持管理・運営などを具体的にどう進めるかで事業手法が分かれる。
VFMという判断基準
PFIでは,社会資本整備=公共サービスに対して,民間の資金と経営能力,技術力(ノウハウ)を活用し,安くて質の良い公共サービスの提供を目指す。官民双方の適正なリスク分担のもとで,支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)の供給(VFM:Value For Money)を実現するのが目的だ。
鹿島のPFI取組みの歴史
当社はPFI法が施行される前年よりPFI取組みの準備組織を立上げ,法施行のタイミングで開発事業本部内にPFIマネジメント室を開設した。神戸市立国民宿舎「摩耶ロッジ」を手始めに,常にPFI事業の新たな領域に意欲的に取り組んできた。その後,取組み規模の拡大にあわせて2004年よりPFI推進部に改編・拡充し,各支店にはPFI担当者が配置され,全国に拡がるPFI事業案件に対応している。
当社がこれまでに取り組んできたプロジェクトはグループ会社の案件を含めると国内で33件,海外で11件。政府の新たな成長戦略で改めて基盤整備の手法として位置づけられたPFI事業は,今後もさらなる拡大が見込まれ,これにきめ細かく対応していく。
PFIのおもな事業手法
BOT (Build Operate Transfer)
施設の建設,維持管理・運営を行った後,施設を公共部門に譲渡する
BTO (Build Transfer Operate)
施設の建設後,所有権を公共部門に移転し,引き続き施設の維持管理・運営を行う
RO (Rehabilitate Operate)
老朽化した施設を改修した後,施設の維持管理・運営を行う