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「ZEB(ゼブ:ゼロ・エネルギー・ビル)」とは,建物の運用段階でのエネルギー消費量を,省エネや再生可能エネルギーを利用して削減し, 限りなくゼロにするという考え方です。
当社のZEBの実現に向けての取組みについて担当する技術開発メンバーに聞きました。

ZEB実現へ向けた背景

我が国では,2020年までにCO2排出量を25%削減することを目指し,様々な省エネ技術を開発しています。ZEBもその一つで,国際エネルギー機関(IEA)が取組み加速を勧告したことを受け,日本では2009年,経済産業省が「ZEBの実現と展開に関する研究会」を設置し,「2030年までに,新築建築物全体でZEB化を実現する」というビジョンを提言しました。

ZEBに向けた取組みの考え方の図

ZEBに向けた取組みの考え方
従来からの❶の取り組みだけでなく❷〜❹に統合的に取り組み,それでも十分でない場合には❺の適用も検討します

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鹿島のZEB

当社は国に先駆け,「2020年までにZEBの実現」を目指します。オフィスビルを対象にロードマップをつくり,部署横断の各種技術開発チームを立ち上げ,取組みを強化しています。

「エコ・デザイン」「エコ・ワークスタイル」「エネルギー・マネジメント」「再生可能エネルギー」「カーボン・オフセット」という5つのフェーズからZEB実現へアプローチしていきます。

5つのフェーズ

01 エコ・デザイン

建築デザインの観点から,エネルギー消費の原因を見直し,“根本から絶つ”と共に,空調・照明の工夫でエネルギーの効率化を目指します。

具体的には,ファサードデザインの創意工夫によって,窓や外壁の断熱・日射遮蔽性能を向上させ,冷暖房負荷の削減,窓周辺の温熱環境の改善,昼光利用による照明負荷の低減,自然換気による中間期や夜間の冷房負荷の軽減を図ります。

設備エンジニアリングの面では,建物全体に均等な空調・照明を行うのではなく,人の居るところだけを快適にするという考え方へシフトしていきます。人感センサなどを駆使し,アンビエント(全般)空調・照明とタスク(部分)空調・照明を組み合わせることで,消費エネルギーを低減します。

02 エコ・ワークスタイル

ワークスタイルからエコを考えていくことも重要です。ワークスタイルの見直し,意識改革,新しいオフィスのあり方をお客様と一緒に検討し,最適なスペースの計画・設計をまとめていきます。さらに,シミュレーション技術を使ってその効果を評価し,知的生産性と省エネの両立を実現します。

03 エネルギー・マネジメント

建物の運用段階で,各種省エネ性能が最大限に発揮されるよう,最適チューニング,省エネ診断・修繕・更新など,建物の維持・管理技術の開発,保有技術の研究改良に取り組みます。

04 再生可能エネルギー

建築設計や建物運用を通じ,可能な限りエネルギー消費量を削減すると共に,最小限必要なエネルギーは,再生可能エネルギーで補います。建物の用途・規模・立地条件に応じて,太陽光発電・風力発電・太陽熱・地熱・バイオ燃料など,最適な再生可能エネルギーの選択・利用法を検討していきます。

05 カーボン・オフセット

(1)~(4)の取組みがZEBの基本ですが,それだけで達成できない場合には,最後に残ったCO2排出をオフセットして,ゼロ・カーボンを達成するという考えもあります。例えば,グリーン電力証書によりオフセットすることも可能です。このグリーン電力証書とは,再生可能エネルギーを直接利用するのではなく,他者が再生可能エネルギーによって発電した環境価値を証書の形で購入し,環境に貢献する仕組みです。当社は関連施設のバイオガス発電の環境価値を基に自らが証書発行事業者となり,関連するノウハウを蓄積しています。

ZEBのイメージ図

ZEBのイメージ
ここに示したメニューは一例ですが,様々な技術の統合的な適用により,はじめてZEBが実現できます

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実証実験を重ね真の技術へ

ZEBを実現するためには,これまで培ってきた技術を基に,さらに改善を重ねていくことが重要です。当社は,ZEBを構成する様々な技術を自社関連ビルに導入して,その性能を検証し,改善を続けています。

「鹿島赤坂別館」(2007年竣工)では,シンプルで環境性能の高いファサードを実現し,汎用性の高いビル用マルチ型パッケージによるタスク&アンビエント空調などを導入しています。「技術研究所新実験棟」(2008年竣工)では,太陽熱と太陽光発電・地中熱を併用した新エネルギー利用熱源や放射冷暖房システムなどを採用。このほかにも,様々な新技術を,建設中の自社関連ビルなどに導入していく予定です。

まだまだ課題はありますが,こうした先進的な取組みを地道に重ねながら技術を蓄積し,2020年までに本物のZEBを実現するよう努めていきたいと思います。

2020年までにZEBを実現します!

ZEBの早期実現は,当社の最重点R&Dテーマとなっています。長谷川常務が陣頭指揮をとり,設計,施工,エンジニアリングなど部署横断組織で,延べ156名の社員により,10の技術開発テーマに取り組んでいます。

ZEBの実現を目指して,当社の保有技術を実建物で適用・検証し,進化・発展させていくとともに,豊富な人材の知恵で,新技術の開発にも取り組んでいきます。ZEBを広く普及するためにも,費用対効果の高い技術の開発・適用が重要と考えています。

さらに,当社の技術だけでZEBを実現できるものではなく,建物所有者,建物利用者,設計者,施工者,メーカー,運用管理技術者など様々な関係者の協力を得ながら,ZEBの実現に向かって進んで行きたいと思います。

(技術開発チーム)

写真:開発チーム幹事メンバーとサブテーマ開発責任者ほか。前列左から:建築設計本部・佐藤技師長,長谷川常務,建築管理本部・永野部長,環境本部・藤井技師長・三浦次長。後列左から:建築設計本部・平岡グループリーダー・磯崎統括グループリーダー,環境本部・芋生本部次長,建築設計本部・大瀬戸統括グループリーダー・井田グループリーダー,東京建築支店 安全環境部・河野課長代理,建築管理本部・今泉グループ長

開発チーム幹事メンバーとサブテーマ開発責任者ほか。前列左から:建築設計本部・佐藤技師長,長谷川常務,建築管理本部・永野部長,環境本部・藤井技師長・三浦次長。後列左から:建築設計本部・平岡グループリーダー・磯崎統括グループリーダー,環境本部・芋生本部次長,建築設計本部・大瀬戸統括グループリーダー・井田グループリーダー,東京建築支店 安全環境部・河野課長代理,建築管理本部・今泉グループ長

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