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私たちが創る、これからの女性の働き方 column

広がる鹿島の女性活躍推進

当社は,1999年の男女雇用機会均等法改正を機に人事部に専任担当者を配置し,女性社員が活躍できる環境づくりに取り組んできた。2006年頃からは女性総合職の採用を本格化させる一方,その定着と活躍推進が課題となっていた。

2014年,「女性活躍推進」が国の成長戦略の中核に据えられると,建設業界では国土交通省と日本建設業連合会がアクションプラン「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定。当社はこれに賛同し,技術系女性社員・女性管理職を5年で倍増,10年で3倍にすることをめざす自主行動計画を公表した。以後,総合職採用に占める女性比率を20%以上に拡大させ定着を図り,女性管理職の登用を倍増する目標を掲げて取り組んでいる。

図版:鹿島の女性総合職の現状

その結果,2007年当時85名だった女性総合職は,この10年で320名(2017年4月1日現在)まで増加した。2015年には,人事部に「ダイバーシティ推進グループ」を新設し,女性社員が出産・育児などのライフイベントを迎えても,安心して働き続け活躍できるように,職場環境改善はもとより,職域拡大,関連制度の充実・運用促進,各種研修の実施などを通じ支援している。今後は,女性活躍推進から,誰もが活き活きと働ける職場環境の創出をめざす「働き方改革」へとつなげていく。

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図版:女性総合職の年齢構成表

図版:女性総合職採用割合推移

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Activity 女性の声を生かし職場環境を向上――「鹿島たんぽぽ活動」

「ここ数年で現場の職場環境は大きく改善されたと感じます。作業員さんも働きやすくなったのではないでしょうか」と話す下山田工事課長代理。その大きな要因のひとつに「鹿島たんぽぽ活動」がある。“現場で働くすべての人が働きやすい環境を目指して”というスローガンのもと,当社の女性技術者と協力会社の女性技能者が中心となり,自身が働く現場の職場環境の改善に取り組む活動だ。2015年4月にスタートし,これまで全国の土木・建築現場が多数参加し,様々な改善策を生み出している。

中でも「京急大師線工事」(川崎市川崎区)の現場に設置した機械監視とカードキーによる入出管理機能を備えたセキュリティ万全の女性専用「パウダールーム」のユニット化は好評。当現場の取組みは日本建設業連合会が推奨するけんせつ小町活躍推進活動の一端を担ったと評価され,「第2回けんせつ小町活躍推進表彰」優秀賞を受賞した。

図版:「パウダールーム」のユニット化

写真:現場にて下山田工事課長代理と作業員さん

現場にて下山田工事課長代理と作業員さん。仕上げ工事が急ピッチで進む現場では,熱中症などを気づかい作業員さんたちへの声がけを欠かさない

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Topic 「鹿島たんぽぽ活動」を周囲に展開――事業者・施工者が協同で取り組む職場環境改善

国土交通省関東地方整備局東京外かく環状国道事務所では,東京外かく環状道路(関越~関東)の現場に従事する事業者・施工者の女性技術者からなる「東京外環プロジェクト・女性技術者の会(仮称)」を設立し,女性の感性を生かした誰もが働きやすい魅力的な現場づくりに力を入れている。

当社JV現場では,「鹿島たんぽぽ活動」の一環としてトイレメーカーや防臭防虫の専門家らと一緒にスタートした現場仮設トイレの実証実験を,同会との協同の取組みに展開している。夏場の仮設トイレは臭い・害虫の発生が課題。女性技術者たちが定期的に対策効果の検証を行う。高評価を得た対策法については,今後現場に導入していく予定だ。

写真:快適トイレの前に設置されたポスター

快適トイレの前に設置されたポスター

写真:意見交換会の様子

意見交換会の様子

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Global 世界を舞台に活躍する鹿島の女性たち

当社は,グローバルな視野と才能をもつ意欲ある社員を,性別を問わず積極的に海外プロジェクトに参画させている。本誌2016年10月号では世界を舞台に活躍する当社グループの女性たちを特集し,海外で働く魅力や仕事への思いを伝えた。

澤田課長代理も2014年から約2年,インドネシアの高架道路現場で事務を行った経験をもつ。「様々な国の人が力を合わせてプロジェクトを進めるところにスケールの大きさを感じました。現地の人の文化や商慣習を理解し,敬意を払って信頼関係を構築していくことがプロジェクト運営で何よりも重要だと思います。国によっては,現地の治安条件などから女性が働ける環境を整備しづらいといった課題もありますが,海外勤務の経験は“今後どのような場所でもやっていける”という自信になっています」と積極的なチャレンジを薦める。

図版:KAJIMA2016年10月号特集

KAJIMA2016年10月号特集

図版:KAJIMA2016年10月号特集

写真:労働安全衛生・環境担当マネージャーAamさんと澤田課長代理

インドネシア・タンジュンプリオクの高架道路現場時代。労働安全衛生・環境担当マネージャーAamさんと澤田課長代理

Training 女性の働き方を支援する各種研修の開催

女性総合職のロールモデルが少ない現状への対策として,人事部ではライフイベントと仕事の両立や管理職へのキャリア構築に対する不安を抱える女性社員に対し,研修を通じフォローアップしている。

「出産前後の女性総合職向け研修」では,育児と仕事を両立している先輩社員の経験談や外部講師を招いてのグループワークなどを通じ,出産後の継続就労に対する不安の払拭,キャリアプランの描き方についてアドバイスが行われる。会場には託児室や授乳室が設置され,育児休業中の社員も子供と一緒に参加できる環境を整えている。この他にも,役職者としての働き方を学ぶ「女性総合職キャリア研修」や男性管理職の意識改革を図る「上司セミナー」や「初級マネジメント研修」などを実施している。

写真:研修の様子

研修の様子

写真:研修の様子

写真:子育て中の松本課長代理

子育て中の松本課長代理。各研修では,先輩方の経験談が参考になり,様々な気づきがあったという

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Trial 柔軟な働き方を考える――「テレワーク」(在宅勤務)

わが国では,一億総活躍社会の実現に向け,「働き方改革」へのチャレンジをスタートさせた。当社は,押味社長を座長に全社部署横断での「鹿島働き方改革ワーキンググループ」を発足し,「次世代の担い手確保」の観点から現業部門のあり方そのものを見直す現業部門の働き方改革と,生産性向上による長時間労働の削減を目標とする社員の働き方改革を実施することで,誰もが活き活きと働ける職場環境の実現に向けた取組みを推進中だ。

その一環で,社員各自の仕事の特性に応じた柔軟な働き方についても検討を重ねている。そのひとつの方法として「テレワーク」(在宅勤務)に注目し,9月から竹之内設計主査に協力してもらい,在宅勤務のトライアルを開始する。

在宅勤務のトライアルについて,人事部の岡崎健二ダイバーシティ推進グループ長は「働き方改革への関心が高まり,柔軟な働き方の推進にも強力なフォローの風が吹いている。あくまでも,働き手の確保・働く意欲のある社員への支援という観点から,在宅勤務制度の導入について検討していきたい」と話す。トライアルを前に竹之内設計主査は「一緒に仕事をする人が困ることのないように,普段からコミュニケーションを密に取り,業務の進捗状況を周囲と共有していきたい。育児・介護・病気などで勤務時間に制約のある人が業務時間を確保できる一助になれば嬉しい」と意気込みを語る。

写真:在宅勤務にトライアルすることになった竹之内設計主査

在宅勤務にトライアルすることになった竹之内設計主査

Network ドボジョのネットワーク「土木技術者女性の会」

土木を仕事にする女性技術者や土木に興味をもつ女子学生たちをつなぐネットワークが,「土木技術者女性の会」だ。はじまりは,土木学会誌(1982年9月号)で企画された女性土木技術者の座談会だった。「日本各地で孤軍奮闘する女性土木技術者が情報交換できるような会を…」という誌上での呼びかけで,業界各社から有志の女性土木技術者30名が集まり活動がスタートした。

女性土木技術者間での励ましあい,知識向上,働きやすい環境づくり,社会的評価の向上,後輩へのアドバイスを主な活動目的に,会員スタッフが勉強会・見学会・懇親会などの活動を展開し,交流を図ってきた。発足30周年を迎えた2013年には一般社団法人として新たなスタートを切り,現在会員数は300人を超えた。

須田担当部長は発足当初からのメンバー。中心となって立ち上げた「坑内労働規制緩和活動WG」は,実務に従事する女性技術者の立場から,女性の坑内労働禁止の規制緩和を経団連を通じ政府に要望し,労働基準法の一部改正を実現した(2007年4月施行)。現在は運営委員・人材育成担当として,主に次世代の育成に力を注いでいる。

図版:創立30周年記念行事として開催されたフォーラムのポスター

創立30周年記念行事として開催されたフォーラムのポスター

図版:「Civil Engineerへの扉」

土木技術者をめざす後輩へ向けて,様々なロールモデルを紹介した冊子「Civil Engineerへの扉」

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