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片持張出し架設工法
(移動作業車)

一般型、大型、超大型移動作業車の多彩なバリエーションを保有

橋梁工事では、片持張出し架設に多く用いられている施工機械に移動作業車があります。鹿島では、施工ブロック長や打設するコンクリート重量に対応して一般型、大型、超大型などの移動作業車を多数保有しています。最近では、波形鋼板先行架設対応型や鉄筋先組み対応型など様々な技術的要素を取り入れており、幅員や主桁本数の増減に対応できるものなどバリエーションを豊富に取り揃えています。また、超大型に関しては、国内最大級であり最大ブロック長8.0mまで施工可能としています。

特許出願中

図版:圏央道 裏高尾橋全景

圏央道 裏高尾橋全景

キーワード
移動作業車、一般型、大型、超大型、波形鋼板先行架設、吊り込み、鉄筋先組み、集中制御、タッチパネル、橋梁コスト、主桁断面

新型移動作業車の特徴

新型移動作業車は、PC建協標準の一般型・大型移動作業車及び波形ウェブ型移動作業車に準拠し、今般多く求められている打設長(4m~5m)、設置スペース(柱頭部長さ12m)等の仕様を確保したメインフレーム構造となっています。設備面では、レール+トロリーを使用した波形鋼板先行架設設備や転用・改造を容易に行えるフレキシブルな上下梁のシステム構築を有しており、効率化を図ったシンプルな構造となっています。さらに、移動作業車が軽量化されたことにより、組立用クレーンの能力を下げることができ、組立時の作業ヤードも狭くて済みます。また、組立時の寸法を縮小したことにより柱頭部での2基同時組立が可能になり、柱頭部・移動作業車の組立・張出(1BL目)の施工において、連続した施工ができるため、1施工サイクル分の工期短縮が可能です。油圧システムは、電磁制御にしたため、インターロックによる誤動作防止機能を有することにより安全性が向上しています。

図版:新型移動作業車概念図

新型移動作業車概念図

図版:油圧集中制御システム

油圧集中制御システム

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特長・メリットココがポイント

作業性の向上に貢献

可動部分を車輪形式からスライド式とすることで、移動時におけるレール上の逸走を抑制でき、構造をコンパクト化することで作業性の向上に貢献しています。

  • レール(build-H)の滑り面をステンレス板(SUS304磨き)とし、滑り材は MCナイロン材(MC703HL)を採用しています。この滑り材は、摩擦測定実験を行い、摩擦力の抵抗値を確認しています。

図版:移動装置における従来型から新型への改良点

移動装置における従来型から新型への改良点

誤作動の防止と作業人工の削減を可能に

各油圧ジャッキの動作は、タッチパネルを用いた集中制御とすることで、誤作動の防止や作業人工の削減を可能としました。

  • メインジャッキ、アンカージャッキ、推進ジャッキ、型枠ジャッキを個別、又は一括でタッチパネルから作動させることができ、移動・据付け作業の省力化を実現した油圧制御システムです。
  • 2主構から3主構へ増設した場合でもインバータ制御にて、ジャッキストロークを調整しながら同時に作動させることができます。

図版:油圧ジャッキ制御システム

油圧ジャッキ制御システム

橋体幅員に合わせた断面を実現

移動作業車の上下梁材をシステム化することで、橋体幅員に合わせた断面に組み替えることができます。

  • 梁と各部材や付属品取付部を標準化し、任意の位置に取付可能です。
  • 主構材を増設することにより、幅員を延長することができます。システム梁の実績は、最大幅員36.0mを適用しました。

適用工事:第二京阪(大阪北道路)私部西地区PC上部工事

システム梁

システム梁

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適用実績

図版:新東名高速道路 河内川橋工事

新東名高速道路 河内川橋工事

場所:神奈川県足柄上郡

竣工年:2027年(予定)

発注者:中日本高速道路

規模:橋長 上り線771.0m 下り線692.0m 
鋼・コンクリート複合連続バランスドアーチ橋2連

図版:新東名高速道路尾川第一橋(PC上部工)下り線

新東名高速道路尾川第一橋
(PC上部工)下り線

場所:静岡県島田市

竣工年:2008年10月

発注者:中日本高速道路

規模:橋長224.0m 幅員16.5m 
PC4径間連続ラーメン箱桁橋

図版:第二京阪(大阪北道路)私部西地区PC上部工

第二京阪(大阪北道路)
私部西地区PC上部工

場所:大阪府交野市

竣工年:2010年2月

発注者:国土交通省近畿地方整備局

規模:上下線橋長329.5m 幅員27.0m 
PC6径間連続箱桁橋

図版:首都圏中央自動車連絡道裏高尾橋

首都圏中央自動車連絡道裏高尾橋

場所:東京都八王子市

発注者:中日本高速道路

規模:上り線橋長296.2m 幅員9.75~17.79m 下り線橋長316.5m 幅員9.75~18.19m 
波形鋼板ウェブPC連続箱桁橋

図版:新東名高速道路臼子橋

新東名高速道路臼子橋

場所:愛知県新城市

発注者:中日本高速道路

規模:上り線橋長816.0m 幅員10.75m 
下り線橋長743.0m 幅員10.75m 
PC8径間連続波形鋼板ウェブ箱桁橋

図版:新東名高速道路野田川橋

新東名高速道路野田川橋

場所:愛知県新城市

発注者:中日本高速道路

規模:上(下)線橋長265.0m(256.0m)
幅員10.75m 
PC3径間連続波形鋼板ウェブ箱桁ラーメン橋

図版:新東名高速道路豊川橋(PC上部工)

新東名高速道路豊川橋(PC上部工)

場所:愛知県新城市

発注者:中日本高速道路

規模:上(下)線橋長491m(504.0m)
幅員10.75m PC9径間連続波形鋼板ウェブ+コンクリートウェブ箱桁橋

図版:徳島自動車道池田湖橋

徳島自動車道池田湖橋

場所:徳島県三好郡

竣工年:1998年3月

発注者:西日本高速道路

規模:上り線橋長705.0m 幅員9.0m 
PC5径間連続バランスドアーチ橋

図版:茶間川橋上部工

茶間川橋上部工

場所:兵庫県津名郡

竣工年:1997年11月

発注者:本州四国連絡高速道路

規模:上(下)線橋長148.5m(159.0m)
幅員13.75m 鉄筋コンクリート固定アーチ橋

図版:帯広広尾自動車道芽室町士狩大橋上部

帯広広尾自動車道 芽室町士狩大橋上部

場所:北海道河西町

竣工年:1999年3月

発注者:北海道開発局帯広開発建設局

規模:橋長610.0m 幅員23.0m~29.832m 
大偏心外ケーブル方式(エクストラドーズド)
5径間連続PC箱桁橋

高橋脚用クライミングフォーム

自昇式足場による橋脚の施工

近年、高速道路等での橋梁は山間部に構築されることが多く、急峻な地形により高橋脚となる事例が数多く見受けられます。従来の施工方法(総足場)では1リフト毎に足場組立の工程が入るため他の作業の施工ができませんでした。これらの問題を解決するために、鹿島では高橋脚を施工するに当たり、工期短縮、高所作業の簡略化を目的に型枠と足場が一体となったクライミングフォームを採用し高所作業での安全性の向上と工期短縮を図っています。

図版:新名神高速道路 川下川橋P2橋脚

新名神高速道路 川下川橋P2橋脚

キーワード
クライミングフォーム、自動昇降足場、高橋脚

クライミングフォームの概要

クライミングフォームは作業足場と型枠が一体構造となった施工設備です。作業足場は上昇用レールと一体化されており、既設コンクリートに設置してある固定ガイディングシューの可動ピンに、上昇用レール先端の爪部を掛けることによりシステム全体を固定する構造となっています。作業足場が一体となった型枠は、型枠のセットや脱型が容易に出来るよう、専用ラチェットを用いることで最大70cmのスライドが可能です。また、型枠調整スピンドルも配置され型枠の立ちの調整機能が備わっています。クライミングフォームには橋脚各辺に上昇用ジャッキが各2基配置されており、合計8基のジャッキでシステム全体を上昇させる構造です。

図版:クライミングフォーム概要図

クライミングフォーム概要図

図版:クライミング上昇システム概要図

クライミング上昇システム概要図

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特長・メリットココがポイント

クライミングフォームにより工程短縮

クライミングフォームを使用することにより在来工法(総足場)より1リフト2日の工程短縮を図れます。そのためリフト数の多い高橋脚程効果を発揮します。

  • リフト毎の足場組立が省略出来ることにより工程短縮が図れます。
  • 高所での作業が少なくなることにより墜落・転落災害の危険が減少します。

図版:工程比較

工程比較

適用実績

図版:東海北陸自動車道鷲見

東海北陸自動車道鷲見

場所:岐阜県郡上郡

竣工年:1998年10月

発注者:日本道路公団

規模:橋脚数3基 P1:55m P2:118m 
P3:68m

図版:本郷大和線橋梁(空港大橋右岸側下部工)

本郷大和線橋梁整備
(空港大橋右岸側下部工)

場所:広島県豊田郡

竣工年:2003年12月

発注者:広島県

規模:橋脚数4基 P1:30m P2:58.7m 
P3:72m AP1:89.5m

図版:新東名高速道路佐奈川橋

新東名高速道路佐奈川橋

場所:愛知県豊川市

竣工年:2012年10月

発注者:中日本高速道路

上り線:P1:28.9m P2:64m P3:85.5m P4:73m P5:49.5m 
下り線:P1:33m P2:61.5m P3:89m P4:66.5m P5:23m

図版:新名神高速道路川下川橋

新名神高速道路川下川橋

場所:兵庫県宝塚市

発注者:西日本高速道路

規模:脚数2基 P1:25m P2:95m

斜張橋用クライミング足場

大規模斜張橋主塔分岐部を急速施工

世界で初めてとなる波型鋼板ウェブを有するPC斜張橋(最大支間235m、橋長820m)を施工するにあたり安全性・経済性の確保と工期短縮の観点から主塔分岐部の施工に斜張橋用クライミング足場を開発しました。

このクライミング足場は、逆Y型の主塔にも対応すべく、作業足場が上昇するとともに、横方向にも移動できるシステムを有するもので、どのような形状の主塔にも対応することが可能です。

平成16年度プレストレスコンクリート 技術協会賞
平成16年度土木学会 田中賞

図版:斜張橋用クライミング足場

斜張橋用クライミング足場

キーワード
斜張橋、急速施工、クライミング足場

クライミング足場の概要

斜張橋用クライミング足場は、ガイドレール(反力柱)、75t油圧ジャッキ4基、押上ビーム(L=14m)2基、クライミングトラス(L=65m)2基及び上・下足場から構成され、クライミングトラス上に組立てられた作業足場を施工リフト毎にジャッキにて自動上昇させる機構を有します。ガイドレールは、躯体ごとに2本設置し各1基のジャッキを設置しました。主塔側面にある押上ビームはジャッキと一体になっており、ジャッキの伸縮で押上ビーム上に設置されたクライミングトラス及び上・下足場が上昇・下降が可能です。主塔分岐部は、傾斜により高さが増すごとに施工部位が中央に移動するため、クライミングトラス及び足場は水平調整ジャッキ等を用い移動する構造としています。

図版:クライミング足場全体図

クライミング足場全体図

図版:クライミング足場平面図

クライミング足場平面図

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特長・メリットココがポイント

柱頭部上の足場の省略と高所作業の簡略化

主塔は逆Y字型の構造であるため、高さが増す毎に足場も中央に寄る必要があることから、通常の総足場工法では柱頭部に総足場を設置することになります。本工法を採用することにより柱頭部上の足場の省略、高所作業の簡略化および工期短縮が図れます。

  • トラス下の空間を有効利用できます。
  • 主塔と柱頭部の同時施工ができます。

図版:クライミング足場概要図

クライミング足場概要図

適用実績

図版:新東名高速道路矢作川橋(PC・鋼複合上部工)

新東名高速道路矢作川橋
(PC・鋼複合上部工)

場所:愛知県豊田市

竣工年:2005年3月

発注者:日本道路公団

規模:4径間連続PC・鋼複合斜張橋(波型鋼板ウェブPC箱桁+鋼床板箱桁) 
全長820mの内西側480m

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