耐震補強
「円弧拘束RCダンパ工法」
鉄筋コンクリート部材を用いた制震工法による橋梁の耐震補強工法
制震工法は、長周期化や減衰付加により、橋脚や基礎に作用する地震力を低減できる工法です。制震工法は機械式ダンパや鋼製ダンパによる工法が一般的であるが、耐久性やコストの面で課題がありました。
円弧拘束RCダンパ工法は、従来の制震工法にあった耐久性やコスト面での課題を解決するために、RCダンパ部材に円弧拘束機構を付与した制震ダンパ工法です。
本工法は、この円弧拘束機構の付与により、地震時に繰り返し生じるRCダンパ部の大きな変形に対して、安定した変形性能と減衰性能を有しています。RCダンパが曲げ変形する際にRCダンパ内部の軸方向鉄筋が塑性変形することで、ダンパとしての減衰力が得られます。また、RCダンパ部は高密度ポリエチレン管で被覆された部材としているので、塩害などに対して高い耐久性を確保することが可能となっています。
特許登録済及び特許出願中
- キーワード
- 橋梁、制震、耐震補強、ダンパ、耐久性
従来RC部材の2倍以上の高い繰返し変形性能
一般的な鉄筋コンクリート部材は、地震時繰返し変形を受けて、断面力が大きくなる部材端部にて鉄筋降伏により塑性ヒンジが形成され、コンクリートの圧縮破壊、鉄筋の座屈によるかぶりコンクリートの剥落、及び鉄筋の破断によって耐力が低下し、部材としての終局に至ります。本円弧拘束RC工法は、塑性ヒンジ部を緩やかな円弧形状に変形させることにより、鉄筋コンクリート部材の繰返し変形性能を飛躍的に高めることを可能としています。従来の鉄筋コンクリート部材の限界変形性能が部材角4%程度(せん断スパン長1,000mmに対し、水平変形量40mm)とされているのに対し、本円弧拘束RCダンパは、部材角8%以上(従来技術の2倍以上)の繰返し変形性能を有することを、実物大試験体を用いた構造実験で確認をしています。
特長・メリットココがポイント
高い繰返し変形性能
地震時に生じる大きな繰返し変形に対して、非常に安定した性能を有します。多数回地震動に対しても高い安全性を有します。
- 高い変形性能(水平変形±160mm以上)
- 多数回地震に対する安定性(繰返し100回以上鉄筋破断等の脆性的な破壊なし)
- 明快な力学メカニズム(様々な条件で設計可能)
塩害等に対する高い耐久性
ダンパ部は、高密度ポリエチレン管で被覆されていますので、海岸線に近い環境にける塩害等に対して高い耐久性を有します。高密度ポリエチレン管は、斜張橋ケーブルや電線の被覆材として多数の実績があり、信頼性の高い材料です。
低価格の制震ダンパ
橋脚や基礎に作用する地震力を低減する耐震補強として制震工法が有効ですが、機械式ダンパなどでは高いコストが課題でした。本工法では、機械式ダンパなどと比較して低価格で制震工法を採用することが可能となります。また、機械式ダンパで必要な塗装などのメンテナンス費を大幅に削減することが可能となります。
適用実績
高速道路耐震補強
規模:設置ダンパ約200本
連続繊維シートによる橋脚の耐震補強工法
炭素繊維及びアラミド繊維を用いた巻き立て補強工法
炭素繊維やアラミド繊維は、鋼材に比べて高強度・高耐久性・軽量・施工が容易という特徴を有しており、付加価値の高い建設材料として注目されています。これらの連続繊維をシート状にして、樹脂接着剤を用いて橋脚表面に貼り付けることにより、橋脚のせん断耐力や靱性(変形性能)の向上を容易に行うことができます。
鹿島では、さまざまな構造実験を行い、炭素繊維シート及びアラミド繊維シートを用いた橋脚の耐震補強工法を確立しています。
- キーワード
- 橋脚、耐震補強、連続繊維シート、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、巻き立て
施工手順の概要
連続繊維シートの一般的な施工手順はフロー図に示すとおりで、連続繊維シートを必要回数だけ繰り返し貼付することにより設計で要求される耐震補強性能を確保します。
連続繊維シートや接着剤などの使用材料は鋼板補強に比べて軽量であるため、揚重機などを使用しないで施工場所へ搬入することができます。また、連続繊維シートは補強対象構造物の形状に合わせて現地で切断加工することができます。
特長・メリットココがポイント
連続繊維シートの特徴
連続繊維シートには、次のような特徴があります。
- 高強度(PC鋼材以上の引張強度)
- 軽量(比重が鋼材の1/5程度)
- 高弾性(鋼材の1~3倍の弾性係数)
- 高耐久性(腐食の心配がない)
炭素繊維シート
- 軽量かつ高強度で施工が簡便
- 破断ひずみが大きいため、繊維が破断しにくい
- 耐衝撃性が高く、地震波などの衝撃に強い
- 電気絶縁性があり、通電トラブルがない
アラミド繊維シート
連続繊維シートの機械的性質
連続繊維シートの代表的な機械的性質を示します。必要補強量に応じて、繊維目付量と積層枚数を適切に組み合せて使用します。
適用実績
田尻スカイブリッジ耐震補強
場所:大阪市泉南郡田尻町
竣工年:2021年
発注者:大阪府
規模:炭素繊維シート7,800m2
アラミド繊維シート3,500m2
京急久里浜駅構内耐震補強
場所:神奈川県横須賀市
竣工年:2009年5月
発注者:京浜急行電鉄
使用材料:アラミド繊維シート
鶴見つばさ橋耐震性向上
場所:神奈川県横浜市
竣工年:2006年9月
発注者:首都高速道路公団
規模:炭素繊維シート6,800m2
学会論文発表実績
- 「炭素繊維シートによる鶴見つばさ橋主塔橋脚SRC構造部の耐震補強効果確認実験」,構造工学論文集Vol.53A,土木学会,2007年3月
- 「アクリル樹脂を用いた鶴見つばさ橋主塔橋脚の耐震補強工事」,土木学会,第35回関東支部技術研究発表会,2008年3月
スマート床版更新(SDR)システム®
安価で高速施工を可能に、ソーシャルロスを大幅に低減
道路橋の床版更新は供用中に工事を行うため、交通規制等によるソーシャルロスを最小限にすることが最重要課題です。具体的には、規制期間を最小限とする「工程短縮」技術や、規制範囲を最小限とする「安全施工」技術が求められています。
そこで鹿島は、同時並行作業による「工程短縮」や、専用の床版撤去・架設機による「安全施工」により、ソーシャルロスの大幅な低減を可能とする『スマート床版更新(SDR※)システム』を開発しました。
本システムは、床版取替にかかわる4つの作業、①既設床版の縁切り・撤去、②主桁ケレン、③高さ調整工、④新設床版の搬入・架設を、それぞれ専門の作業班が前進しながら並行して作業する、いわゆる『移動式工場』を目指した施工システムです。①から④までの作業を順々に繰り返していく標準的な施工方法と比べ、各作業班での連続作業が可能となり、工期の大幅な短縮を実現します。
2023年度エンジニアリング奨励特別賞
特許出願中
関連情報
- キーワード
- 床版更新、ソーシャルロス低減、安価、高速施工
施工の流れ
本システムでは、以下の①~④の作業を同時並行で行います。
①既設床版の縁切り・撤去
撤去可能な大きさに切断した既設床版上に、新たに開発した床版撤去機から吊り下げた剥離装置をセットし、鋼桁から床版を引きはがし、場外に搬出します。
②主桁ケレン
鋼桁上フランジのケレン作業を行い、防錆材を塗布します。新たに開発したR面取りロボットやケレンロボットを適用することで作業員の負担軽減が可能となります。
③高さ調整工
床版の高さを調整するための硬質ゴムと、床版下の無収縮モルタルの漏れ止めとなるソールスポンジを設置します。
④新設床版の搬入・架設
新設床版を乗せたターンテーブル付の床版運搬台車を、新たに開発した床版架設機の内部を通過させながら架設位置の手前まで移動します。ターンテーブルを90度回転して床版架設機で新設床版を吊り上げ、架設位置まで前進し、床版を降下・設置します。
特長・メリットココがポイント
高速
4つの作業ステップを同時並行で行うことにより、大型クレーンを1台使用した標準的な施工方法に比べ、既設床版の撤去から新設床版の架設までの工程を1/6に、大型クレーンを2台使用した場合に対して1/3と大幅に短縮できます。
安全
床版撤去機および床版架設機の内部を、床版搬出用トラックおよび床版運搬台車が通過できるため、既設床版および新設床版の旋回を伴う揚重作業が不要となります。これにより、最小規制範囲での施工が可能となり、一車線規制による半断面施工時においても、近接する交通や周辺施設に対する安全性が確保できます。
軽量
軽量な床版撤去機および床版架設機(ぞれぞれ約5t)を用いることで、大型クレーン(約60t)を用いた標準的な施工方法に対して、施工時に鋼桁に与える影響(発生応力)を1/2~1/3に大幅に低減できます。
サイトプレキャスト工場
本システムの採用に加えて、JIS認証(JIS A 5373)を取得したPC床版を製作するプレキャスト工場を、工事現場の近傍に設置することで、床版の製作費や運搬費が削減でき、工事費の2割程度の低減が見込めます。また、床版部材の車両運搬に伴う騒音振動や交通渋滞、CO2排出等による社会的損失(ソーシャルロス)を削減することで、本システムの効果を一層高められます。さらに、サイトプレキャスト工場とすることで、地元企業から生コンクリートの調達が可能となり、地元との協業も図ることができます。
実物大実証実験
2019年9月に、既設床版の縁切り・撤去、新設床版の搬入・架設作業を対象として、サイクルタイムおよび施工安全性の検証を目的とした実物大実証実験を行い、本システムの有用性を確認しました。
学会論文発表実績
- 「スマート床版更新(SDR)システム」,土木施工,VOL.61,2020年7月
- 「安価にして高速施工を可能にする床版更新工法」,建設機械施工,VOL.72,No.6,2020年6月
UFC道路橋床版
超高強度繊維補強コンクリート「サクセム®」を用いた
軽量で高耐久なプレキャスト床版
UFC道路橋床版は、高い強度と耐久性を併せ持つ超高強度繊維補強コンクリート「サクセム®」を用いた軽量で高耐久なプレキャスト床版です。平板型UFC床版とワッフル型UFC床版の2つのタイプがあります。都市部における老朽化した高架橋の床版取替えや軟弱地盤に建設される高架橋など、軽量であることが求められる工事に適用する床版として、阪神高速道路株式会社と共同開発しました。
①平板型UFC床版
既設RC床版の更新に適した床版で、軽量であるため鋼桁や下部構造の補強を最小限に抑えることができます。阪神高速玉出入路橋および阪神高速守口線高架橋に適用し、専用架設機を用いた架設により、品質だけでなく工程においても通常のPC床版よりも優れていると評価されました。旧基準で設計された薄いRC床版の更新工事を中心に展開を図ります。
②ワッフル型UFC床版
鋼床版に近い軽さを有する2方向のリブ付き床版で、新設橋に適した床版です。阪神高速信濃橋入路橋に適用し、当初計画されていたRC床版から床版重量を54%削減することにより、主桁構造の簡素化や架設クレーンの小型化を図ることができました。疲労き裂が問題となっている鋼床版を代替できる床版として期待されており、鋼橋新設工事を中心に展開を図ります。
平成30年度土木学会 田中賞 作品部門
平成26年度PC工学会賞 論文賞
平成30年度および令和元年度PC工学会賞 技術開発賞
令和3年度コンクリート工学会賞 技術賞
令和3年度エンジニアリング功労者賞
令和3年度土木学会 技術賞
令和3年度PC工学会賞 作品賞 改築・改修部門
NETIS KK-190043-A
土木学会 技術評価証
特許登録済
- キーワード
- 超高強度繊維補強コンクリート、UFC、床版、疲労、耐久性、軽量
UFC道路橋床版の特長
100年相当を超える耐疲労性
UFC道路橋床版は超高強度繊維補強コンクリート「サクセム」製のプレキャスト床版に、橋軸方向と直角方向にプレストレスを導入する構造です。2方向に高いレベルのプレストレスを導入することによって、耐疲労性の向上を図っています。輪荷重走行試験の結果、供用期間100年相当の走行回数を上回り、通常のPC床版と同等以上の耐疲労性を確認しています。
高耐久化
超高強度繊維補強コンクリート「サクセム」は組織が緻密なため高い耐久性を有しています。また、「サクセム」の高い圧縮強度を活かしたコンパクトな定着体を支間中央の交差定着部および床版端定着部に配置することによってフルプレキャスト化を実現し、場所打ち部を無くすことによって更なる高耐久化を可能としています。
UFC道路橋床版の適用によるメリット
薄肉・軽量化
超高強度繊維補強コンクリート「サクセム」の高い強度を活かした2方向プレストレスにより薄肉・軽量化を実現しました。
- 取替え前の旧基準で設計された薄いRC床版より約2割※薄く、更新後の路面高さの変更が不要となります。
- 通常のPC床版の約2/3の重量※となり、床版取替えに伴う鋼桁の補強量を大幅に低減できます。
専用架設機により狭隘な空間での架設および工程短縮が可能
軽量なUFC道路橋床版の特長を活かし、設置した床版上を専用架設機が走行して床版を運搬架設できます。
- 自走式の専用架設機で設置するためクレーン旋回時の側道の交通規制等が不要となり、狭隘な空間でも安全に床版の架設が可能です。
- トラックの荷台から床版を直接受け取り旋回、運搬して架設することでUFC道路橋床版の架設工程を短縮できます。
適用実績
阪神高速15号堺線玉出入口
場所:大阪市西成区
竣工年:2019年3月
発注者:阪神高速道路
規模:橋長22.000m×3径間
全幅員6.250m 平板型UFC床版39枚
阪神高速12号守口線
場所:大阪市北区
竣工年:2021年5月
発注者:阪神高速道路
規模:橋長35.000m
全幅員17.600m~18.640m
平板型UFC床版42枚
阪神高速信濃橋入路橋
場所:大阪市西区
竣工年:2020年1月
発注者:阪神高速道路
規模:橋長37.000m 全幅員5.750m
ワッフル型UFC床版15枚
学会論文発表実績
- 「鋼床版と同等の軽量かつ耐久性の高いUFC道路橋床版の開発」,プレストレストコンクリート,Vol.56,No.1,2014年
- 「ワッフル型UFC床版の構造設計および使用性検討」,土木学会論文集A1,Vol.74,No.3,2018年
- 「平板型UFC床版の設計・製作・架設 ─阪神高速道路15号堺線玉出入路橋の床版取替え─」,橋梁と基礎,Vol.53,No.7,2019年
- 「ワッフル型UFC床版の実適用 ─阪神高速道路信濃橋入路橋─」,橋梁と基礎,Vol.54,No.2,2020年
- 「上下線一体合成鈑桁橋への平板型UFC床版の適用 ─阪神高速12号守口線床版取替え工事─」,橋梁と基礎,Vol.55,No.9,2021年
UHPFRCによる道路橋床版の打替え・補強工法
超高性能繊維補強セメント系複合材料を用いた
コンクリート床版と鋼床版、双方に効果的なリニューアル工法
高度経済成長期に完成した道路橋の老朽化が進み、道路橋の補修・補強は喫緊の課題となっています。これまで、交通荷重による疲労や凍結防止剤散布による塩害等で劣化した道路橋のコンクリート床版は、アスファルト舗装をはがし床版上面の一部を撤去して新規に鋼繊維補強コンクリートで増厚する補修が行われてきました。しかし、従来工法では早期に再劣化の生じる事例が散見されていることに加え、構造上床版を撤去・取替えできない形式の橋梁もあることから耐久性に優れる新しい補修・補強工法が求められていました。また、鋼床版についても交通荷重の累積により疲労亀裂が顕在化している事例があり、従来の増厚補強では路面が高くなることで生じる段差を擦り付ける工事が必要となる場合がありました。
本工法は、鋼繊維を多量に混入した超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC※)を現場打設することによって、薄層での補修・補強でありながら高耐久な床版を構築するものです。本工法は中日本高速道路株式会社との共同開発です。
関連情報
- キーワード
- 超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)、大規模更新・修繕技術、床版打替え・補強工法、ライフサイクルコスト低減
施工の流れ
①アスファルト舗装の撤去
コンクリート床版や鋼床版上のアスファルト舗装を、バックホウ、スクレーパーなどによって剥離・撤去します。(鋼床版の場合、プライマーや塗膜防水層も取り除きます)
②コンクリート床版の切削
劣化したコンクリート表層を、ウォータージェットなどを用いて取り除きます。(塩化物イオンの浸透状況やひび割れなど、劣化状況を調査しながら取り除く範囲を決定します)
③接着剤やプライマーの塗布
UHPFRCを打ち込む前に、既設の床版に一体性を確保するために接着剤やプライマーを塗布します。(コンクリート床版は額縁状など切削面の状態に応じて、鋼床版は全面に塗布します)
④UHPFRCの製造
現場の敷地内もしくは近郊に仮設のバッチャープラントを用意し、UHPFRCを製造します。(市中の生コン工場での製造も可能です)
⑤UHPFRCの打込み、敷均し
専用のフィニッシャーなどを用いてUHPFRCを打込み、敷均しを行い、所定の厚さに仕上げます。
⑥防水工およびアスファルト舗装工
硬化したUHPFRCの上に、床版防水を施工した後、アスファルト舗装を行います。(床版防水の代わりに、防水性に優れるアスファルト舗装を行う場合もあります)
特長・メリットココがポイント
耐久性および耐荷力の向上
UHPFRCは超高強度であるため、コンクリート床版・鋼床版のどちらのリニューアルにおいても、断面修復や床版増厚の量を最小限に抑えることができます。床版への耐久性向上効果や補強効果について、劣化促進試験や大型構造実験などで確認しています。
- 道路橋床版自体の重量を減らすことができ、橋梁下部工の補強が不要となります。
- UHPFRCは優れた引張特性を有するため、鉄筋に頼らない補強が可能となります。
- 耐久性の高い床版にできることから、ライフサイクルコストの低減に大きく寄与します。(アスファルト舗装を除く)
ひび割れ抵抗性に優れた特性
一般的には、セメント系材料は高強度にするほどセメント量が多く必要となり、これに応じて収縮量も大きくなります。鉄筋や床版がこの収縮を拘束するとひび割れが生じるリスクが高くなると言われています。開発したUHPFRCは、打込みから硬化する早い段階(若材齢)で、クリープやリラクセーションという効果によって拘束される応力が緩和されるという特長を有します。
- 収縮が完全に拘束された状態においても、ひび割れが発生しないという効果を実験で確認しています。(硬化速度や時間を適切に管理することが重要です)
- 万が一ひび割れが発生した場合でも、UHPFRCの優れた引張特性によりひび割れは極めて微細となり、耐久性の低下を抑制します。
UHPFRCの流動性を任意にコントロール
UHPFRCは流動性が非常に高いため、一般的には複雑な形状を有する型枠への流し込み施工に適した材料です。道路には必ず縦断・横断勾配があり、この勾配によって先流れが生じる懸念がありますが、現場で流動性をコントロールする技術を開発し、最大9%の勾配まで施工できます。
- 勾配に応じて任意にUHPFRCの流動性を調整し、先流れをせずに施工厚さや平坦性を確保できます。
- 流動性の調整は打込み直前や打込み最中に行えるため、“その場で”対処することができます。
- 最大9%の勾配まで先流れせずに仕上げられることを確認しています。
実大施工実験
2019年にコンクリート床版および鋼床版を模擬したフィールドを用い、簡易バッチャープラントによるUHPFRCの製造、施工機械による施工性の検証を目的とした実大実験を行いました。また、UHPFRCの硬化後には床版との一体性や、現場打ちしたUHPFRCの耐久性などを評価し、各種性能が良好であることを確認しました。
学会論文発表実績
- 「超高強度繊維補強コンクリートの道路床版打替え工法への適用に関する研究」,第26回プレストレストコンクリート工学会,シンポジウム論文集,2017年
- 「道路橋床版の打替え・補強工法におけるUFC界面の付着特性に関する検討」,土木学会,第73回年次講演概要集,2018年
- 「UHPFRCによる道路床版打替え・補強工法に向けた実大施工実験」,第28回プレストレストコンクリート工学会,シンポジウム論文集,2019年
- 「UHPFRCを用いた道路橋床版の打替え・補強工法における床版界面の付着特性と振動エネルギーに関する実験的検討」,コンクリート工学年次論文集,Vol.42,No.1,2020年
- "Full-Scale Construction Test For Improvement of RC Void Slab Bridges using UHPFRC – PART 2: Experimental Test Results",RILEM-fib X International Symposium on Fibre Reinforced Concrete,BEFIB2020,2020年