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廃棄物処理と最終処分場

熊本県公共関与管理型最終処分場「エコアくまもと」の事例

熊本県北部の環境拠点としての機能を有し、全国のモデル施設にすることを目指して整備された公共関与管理型最終処分場である「エコアくまもと」。設計と建設を鹿島JVが請負い、維持管理を鹿島環境エンジニアリングJVが担当している施設です。
環境保全型処分場を実現するために、本プロジェクトで実際に取り組んでいることを紹介いたします。

図版:熊本県公共関与管理型最終処分場「エコアくまもと」

エコアくまもと(施設全景)

施設概要

企業者:
公益財団法人 熊本県環境整備事業団
工期:
2013年7月~2015年10月
施設規模:
埋立面積 31,121m2
埋立容量 423,395m3
覆蓋施設面積 31,532m2
浸出水処理能力 60m3/日
施設の種類:
産業廃棄物管理型最終処分場
(クローズド・無放流型)
受入廃棄物:
産業廃棄物、災害廃棄物
  • 2016年度土木学会環境賞 受賞

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ポイント その1ライフサイクルコストを考慮して設計する。

Q

どういうこと?

A

建設に掛かるイニシャルコストだけではなく、埋立期間、管理期間を通してのランニングコストも考慮して、処分場事業に掛かるライフサイクルコストを低減させる設計を行いました。

オープン型とクローズドシステムのライフサイクルコスト比較(例

オープン型に比べてクローズドシステム処分場は一般的に建設コストが掛かりますが、散水量をコントロールし、天候によらず安定した運転管理を行えるため、安定化が早く進み、管理期間が年単位で短縮されます。これにより、維持管理費まで含めたライフサイクルコストを低減することができます。

図版:オープン型とクローズドシステムのライフサイクルコスト比較(例)

※エコアくまもとではなく、一般的な規模の処分場で比較したイメージです。

Q

具体的な内容と、それによるメリットは?

A

鹿島の特許により、屋根構造を合理化し、鋼材使用量を減らすことで建設費を抑えました。散水を含めて運転管理を工夫し、埋立て後の管理期間を短縮、加えて浸出水の処理量を最小限にすることで、維持管理に掛かるランニングコストを低減しています。他にも天窓(トップライト)や採光窓を配置して自然光を屋内に取り込んで節電したり、浸出水を処理して散水に循環利用したりすることで、省エネルギー・資源循環に配慮しています。

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図版:ライフサイクルコストを削減

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ポイント その2安全・安心に最大限配慮する。

Q

どういうこと?

A

廃棄物の埋立に伴う周辺環境への影響を抑え、住民と地域の安全に配慮しています。他にも、大規模な自然災害にも耐えうる耐震・耐風性を備えるなど、様々なリスクに対応しています。

Q

具体的には?

A

施設の安全、住民の安心を最優先に考え、処理水は外部に一切放流せず、埋立地内の散水に循環利用しています。遮水層は2重の遮水工に加え、ベントナイト混合土、更に保護層も設けて多層構造とすることで、遮水性能の信頼性を高めています。また、電気式漏水検知システムに加え、埋立地の周囲6か所に設置したモニタリング井戸で地下水質をモニタリングしており、安全性を極限まで追求しています。
さらに、施設構造面では、日本で初めて埋立空間の中柱を斜めに設置することで、埋立作業性の向上、底部の遮水性の向上を実現しただけでなく、震度6強~7の地震や非常に強い台風にも耐えられる合理的な構造となっています。また、覆蓋施設を設けて外部環境と隔離することで、埋立地内で発生する埃や臭い、騒音を封じると同時に、地域の景観にも配慮しています。

Q

メリットは?

A

地下水汚染などに対する住民の不安に応え、施設整備・運営にご理解いただきました。
BCP(事業継続計画)の観点からみても、確実な稼働の維持に寄与しています。
2016年の熊本地震でも被害がなく、発災2週間後には災害廃棄物の受け入れを開始することができ、復興に貢献しています。

図版:地域の安全・安心を守る

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ポイント その3地域の自然や社会と調和する。

Q

どういうこと?

A

地域の生態系保全、地域のコミュニティースペース提供、熊本県北部の環境教育拠点など多くの機能を持つ施設として整備しました。

Q

具体的には?

A

雨水などが溜まってできたため池がある採石場跡地に、地域の生態系のシンボルであるホタルが飛翔する里山環境をビオトープとして構築、地域の生態系保全コアエリアとなっています。また、用地内に地元のシンボルであるサクラやツツジを植栽するなど、季節の変化を感じる地域交流の場となるように整備しています。竣工後からのモニタリング、そしてその結果にもとづく維持管理を行っており、県内外の児童生徒を対象に、埋立作業の見学ブースやため池、散策路を活用した環境学習プログラムが考案・実践されています。
「循環型社会」「低炭素社会」「自然共生社会」などの環境学習、 小学校への出張授業を通じて「自然環境」についても教育を実践し、「環境教育拠点」としての充実を図っています。

Q

メリットは?

A

迷惑施設と見られがちな最終処分場が、生物多様性保全、地域交流、環境教育拠点など多くの機能を持つことで、地域にとってシンボリックな施設となっています。
施設が持つこれらの機能を生かし、県内外の児童生徒をはじめ多くの環境学習参加者および施設見学者(年間約1,000人以上)を受け入れるだけでなく、環境イベントや教育プログラムに携わる学校関係者を対象とした研修の実施、地域交流の場として幅広く活用されています。

図版:環境教育拠点など多くの機能を持つ、地域のシンボリックな存在に

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ポイント その4安定した稼働により、無駄のない運営計画を
実現する。

Q

どういうこと?

A

施設の稼働率を高めることを意識した設計、維持管理を行っています。

Q

具体的には?

A

覆蓋施設を設けたことにより、悪天候であっても安定した廃棄物の受け入れを可能にしています。
クローズドシステム処分場を熟知した維持管理の専門企業(=鹿島環境エンジニアリング(株))が、実情に即した運転・維持管理、廃棄物の受入管理を行っており、トラブルの予見、適切な対応により、施設の安全・安定・安心な施設運営を実現しています。

図版:計画的な施設運営

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ポイント その5廃棄物の安定化を早める運転管理を行う。

Q

どういうこと?

A

廃棄物の埋立管理や散水計画を工夫することで、廃棄物の早期安定化を常に意識して運転管理を行っています。

Q

具体的には?

A

散水による洗い出しが有効な塩類等を多く含むもの、粉じん予防に適度な水分が必要なもの、水分が多い嫌気的な条件下では有害なガスが発生してしまうもの、主にこの3種類に分けて埋立管理をしています。これにより、全体に一様に散水するのではなく、廃棄物の種類や性状に合わせた散水や通気処理を行うことが可能になり、廃棄物の安定化を促進できます。

Q

メリットは?

A

廃棄物の安定化が早まることで、処分場廃止までの管理期間を短縮、管理コストを縮減できます。
また、廃止後の土地利用が早まるため、地域への還元を早めることができます。

改ページ

図版:管理コストを縮減! 早期の安定化を実現

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