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駅改良・バリアフリー化〜電車と人の流れを止めない駅の改修

都市での活動を支える公共交通のネットワーク。
その結節点として日々利用されている駅施設は,より便利で快適な空間へときめ細かな改良が進められている。
駅を使い続けながら,日夜,改造や設備更新,構造補強などが行われている駅「再生」の現場を紹介する。

歴史ある街の中心駅をバリアフリー化

神田駅改良他工事

工事概要

場所:
東京都千代田区
発注者:
東日本旅客鉄道
設計:
東日本旅客鉄道
規模:
耐震改修,昇降機設備基礎新設,
内装・外装改修,設備更新 延べ4,682m2
工期:
2010年6月〜2014年2月

(東京土木支店施工)

図

改ページ

画像:完成予想パース

完成予想パース(3点ともJR東日本提供)

画像:北部コンコース

北部コンコース

画像:駅西側道路

駅西側道路

真上で東北縦貫線の工事が行われているJR神田駅は,中央線・山手線・京浜東北線の各上下線を合わせて6線が通り,1日の乗降客数は20万人を超える。歴史を感じさせるレンガの高架がランドマークとなっているが,駅施設の構造や設備が古いため,駅利用者や通行する人にとって不便さが目立ってきていた。JR東日本は,バリアフリー化と駅周辺整備を計画。この工事を当社の施工で進めている。

神田駅は,通りで南北に分断され,それぞれに改札口をもつ。高架柱の林立する駅構内はホーム階に上がる途中に踊場がある2重構造になっている。この段差を解消してバリアフリー化する工事では,高架下の狭小な作業空間のため揚重機などの機材はほとんど使用できない。人力での搬入が主体となるため,資材は1ピース約200〜300kgに分割する。通常の5〜10分の一程度の大きさで,作業の手間も増える。さらに狭い駅構内スペースの作業では,電車と駅利用者の安全確保のため,現場スタッフ18名中4名を保安担当に割り当てる万全の体制を敷く。

工事はこれから本格化し,2014年春の完成を目指す。

写真:駅構内中2階の階段(北部コンコース)

駅構内中2階の階段(北部コンコース)

写真:手作業主体の狭い工事スペース

手作業主体の狭い工事スペース

改ページ

地下鉄の直下に新たな動線を掘り抜く

赤坂見附出入口新設その他土木工事 ほか

工事概要

場所:
東京都千代田区・港区
発注者:
東京地下鉄
設計:
メトロ開発
規模:
(土木工事)
掘削工11,271m3 鉄筋コンクリート3,439m3 
銀座線下受工一式 2011年2月竣工
(建築工事)
昇降機設備新設,内装改修,設備更新 
延べ5,946m2 2012年3月竣工

(東京土木支店JV施工)

図

図:赤坂見附駅のイメージ図(赤色は新設部分)

赤坂見附駅のイメージ図(赤色は新設部分)

1938年に開業した東京メトロ赤坂見附駅は,外堀通り下の地下1,2階にそれぞれ銀座線と丸ノ内線が走る。同じホームで乗り換えできるなど利便性が高く,1日の乗降客数10万人を超える地下鉄主要駅だが,最近まで改札口は1ヵ所(赤坂見附方面)だけだった。

2003年に起きた韓国大邱市の地下鉄火災事故を受けて,わが国でも火災対策基準が改正され,東京メトロはこれに基づいて駅の大規模改良に着手。赤坂見附駅では,二方向避難の実現と火災対策設備の充実,利用客の利便性向上のため,新たに改札口(山王下方面)と地上出入口,エレベータなどを設置してバリアフリー化することになった。

写真:外堀通りの下に赤坂見附駅がある

外堀通りの下に赤坂見附駅がある

改ページ

当社JVで2005年に着工したこの工事では,新しい通路を営業中の地下鉄駅構造物下に施工。地上の道路全面に覆工版を架けて立坑をつくった。そこからまわりこんで地下鉄駅を掘っていくアンダーピニング工法を採用。新設の地下3階部分には,地下鉄や地上の外堀通りを走る自動車などの重さを含めると約5万5,000tもの荷重がかかる。施工にあたっては,駅の様々な場所にセンサーを設置してひずみを24時間体制で監視。既設構造物を仮受けしながら慎重に掘削した。さらに仮設の避難階段を設置して,工事期間中も万一の場合に備えた。

地中を斜めに掘り進めた山王下方面の新設出入口は2010年に供用を開始。火災対策の避難誘導設備・排煙設備の整備や既設ホーム・改札口の床や壁など内装改修も終えて,丸ノ内線全線開業50周年のこの春に完成となった。

写真:既設構造物の仮受け

既設構造物の仮受け。地下2階床をジャッキアップする

写真:鋼製仮避難通路

鋼製仮避難通路。ホーム階から地下3階への避難階段

写真:ホーム床工事

ホーム床工事。終電後の限られた時間に少しずつ仕上げていく

写真:山王下方面の新設コンコースに完成したエスカレータ(イメージ図①)

山王下方面の新設コンコースに完成したエスカレータ(イメージ図①)

写真:新設されたエレベータ(イメージ図②)

新設されたエレベータ。外堀通りの向い側に山王下出入口がある(イメージ図②)

写真:地下2階プラットホーム(イメージ図③)

地下2階プラットホーム。柱のカラーが路線の目印となる(イメージ図③)

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