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連続立体交差事業〜道路交通の円滑化とまちの一体化(2)

京浜工業地帯に拡がる路線網。
当社は幹線道路のボトルネックを解消する工事を次々と手掛けている。

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図:京浜工業地帯に拡がる路線網

いち早く渋滞解消を実現する

大師線連続立体交差事業・第1期第3工区工事

工事概要

場所:
川崎市川崎区
事業主体:
川崎市
発注者:
京浜急行電鉄
規模:
地下2層構造,幅員約10.5〜23.1m,深さ11.2〜15.1m,長さ183.5m 掘削工39,000m3 コンクリート工12,200m3 土留工(SMW・鋼製連続壁工・BH工・PIP工)385m 工事桁工(有道床桁・一般桁・連接ブロック工他)183.5m 中間杭工(WJ併用圧入工・BH工)106本
工期:
2006年2月〜2014年3月予定
(暫定切替までの事業工期)

(横浜支店JV施工)

画像:完成イメージ(産業道路踏切)

完成イメージ(産業道路踏切)。右端が産業道路駅

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川崎臨海部の拠点駅

東京と神奈川の間を流れる多摩川の河口南側一帯は,古くは川崎大師の門前町として栄え,明治末期からは臨海部の海運と立地の良さから工場が建ち始めたエリアだ。京浜急行大師線は,川崎都心部と臨海部を結び,市民生活や産業活動を支える重要な鉄道として整備された。工業化や市街化などの沿線地区の変遷にしたがって,前身の大師電気鉄道からルート変更や延伸を重ねて現在に至っている。

写真:産業道路踏切の現況

産業道路踏切の現況

交通量の増大に伴い,道路と鉄道が平面交差する踏切がボトルネックとなり,物流などの経済活動の支障となった。渋滞解消のため,川崎市が事業主体となって大師線のほぼ全線を地下化する連続立体交差事業を計画。当社JVが施工を担当する第3工区は,1日の交通量約2万7,000台の産業道路横断部を含む産業道路駅付近の長さ183.5mの範囲。この駅は,川崎市が新たに産業の戦略拠点とする殿町3丁目地区はじめ川崎臨海部地域への交通アクセスとして,バスバースも整備される重要な交通結節点となる。

複線の単線化を提案

全線約5kmのうち,特に産業道路の渋滞解決という事業効果の高い東門前駅から小島新田駅間の約980mを早期実現するため,第1期工事として2006年より先行着手した。

第3工区を統括する根岸範明所長は,これまでにも同じ京浜急行の大鳥居駅や京急蒲田駅を担当してきた駅工事のエキスパートだ。「周辺に住宅などが密集した現在の線路のままでは近接施工のリスクが高く,施工時間の制約もありました」と沿線の状況を分析する。「駅を出たところで単線化すれば,運行ダイヤに影響を与えずに作業スペースが確保できます。工期や工費のメリットを提案し,京急さんのご了解を得て仮設の単線化を実現しました」。複線を単線化するという逆転の発想が工事のボトルネックを解いた。

写真:根岸範明所長

根岸範明所長

仮設計画は,これまでに担当した施工実績をもとに練り上げて,鉄道事業者や近隣関係者とすり合わせるという。この工事では土留工だけでも4種類を現場の状況で使い分ける。工事の進捗は5割を超えたが,「複線を地下化する本体構造物の構築はこれからです」と根岸所長は気持ちを引き締めた。

図:第1期工事施工断面図

第1期工事施工断面図

写真:現場全景

現場全景

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図:軌道線形(複線)→軌道線形(単線化後)

立体的に線路を切り替え続ける

京急蒲田駅付近連続立体交差事業第4工区工事

工事概要

場所:
東京都大田区
事業主体:
東京都
発注者:
京浜急行電鉄
設計:
復建エンジニヤリング
規模:
(駅部)鋼製ラーメン高架橋 延長179.0m 
幅員16〜22m
(空港線部)鋼高架橋
延長104.3m 幅員9.5m
工期:
2002年1月〜2015年3月予定

(東京土木支店JV施工)

図:第一京浜の踏切遮断による渋滞状況(2006年当時)

第一京浜の踏切遮断による渋滞状況
(2006年当時)

写真:現在の京急蒲田駅。手前に第一京浜国道

現在の京急蒲田駅。手前に第一京浜国道

東京の空の玄関口,羽田空港。2010年に4本目の滑走路と新しい国際線ターミナルが開業し,利用客が増大している。主要経路となる京浜急行線では高架化の大規模な事業が進行中だ。京浜急行本線平和島駅〜六郷土手駅間約4.7kmおよび空港線京急蒲田駅〜大鳥居駅間約1.3km。この区間には第一京浜や環状8号線などの幹線道路が平面交差し,慢性的な交通渋滞の解消と鉄道の空港アクセスの向上が課題となっていた。

当社が担当する工区は,京急蒲田駅の駅部南側と分岐部を含む空港線の第一京浜国道横断橋梁で,1日の交通量約3万2,000台の国道を跨ぐ重要な部分である。2002年に着工した工事では,まず高架橋基礎構築のために空港線の仮線を造成し,2005年10月に空港線の切替,2007年12月に本線の切替を完了させた。8つに分割された他の工区と協調しながら6ステップに及ぶ仮線工法で順次施工し,2010年5月に上り線全線高架化の切替を完了した。2014年度末の事業完了を目指して工事が進められている。

仮線工法の施工の流れ

Before / After 変貌をとげた大鳥居駅周辺 大鳥居第1踏切道立体交差化工事 環状8号線と京浜急行空港線(大鳥居第1踏切道)との立体交差工事

産業道路と環状8号線が交差する東京都大田区の大鳥居一帯。十数年前まで交差点には踏切が横たわっていた。当社JVが施工を担当した京浜急行空港線大鳥居駅の地下化工事は,1985年着工で1999年に完成した約15年におよぶ大工事。環状8号線と京浜急行空港線との立体交差化で幹線道路が整備され, 駅が高機能化することで,大手企業の進出も促進され,駅周辺地区のまちなみは一変した。

写真:大鳥居駅周辺(1985年当時)

環状8号線と産業道路の両方に踏切が横たわっていた大鳥居駅周辺(1985年当時)

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写真:現在の大鳥居駅付近

現在の大鳥居駅付近。幹線道路が整備されて沿道に高層ビルが建ち並ぶ

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