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SDGsから見る技術研究所の取組み

特集冒頭の福田所長のメッセージで挙げられ,政府や地方自治体の政策,
企業の経営計画などで度々目にする「SDGs」。近年,企業に対する評価が利益などの
数字だけではなく,事業活動の内容など質を重視する傾向が強まっているなかで,
企業の目標・方向性を示す世界共通の言語として注目を集めているワードだ。

SDGsの概要

SDGs(エスディージーズ)は,日本語で「持続可能な開発目標」を意味し,「Sustainable Development Goals」の頭文字に由来している。2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として,2015年の国連サミットで採択された文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で,その具体的行動指針が示された。地球上の経済や社会,環境など様々な課題をクリアし,持続可能な世界の実現を目標に,2030年までに達成すべき17のゴール(表1)とその下に細分化された169のターゲットで構成され,その内容は多岐に亘る。MDGsが開発途上国のための目標であったのに対し,SDGsは「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」をキーワードに,格差の問題,持続可能な消費や生産,気候変動対策など,先進国が自らの国内で取り組まなければならない課題を含む,全ての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標として掲げられている。

図版:表1 持続可能な開発目標(SDGs)の詳細

表1 持続可能な開発目標(SDGs)の詳細

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SDGs実施に向けた日本の取組み

日本では関係省庁が連携し,政府一体となった取組みを可能にする新たな国の実施体制として,2016年5月20日に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置した。同本部は,2016年12月22日に「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を決定。この指針では,2030アジェンダの序文において持続可能な開発の重要分野として挙げられた“5つのP”であるPeople(人間),Planet(地球),Prosperity(繁栄),Peace(平和),Partnership(連帯)に対応する8項目(表2)をSDGsの17あるゴールから再構成し,優先すべき課題としている。

図版:表2 SDGs実施指針における8つの優先課題とそれに関連する取組み

表2 SDGs実施指針における8つの優先課題とそれに関連する取組み

技術研究所が取り組むSDGs

当社技術研究所では,環境・エネルギー,防災・減災といった社会的課題への対応だけでなく,健康や知的生産性など,人の観点からの技術開発を早期から強化しており,その取組みは世界共通の目標であるSDGsの17のゴールと非常に親和性が高い。

上に示すわが国が優先すべき8つの課題についても,持続可能で強靭な国土づくりや省エネルギー・再生エネルギーなどは建設業と関わりが深く,また,科学技術イノベーションによる成長実現などは研究開発と密接な関係にあるといえる。さらに,シンガポールに研究開発拠点を構えることで,日本の技術を海外に展開し,海外の技術を国内に取り入れる体制を構築,強化している。

このように,技術研究所ではSDGsへの貢献は研究開発の出口戦略として非常に重要であると捉えている。様々な研究開発のうちの一部を例に,その取組みの一端を紹介していく。

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