ゼネコン初の技術研究所海外オフィスとして2013年9月に開設した技術研究所シンガポールオフィス(KaTRIS)。鹿島グループのグローバルで先進的な活動を先導するリサーチセンターとして進化を続けるKaTRISの取組みを紹介する。
MISSION 1:
先端技術探索と技術マーケティング
土木,建築,環境のそれぞれの分野で,国際会議や各種セミナーへの参加を通じて技術情報の収集や当社技術のアピールを行うとともに,シンガポール政府や大学関連機関などとの人的ネットワークを構築してきた。今後は東南アジア各国や民間企業とのさらなるネットワーク拡充を図る。
MISSION 2:
グローバル/ローカルなニーズに合ったR&D
世界的な社会課題であるエネルギー,環境問題に加えて,シンガポールであれば生産性向上技術,他の東南アジア諸国であればインフラ整備といった各国に個別の課題がある。KaTRISでは,これらのニーズに対し研究資源を重点的に投資し,シンガポール国立大学(NUS)やナンヤン工科大学(NTU)とR&Dを推進している。2018年2月にはNUSデザイン環境学部(SDE)とMOU(協力の覚書)を締結。今後も共同研究と人材交流を進めていく。
MISSION 3:
高度な技術コンサルティング
ローカルのデベロッパーや設計・エンジニアリング会社への技術的なコンサルティングを実施し,当社事業のさらなるグローバル化を推進する。その対象は温熱環境や光環境からコンクリートや地盤に関するものまで幅広く,プロジェクト成功に寄与する技術提案を行う。
このような高度なコンサルティングを受託するには,現地での実績が重要となる。そのためにも当社海外案件への技術支援を確実に実施し,当社のプレゼンスを海外に示していく構えだ。
MISSION 4:
多様な人材の採用と育成
KaTRISの業務拡大には情報収集力・企画力に優れ,新技術に柔軟に対応できる人材が欠かせない。多様な人材のさらなる採用と育成を目指し,現地大学や研究機関に所属する人材や先進ICT技術に精通した人材を広く集めるほか,現地の大学への留学・派遣,現地コンサルティング研修を積極的に行いグローバル化へ対応していく。
シンガポール国立大学(NUS)の新校舎が開所
1月30日,当社のアジア統括現地法人であるKOAが施工したシンガポール国立大学デザイン環境学部の4号棟「NUS SDE4」の開所式が現地で行われた。
式典には財務大臣をはじめとする来賓や,当社から福田技術研究所長,KOAの建築事業統括会社(HQ)社長の杉本執行役員らが参列し,新校舎の開所を祝った。
6階建て,延床面積1万2,270m2のSDE4は,シンガポールでは初となる建物単体での消費エネルギー量が収支ゼロとなる「Net Zero Energy Building(ZEB)」の実現を目指して計画され,KaTRISではハイブリッド空調システムの性能評価,光環境評価などの技術支援を行った。
NUSとKaTRISは本工事受注以前から屋上緑化など環境・エネルギー分野での共同研究を行っており,今回の工事では,当社の環境関連技術やKOAがKaTRISの参画を提案したことも評価され受注につながった。
技術研究所の
ダイバーシティ
2019年4月現在,国内外の拠点を集約すると技術研究所には275名の所員が在籍し,様々な人材が一丸となって研究開発を進めている。
全社としてダイバーシティに取り組むなか,技術研究所でも,多くの女性研究員や外国人研究員が活躍中であり,KaTRISでも,現地研究者の採用を進めている。
今後,異業種企業や大学,研究機関とのオープンイノベーションをさらに充実させ,新たな価値の創出を図っていくためには,研究に関わる様々な人材の多様な属性,価値観を受け入れ,認め合える環境が欠かせない。
あらゆる人材が活躍できる環境を創ること。それもまた技術研究所の「今を拓き,未来を築く」取組みのひとつだ。