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Feature 2:若手所長に聞く

カジマ・インドネシアでは今,若手3人の所長が日々奮闘している。
彼らに,海外勤務のきっかけ,魅力,やりがいなどを聞いた。

図版:山本真嗣 所長

山本真嗣 所長(42)
海外勤務歴:10年
経験国:フィリピン,中国,イギリス,
エジプト,シンガポール,インドネシア

担当工事概要:
SENAYAN SQUARE-HOTEL
COMPLEX PROJECT

発注者:PT. SENAYAN
TRIKARYA SEMPANA
設計:当社建築設計本部
用途:ホテル,駐車場など
規模:ホテル―RC造 B1,32F/
駐車場―RC造 B1,6F,PH1F 
総延べ126,188m2
工期:2011年12月~2015年1月

図版:若山武彦 所長

若山武彦 所長(36)
海外勤務歴:2年半
経験国:インドネシア

担当工事概要:
PT.UNICHARM INDONESIA
1ST FACTORY PHASE III
EXPANSION PROJECT

発注者:PT. UNICHARM INDONESIA
設計:KDA
用途:工場
規模:RC造 3F 延べ29,609m2
工期:2013年3月~2013年12月

図版:赤木太郎 所長

赤木太郎 所長(40)
海外勤務歴:2年半
経験国:インドネシア

担当工事概要:
PT.AJINOMOTO INDONESIA
KARAWANG FACTORY
SAORI-E0 PROJECT

発注者:PT. AJINOMOTO INDONESIA
基本設計:PT. AJINOMOTO INDONESIA
実施設計:KDA
用途:工場
規模:RC造 3F 延べ4,129m2
工期:2013年3月~2013年10月

PT.HITACHI POWER SYSTEMS
INDONESIA FACTORY
EXPANSION 2012 PROJECT

発注者:PT. HITACHI POWER
SYSTEMS INDONESIA
設計:KDA
用途:工場
規模:RC造 2F 延べ4,787m2
工期:2012年9月~2013年10月

改ページ

今の仕事は?

若山 ジャカルタの中心部から東に約70kmのカラワン工業団地内で,ユニ・チャームさんの工場拡張プロジェクトの施工を任されています。今年11月の部分引渡しに向け,現在,急ピッチで工事を進めているところです。

赤木 カラワン工業団地内で,味の素さんの工場建設と,そこから車で1時間程度離れたチカランにあるエジップ工業団地で,日立パワーシステムズさんの工場拡張の2つのプロジェクトを兼務しています。両者とも竣工が今年10月に迫り,まさに繁忙期という感じです。

山本 スナヤン開発のホテルの施工を進めています。調達,施工図,現場管理などを担当する約100人のスタッフ,2,200人の作業員(最大)を統括する大現場です。現在,躯体工事がほぼ終わり,内装仕上げ工事が中心となってきています。

海外で仕事をするきっかけは?

若山 漠然とした憧れがあったというのが本音です。海外工事が増え,会社がグローバル化していく流れは分かっていたので,なるべく早く手を挙げようと海外を希望しました。

赤木 学生時代から洋楽好きで海外で働くことを夢見て入社しました。15年間国内現場で経験を積み,ようやく願いが叶いました。

山本 高校生時代,オーストラリアに短期留学をした時,カルチャーショックを受け,異文化交流ができる海外で働きたいという憧れを抱きました。90年代初頭では,商社,メーカー,建設が海外に行けるチャンスがある業種だったので,建築の門を叩き,今もその道を進んでいます。

仕事の魅力は?

若山 35歳だった私に,所長を任せてくれたこと。そして,お客様への対応から詳細な工事管理まで,仕事の守備範囲が非常に広く,若くても責任ある仕事ができることですね。ただ責任を押し付けられているという感覚はありません。何か問題が起こったら,“会社幹部皆で考えて問題を解決しよう”という雰囲気があり助けられています。

赤木 フォアマン(職長)だけでなく,直接雇用しているワーカー(作業員)へ指示することもあり,日本では得られない経験ができます。また,日系企業の工場を担当しているので,“同じ日本人として一緒にインドネシアで頑張ろう”というお客様との一体感を感じます。これは,仕事をする上でやりがいにつながっていますね。

山本 本来の意味での“現場力”を磨けることでしょうか。求められる品質,安全,工程,コストなどを守るため,ちゃんと現場を動かす力です。日本だと専門工事会社の職長が非常に優秀で,簡単な指示でも期待以上の仕事をしてくれますが,ここではそうはいかない。「組織をつくり,工事を進める」という所長に求められる基本的な力が鍛えられることです。

改ページ

苦労や失敗から学んだこと,心がけていることは?

若山 ローカルスタッフに,一方的に仕事の指示をしてしまい,何人かのスタッフが辞めてしまいました。突然,日本人が来て,偉そうに見えたかもしれません。あの時は,本当にショックで自分を責めました。正しいことを言っているだけではダメで,自分についてきてくれるスタッフを育てることの大切さに気づきました。前任の豊原幹所長(現ユニ・チャーム スラバヤ工場所長)から「お客様,スタッフ,ワーカーなど様々な人の話を平等かつ謙虚に聞けてこそ,信頼関係が築ける」とアドバイスをもらい,いま実践中です。

赤木 言葉や文化の違うローカルスタッフを使って現場管理する難しさは日々感じていますが,苦労とは思っていません。人種や文化が違うからこそ,信頼関係が重要。信頼してもらうには,自分自身の人間的な魅力を高めることも大切です。また,担当する2現場は車で1時間ほど離れていますが,毎日必ず両現場に行くことを心がけています。私が不在の時には,現場状況が分かる写真をメールで送付するルールをつくり,常に安全状況や作業方法などを確認・指摘できる体制をとってます。

山本 自分一人でできる仕事ではないので,理想と現実のバランスを如何にとるかが一番の悩みどころです。少しでも理想の姿に近づけるためには,ローカルスタッフの育成が何より大切です。将来的にはローカルスタッフだけで,鹿島としての品質を守っていく体制が必要になるからです。

Columm

安全を守る赤い作業着

カジマ・インドネシアの建設現場では,赤い作業着の人を多く見かける。現場内を常に巡回して,危険な作業をしていないかを見回る専門職員だ。この取組みやインドネシア語表記の安全ハンドブッ クなど様々な安全衛生活動の実施により,インドネシア政府が授与する安全表彰最高の栄誉である「Zero Accident Award」を4年連続(2009~2012)で受賞した。

図版:2012年度は,会社ならびに2つの現場が表彰された

2012年度は,会社ならびに2つの現場が表彰された

図版:安全を守る専門職員

安全を守る専門職員

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語学力 今と昔

若山所長は,語学に自信がなかったこともあり,赴任前に英語を1ヵ月間みっちり勉強したという。ところが,赴任してみると現場のローカルスタッフやワーカーは英語を話せない。インドネシア語をゼロから学び,3ヵ月くらいで意思疎通が何とかできるように。海外赴任に必要なのは「語学力」よりも「やる気」だという。

当社の社史(鹿島建設百三十年史)には,インドネシア初の工事「ネヤマ排水トンネル」の欄に次の記載がある。〈派遣員たちが最も困ったのは言葉の問題で,最初は戦後現地に残留していた日本人約10名を通訳に使っていたが,そのうち現場員もインドネシア語に馴れ,三ヵ月ばかりたつと,何とか直接話が通じるようになった〉。今も昔も変わらない。ただ,電気・水道がない環境,マラリヤ蚊などについても記されている。50年前の現場は,並大抵の苦労ではなかったようだ。

図版:若山所長はジェスチャーも交えながらコミュニケーションをとる

若山所長はジェスチャーも交えながらコミュニケーションをとる

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