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検索 鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050

2013年3月,当社は「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を策定しました。
持続可能な社会実現に向けて,「低炭素」「資源循環」「自然共生」の3つの視点で環境負荷ゼロを目指します。
このビジョンについて,担当者に解説してもらいました。

2050年の世界

2007年に開かれたG8サミットで,世界の温室効果ガス排出量50%削減と先進国80%削減が提唱されて以来,国内外の様々な機関が2050年をターゲットとして環境予測や施策提案を行っています。経 済協力開発機構(OECD)が2012年3月に発行した『OECD環境アウトルック2050:行動を起こさないことの代償』は,2050年には世界人口が70億人から90億人に増加して世界経済の規模は約4倍に拡大し,大気汚染や交通渋滞,廃棄物管理などの問題がさらに深刻化すると警鐘を鳴らしています。

こうした背景の下,社会基盤整備に携わる建設業の役割も大きくなっています。建設業が消費する資材は全産業の3割にのぼり,産業廃棄物も2割を占めます。資機材の生産・輸送には大量のCO2が排出され,造成などで自然環境を改変すれば地域の生態系を乱すことにもなりかねません。完成した建物からもCO2は排出されます。持続可能な社会実現のため,建設業には環境問題に積極的に対応する責務があるのです。特に東日本大震災以降,節電など企業や個人の自主的な取組みの重要性が増しています。こうしたときだからこそ当社は,果たすべき役割と環境活動の枠組みを明らかにするために「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を策定しました。

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図版:「鹿島環境ビジョン」概念図

「鹿島環境ビジョン」概念図

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トリプルZero2050

トリプルZero2050は,持続可能な社会を「低炭素」「資源循環」「自然共生」の3つの視点でとらえ,当社の事業活動や社会・顧客への提案を通じて,2050年までに各分野の環境負荷をなくすことを目指すものです。達成すべき将来像を「Zero Carbon」「Zero Waste」「Zero Impact」というキーワードで表現しています。また,活動を推進するために2030年時点での数値目標を示した「ターゲット2030」もあわせて策定しました。

CO2排出量ゼロを目指す「Zero Carbon」では,建物の運用時に省エネや再生エネルギーを活用してエネルギー消費量をゼロにするZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現を中心に据えています。建築物の運用で排出されるCO2量は,国内排出総量の1/4にもなるため,このエネルギー効率を高めることには大きな効果があります。施工時のCO2排出削減も重要な課題で,施工の合理化や現場への再生エネルギー導入,当社が開発したCO2排出削減管理システム“現場deエコ”など様々なツールを使い,2030年には施工高当たりのCO2排出量を1990年度比で35%削減する目標を掲げています。

「Zero Waste」では,産業廃棄物ゼロ達成に向けて,分別回収とリサイクルを徹底して建設現場から排出される廃棄物の最終処分をなくしていきます。コンクリートなどの主要資材は再生材を利用して,2030年には利用率を50%から60%に引き上げる予定です。「Zero Impact」は,建設事業で自然環境に与える負荷を最小に抑える努力をしながら,都市再開発事業などを通じて,自然とのつながりを再生していきます。生物多様性創出により事業全体で生態系へのインパクトゼロを目指します。

図版:「Zero Carbon」を主導する当社開発のCO2 排出削減管理システム“現場deエコ”

「Zero Carbon」を主導する当社開発のCO2排出削減管理システム“現場deエコ”。工事に伴うCO2排出量の算定や省CO2技術,実排出量の管理などを体系化

図版:現場では,廃棄物の分別回収とリサイクルを徹底

現場では,廃棄物の分別回収とリサイクルを徹底。主要資材では再生材も利用し「Zero Waste」達成を目指す

図版:屋上に設置された溜池と水田

屋上に設置された溜池と水田。このような生物多様性都市づくりで「Zero Impact」を目指す

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図版:トリプルZero2050,ターゲット2030

環境方針の改定

環境ビジョン策定にあわせて,1998年に制定された「鹿島環境方針」も全面的に改定しました。当社の環境マネジメントの目指す方向性が,このビジョンの実現であることを明確にするためです。当社では今後,環境ビジョンの実現に向けて推進に必要な社内共通基盤を整備し,長期的な視野に立った技術開発や社会への提言を積極的に行っていきます。まずは,ターゲット2030の実現に資する主要な活動実績を把握し,取組みの進捗を定期的に評価・公表していく予定です。そして,2050年にはトリプルゼロを実現します。

図版:鹿島環境方針(2013年4月改定)

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「100年をつくる会社」として

「このままでは地球は持たない」。今のまま,世界中がより快適な生活を追い求めたなら,間違いなく地球は深刻な危機を迎えるというのは現世代が抱く共通の懸念となっています。「100年をつくる会社」を標榜する鹿島として,この重要な社会的課題に対して明確なメッセージを出す必要がある。そんな思いが2011年の全社環境委員会での鹿島の環境長期ビジョンの作成指示につながったのだと思います。ビジョンを作成する過程で,改めて建設業は温暖化防止や資源循環,生物多様性保全といった主要な課題に大きく関わっており,持続可能な社会の創出に大きな役割を果たすべき産業であるという思いを強くしました。今回の長期ビジョンは「100年をつくる会社」としてのあるべき姿を表現したもので,目標を明確に打ち出しました。将来の世代のため必ず実現していくという信念を社員で共有しながら着実に取組みを進めていきたいと考えています。(環境本部地球環境室)

図版:方針策定を打ち出した金子副社長を囲んで環境本部地球環境室関係者

方針策定を打ち出した金子副社長を囲んで環境本部地球環境室関係者。左から北田健介課長代理,三浦一彦室長,金子副社長,小池勝則本部次長,秋葉恵子課長代理

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