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KAJIMA YEARBOOK 2012 topics

復旧・復興

災害廃棄物処理・除染作業が本格化

東日本大震災により発生した瓦礫(災害廃棄物)の処理が進んでいる。当社JVが受託した「災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)」(宮城県石巻市・東松島市・女川町)では,8月に焼却炉5基のほか,ほぼ全ての設備が完成。粗選別,破砕選別,土壌洗浄・改質,焼却などの作業が日々行われている。焼却炉の処理能力は国内最大規模の1日1,500tとなり, 2013年12月までに宮城県全体の半数におよぶ災害廃棄物の処分を完了させる予定。石巻ブロックのほか,宮城東部ブロック(宮城県塩釜市・多賀城市・七ヶ浜町),宮古地区災害廃棄物破砕・選別処理業務(岩手県宮古市・田野畑村・岩泉町)の災害廃棄物処理も担当している。

一方,東京電力福島第一原子力発電所から20km圏内での放射性物質の除染作業も始まっている。当社JVは,環境省発注の初の国直轄事業となる福島県田村市での除染作業を担当。建物約720軒,道路約76.3km,農地約150ha,森林約270haなどが作業対象で,本年度中に作業を完了させる計画である。新たな除染技術としてグループ会社の鹿島道路と共同で「道路高圧除染車」を開発。排水性舗装の目詰まりを回復させる車両を,道路舗装面の除染を目的に改造した特殊車両である。手作業による高圧水洗浄と比較すると,洗浄した水が拡散せず二次汚染防止と作業員の被ばくを抑制できる。除染品質にムラがなく,除染効果と施工効率が高いことが特長である。

11月2日には,都市再生機構が進める宮城県牡鹿郡女川町の震災復興事業が着工した。当社JVが,土地の造成や道路, 上下水道などの調査・測量・設計・施工を,マネジメント業務を含めて請け負う。この方式による市街地復興事業は全国初。早期復興へ向けた街づくりが始まった。

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写真:石巻ブロック上空から

石巻ブロック上空から

写真:女川町では早期復興へ向けた取組みが始まった

女川町では早期復興へ向けた取組みが始まった

写真:災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)では,24時間体制で国内最大規模の焼却炉が稼働している

災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)では,24時間体制で国内最大規模の焼却炉が稼働している

写真:石巻ブロックの粗選別ヤードと手選別ライン(写真左, 中央),宮古地区災害廃棄物破砕・選別処理業務の破砕選別プラント(写真右)

石巻ブロックの粗選別ヤードと手選別ライン(写真左, 中央),宮古地区災害廃棄物破砕・選別処理業務の破砕選別プラント(写真右)

写真:田村市での除染作業。新開発の「道路高圧除染車」での道路除染(写真左)と森林除染の様子

田村市での除染作業。新開発の「道路高圧除染車」での道路除染(写真左)と森林除染の様子

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洋上風力

国内初の沖合での着床式洋上風車が完成

千葉県銚子市の沖合約3kmに,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京電力が共同で建設を進めてきた洋上風力発電の風車の設置が10月完了した。海面からの高さ126m,出力2,400kWの風車と海面からの高さ100mの風況観測タワーからなり,設計・施工を当社が担当し,2010年12月から施工を進めてきた。沖合の海底に基礎を構築する着床式では国内初の施設となる。2013年1月に運転を開始する予定。

銚子沖は,太平洋からのうねり,台風など気象条件が非常に厳しいため,高度な技術を要する施工となった。さらに,東日本大震災により基礎となるケーソン製作を行っていた鹿島港(茨城県)が被災。東播磨港(兵庫県)で製作を再開するなど,様々な対応が求められた。

一方,当社の総合力を発揮したプロジェクトでもあった。技術研究所では波力解析や水理模型実験などを行い設計や施工に活用。また,建築基準法改正により,高さ60mを超える風力発電設備には超高層ビルと同等の地震応答解析が義務づけられていたが,小堀鐸二研究所の協力を得て,洋上での国内初の国土交通大臣認定を取得している。

今後,本プロジェクトでの技術・ノウハウを積極的に展開し,ニーズが高まる洋上風力発電設備に対応していく。

写真:基礎となるケーソン据付け状況

基礎となるケーソン据付け状況

写真:10月に洋上風車の設置が完了

10月に洋上風車の設置が完了

写真:洋上風車(左)と風況観測タワー

洋上風車(左)と風況観測タワー

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無人化施工

「無人化施工システム」がロボット大賞を受賞

当社JVは,東京電力福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋において,無人化施工システムを活用し,瓦礫解体・除去工事を行っている。3号機は放射線量が高く,複雑な作業が求められたため,無人化施工が絶対条件となっていた。

当社は,これまで災害復旧工事などで活用してきた情報化・無人化施工技術をベースに,最新のIT技術を用いて,約500m先から重機10台の遠隔操作を可能にするシステムを開発。人が危険な区域に立ち入ることなく施工を続けている。

この無人化施工システムは,経済産業省ならびに日本機械工業連合会主催の第5回ロボット大賞「ロボットビジネス/社会実装部門」にて優秀賞を受賞。複雑な建設機械オペレーション技能を把握し,運用のたびにシステムのブラッシュアップとオペレータの教育を行ってきたことが評価された。また,災害現場に直ぐに導入できる体制を整備していることなど,事故対応での高い実績に加え,普段から無人化施工技術を維持する姿勢も高く評価された。

写真:福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋では,瓦礫解体・除去作業が無人化施工で行われている

福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋では,瓦礫解体・除去作業が無人化施工で行われている(写真提供:東京電力)

写真:作業エリアから500m離れた遠隔操作室

作業エリアから500m離れた遠隔操作室

写真:10月17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)でロボット大賞の表彰式が行われた。写真右は当社永田常務執行役員

10月17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)でロボット大賞の表彰式が行われた。写真右は当社永田常務執行役員

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