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KAJIMA YEARBOOK 2012 topics

Tokyo Station Marunouchi Building

東京駅丸の内駅舎が創建時の姿へ

“赤レンガ駅舎”の名で知られる「東京駅丸の内駅舎」が,今年10月ついに完成した。1914(大正3)年に辰野金吾が設計した国の重要文化財である。当社JVは,この貴重な歴史的建造物の保存・復原工事を担当。総工事期間約5年半,延べ78万人もの関係者が24時間体制で携わった日本建築史上類を見ないビッグプロジェクトとなった。現存する駅舎を可能な限り「保存」し,戦災により失われていた南北ドームや切妻などの3階部分を当時の姿へ「復原」する工事だった。

ドーム内部の天井・壁面に施されたレリーフは,過去の文献や写真をもとに専門家や職人の伝統的技法により美しい姿に甦り,銅板やスレートなどの復原には,全国各地から職人が結集して,互いの技術と情報を交換しながら創建時の写真などの資料をもとに工事が進められた。

地上工事と並行して地下で行われたのが,大規模な免震化工事である。全長約335m,総重量約7万tもの駅舎を一度鉄骨の支柱で仮受けし,これまで駅舎を支えていた1万本以上の松杭を撤去。新しい地下躯体を構築し,アイソレータ352台とオイルダンパー158台の免震装置に建物の荷重を移動した。

東京駅は,1日の乗車人数約38万人,運行本数約3,700本という巨大なターミナル駅。この機能を維持しながら行われた「居ながら」の保存・復原工事は,利用者や列車運行の妨げになってはならず,高い安全性が求められた。また,乗降客の通行範囲や隣接箇所での作業は,終電から始発までの短い時間に限られ,狭い場所では大型重機が使えず,人の手によって行われた。

2006年から一時休館していた「東京ステーションホテル」も全施設を改装して開業。大正時代からの伝統に新たな息吹を注いでいる。

最新技術と伝統の技で甦った丸の内駅舎は, これまでの100年の記憶とともに, これからの100年に受け継がれていく。

写真:東京駅丸の内駅舎

東京駅丸の内駅舎保存・復原工事
場所:東京都千代田区 発注者:東日本旅客鉄道
設計者:東日本旅客鉄道 東京工事事務所・東京電気システム開発工事事務所,
東京駅丸の内駅舎保存・復原設計共同企業体(ジェイアール東日本建築設計事務所・ジェイアール東日本コンサルタンツ)
監理:東日本旅客鉄道 東京工事事務所・東京電気システム開発工事事務所,ジェイアール東日本建築設計事務所
規模:鉄骨煉瓦造・RC造一部S・SRC造(免震構造) B2,3F(一部4F) 延べ約43,000m2
工期:2007年4月〜2012年10月(東京建築支店JV施工)

写真:東京ステーションホテルのゲストラウンジ

東京ステーションホテルのゲストラウンジ

写真:東京ステーションホテルのロビーラウンジ

東京ステーションホテルのロビーラウンジ

写真:鳥瞰写真

鳥瞰写真。丸の内駅舎の全長は約335mにおよぶ

写真:ドーム内部の天井や壁面には,干支や鷲などの美しいレリーフが甦った

ドーム内部の天井や壁面には,干支や鷲などの美しいレリーフが甦った

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