巨大な鉄骨で囲まれた姫路城の大天守。瓦と漆喰の,およそ50年ぶりの大規模な保存と修理がはじまる。
素屋根(すやね)と呼ばれるこの鉄骨の囲いが,3年がかりの作業の間,瓦や漆喰がはがれた状態の城を風雨から守る。
素屋根最上部には優美な城の姿を間近で鑑賞できるスペースも設置。“半世紀に一度の名所”が生まれる。
こうした工事は伝統技術のイメージが強いが,姫路城に素屋根を架けること自体が,
じつは非常に難しい建築工事である。
文化財を護る保存修理工事の,もうひとつの見どころをリポートする。
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【工事概要】
国宝姫路城大天守保存修理工事
- 場所:
- 兵庫県姫路市
- 発注者:
- 姫路市
- 設計・監理:
- 文化財建造物保存技術協会
- 規模:
- 大天守—木造 B1,5重6F 延べ2,409m2 素屋根—S造 8F
- 工期:
- 2009年10月~2015年3月
(関西支店JV施工)
【姫路城略年表】
- 1346年
- 赤松貞範が姫山に築城
- 1581年
- 羽柴秀吉が3重の天守を築く
- 1609年
- 池田輝政による大改築で大天守が完成
- 1951年
- 天守ほか7棟が国宝に指定
- 1993年
- 日本初の世界遺産に登録