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concept ポルタ神楽坂 ランドシャフトとしての建築

写真:街の多様性とスケール感を踏襲した神楽坂通り側ファサード

街の多様性とスケール感を踏襲した神楽坂通り側ファサード

坂という微地形の上に描かれた豊かな生活文化を映す景観こそが神楽坂という街の魅力であり基盤だと考え,建築を隣接する周囲とともに包括的に構成することを試みた。

配置構成。計画地北側は小規模商業ビルが連なる神楽坂通りに,南側は理科大キャンパスに面している。かつて二つの街区をつなぐ通り抜けの路地があった。その記憶を留めるように建物を貫通する通路を再現した。通路の先にキャンパス入口が整備され,広場が出現し,街づくりの新たな起点となっている。

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内部空間。商・住・学・遊の営みが共存するこの街の構成を建築に引用した。低層部は狭い間口で通りに接する店舗に住宅を載せる商家の伝統的な型を引き継ぎ,高層部は大学機能に充てた。神楽坂通りの景観コードに高さを揃えた北側斜め屋根から自然光を取り込み,明るい学びの空間を実現している。

意匠と素材。神楽坂通り側ファサードは街の多様性とスケール感を踏襲し,テラコッタやアルミなど様々な素材を小割りに置いた。一方,大学側はキャンパスに調和するシンプルなファサード。床は平石・ピンコロ石・玉砂利へと徐々にスケールを落とし,感触の変化を通して人々を無意識に奥へと誘う仕掛けである。

経済的・歴史的な基盤に支えられた景観=ランドシャフトと対話し,建築を構成することが設計者の使命なのではあるまいか。神楽坂の街からそのことをあらためて学んだ。
(小菅克己・野島秀仁・櫛田 直)

写真:スケール感の異なる二つの街区をつなぐ貫通通路

スケール感の異なる二つの街区をつなぐ貫通通路

写真:貫通通路上部から望む大学キャンパス広場

貫通通路上部から望む大学キャンパス広場

写真:人々を奥へと誘う建物内部の路地空間

人々を奥へと誘う建物内部の路地空間

写真:理科大キャンパス入口広場側から望む南側ファサード

理科大キャンパス入口広場側から望む南側ファサード

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ポルタ神楽坂(東京都新宿区)

地元地権者と東京理科大学による再開発事業。2011年5月グランドオープンした。

発注者:東京理科大学
設計:当社建築設計本部
規模:SRC造一部S造 B1,7F
延べ5,854m2
2011年3月竣工
(東京建築支店施工)

断面図

写真:小菅克己

小菅克己(こすげ・かつみ)

建築設計本部
統括グループリーダー
主な作品:

  • 箱根ラリック美術館
  • 軽井沢大賀ホール
  • サンケイホールブリーゼ
  • ハラ ミュージアム アーク

写真:野島秀仁

野島秀仁(のじま・ひでひと)

建築設計本部
チーフ
主な作品:

  • 軽井沢大賀ホール
  • GINZA g-cube
  • ハラ ミュージアム アーク

写真:櫛田 直

櫛田 直(くしだ・ただし)

建築設計本部
チーフ
主な作品:

  • コンドミニアム ザ 葉山
  • 虎ノ門タワーズ
  • 加賀レジデンス

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