
サハラの眼(モーリタニア)
アフリカ北部サハラ砂漠に,突如現れる瞳――。現地の人々から“サハラの眼”とも,“アフリカの眼”とも呼ばれているこの環状構造は,「リシャット構造体」と命名された直径数十kmにもおよぶ自然地形で,通常の航空写真では巨大すぎて写しきれないまさに「スケールアウト」の構造体だ。発見当初は隕石の衝突によるクレーターと考えられていたが,岩石調査によっても隕石に含まれる特有の鉱物が発見されず,この説は証明されていない。現在ではドーム状の固い岩石が,砂漠の厳しい環境のなかで長年の浸食によって環状に切り取られたものだとされている。宇宙から見たサハラの眼は,青く見える珪岩の効果とも相まっていっそう神秘的に全貌を俯瞰することができる。
