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スケールアウト

自然の雄大な景色,建造物を俯瞰した光景,農業,産業活動がもたらした個性ある風景,そして地球のダイナミズムが生み出した奇景の数々……。
今月からの新連載は,超小型人工衛星が宇宙から捉えた地球の姿を毎号2シーンずつ紹介する。第1回のテーマは「スケールアウト」。その名の通り,迫力ある“絶景”からスタートする。

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図版:サハラの眼(モーリタニア)

サハラの眼(モーリタニア)

アフリカ北部サハラ砂漠に,突如現れる瞳――。現地の人々から“サハラの眼”とも,“アフリカの眼”とも呼ばれているこの環状構造は,「リシャット構造体」と命名された直径数十kmにもおよぶ自然地形で,通常の航空写真では巨大すぎて写しきれないまさに「スケールアウト」の構造体だ。発見当初は隕石の衝突によるクレーターと考えられていたが,岩石調査によっても隕石に含まれる特有の鉱物が発見されず,この説は証明されていない。現在ではドーム状の固い岩石が,砂漠の厳しい環境のなかで長年の浸食によって環状に切り取られたものだとされている。宇宙から見たサハラの眼は,青く見える珪岩の効果とも相まっていっそう神秘的に全貌を俯瞰することができる。

地図:モーリタニア
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図版:宇宙から見える水彩画(ジェバ川,ギニアビサウ)

宇宙から見える水彩画
(ジェバ川,ギニアビサウ)

この美しい模様を描くのは川である。ギニアに端を発しギニアビサウまでの約550kmを流れる西アフリカ有数の河川のジェバ川,ギニアビサウの最も重要な交易路である。画像は,大西洋沿岸の河口に位置するギニアビサウ共和国の首都ビサウの河岸を撮影したもの。上流から流れ込む土砂,砂漠の砂,河底の地形が,まるで水彩画のように刻々と変わる美しい表情を見せてくれるが,スケールアウトしないことにはそれがわからない。河岸の小さな支流が,住宅,農地,マングローブと複雑に絡み合う複雑なパターンもまた,目を楽しませてくれる。

地図:ジェバ川,ギニアビサウ

T.A.R.O.

衛星画像のスペシャリスト集団。東京・日本橋にて超小型衛星の設計・製造・運用を行うアクセルスペース社のビジネスチーム。画像は,24時間365日,高度500kmの上空から地球観測(リモートセンシング)を続ける同社開発の超小型人工衛星「ほどよし1号機」が撮影したもの

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