ホーム > KAJIMAダイジェスト > July 2010:特集「技術の鹿島を支える機械・電気テクノロジー」 > FIELD 2 施工を支える

KAJIMAダイジェスト

FIELD 2 施工を支える 〜“機電プロフェッショナルの仕事”

巨大ダムや超高層ビルの建設現場で,日々淡々と確実に稼動を続ける建設機械や仮設備。その舞台裏では,現場ごとに機電社員の目に見えない演出がある。

写真

ダム現場の仮設備

現在,当社JVが施工中の湯西川ダムでは,良質なダムコンクリートを堤体に届ける仮設備が稼動中である。大量のコンクリートを打ち込むダム工事では,大規模な骨材プラントやコンクリート運搬設備が必要となる。それらの設備全体を統括し,緻密な設計や配置計画,そして調達,据付け,試運転,メンテナンスなどを中心的に行っているのが現場の機電担当である。

湯西川ダム(栃木県日光市)

国土交通省関東地方整備局発注の多目的ダムで,堤高119m,堤頂長320mの重力式コンクリートダム。五十里ダム,川俣ダム,川治ダムに続く鬼怒川上流の四つ目のダムとなる。

工期:
2008年7月~2012年3月(関東支店JV施工)

骨材プラント

ダム用コンクリートの骨材は,通常現場付近から原料となる岩石を採取して製造する。骨材は粒径や表面に付着する水分など,規定に合ったものに調整しながら製造・貯蔵するため,仮設備には様々な機械が使われている。

ダム現場の仮設備の図

ページのトップへ戻る

コンクリート運搬設備

バッチャープラントで製造されたコンクリートを堤体に運搬する設備。本工事は,技術提案により施工期間を約3ヵ月短縮し,100万m3のコンクリートを約23ヵ月という過去に例を見ない短工期で打設する。品質を確保しながら効率よく運搬するため,15t級ケーブルクレーン2基と斜面に沿って運搬する新型設備を併用。これにより運搬能力は飛躍的に向上し,その運搬量は1時間あたり370m3となる。


作業の効率化や安全性を向上させるための二つの技術

ケーブルクレーン自動運搬システム

オペレータはモニターでコンクリートバケットの軌道を確認するのみで,オペレータの技能差によるバラツキをなくし,安定したコンクリート打設が可能。また,加速減速時に発生する振れをとめる自動制御を行い安全性も向上させた。滝沢ダムで,同システムを利用したオペレータ歴30年のベテラン遠藤忠さんは「バケットの振止めは完璧なレベル。以前より,さらに精度が高くなっている」と高評価。「昔と比べ本当に楽になった」という。

SP-TOM

重力を利用し大量のコンクリートを直径70cmの円筒管で運搬する設備。管の内側に付けたゴムの羽根の形状を工夫することにより,安定した状態のコンクリートを堤体に運搬することを可能にした。(独立行政法人水資源機構ほか7社による共同特許取得)

ケーブルクレーン自動運搬システムの写真

ケーブルクレーン自動運搬システム

SP-TOM(Special Pipe Transportation Method)の写真

SP-TOM(Special Pipe Transportation Method)

機電を担当する皆さん。左から,大林信彦さん,戸澤清浩工事課長,筒井武志さん,見形信雄さん,大原伸浩工事課長代理の写真

機電を担当する皆さん。左から,大林信彦さん,戸澤清浩工事課長,筒井武志さん,見形信雄さん,大原伸浩工事課長代理

ページのトップへ戻る

Person 仮設備全体を統括するエキスパート

十数年ダム工事を経験してきたが,堤高が100mを超える大規模ダムは初めてとなる。「鹿島に入社して本当に良かった」と言う戸澤工事課長は,ビッグプロジェクトに携われることの喜びと情熱を素直に表現する。仮設備全体を工場のように捉え,24時間,ダムコンクリートを供給できる体制を整え,仮設備の据付けや運転,メンテナンスなどを統括する。トラブルがあれば,ダム建設に携わる約500人の仕事に影響を及ぼす。責任は重いが,やりがいの方が大きいという。

土木の仕事を理解し,現場運営全体を捉えなければ,本当の意味で建設機械や仮設備の大切さが分からない。必要と思った資格に挑戦し,ダム工事総括管理技術者など保有する資格は10を超える。ダム現場は常に一枚岩であるべき——。若手にも同じことを伝えている。

鹿島・清水特定建設 工事共同企業体 湯西川ダム本体建設 JV工事事務所 戸澤清浩工事課長の写真

鹿島・清水特定建設
工事共同企業体
湯西川ダム本体建設
JV工事事務所
戸澤清浩工事課長

From Indonesia 国境を越えて インドネシア・カレベダム工事

当社JVは,インドネシア共和国南スラウェシ州で,堤高80m,堤頂長215mの重力式コンクリートダム,カレベダムの施工を進めている。東京からは,ジャカルタ,スラウェシ島マカッサルを経由して34時間。マカッサルから飛行機に乗れない場合,陸路を12時間走る厳しい環境である。

加藤雅也さんは,言葉のギャップに苦しみながらも,仮設備全般の運用や維持管理を担当。熱帯雨林気候では,設備のメンテナンスなどのタイミングは日本国内の常識が通じない。一旦,部品が壊れると,調達には長い時間がかかる。輸入・通関手続きなどの時間を想定し,壊れそうな資機材を事前に調達しておく。本工事を統括する中島健一所長は「彼の先を予測する力が無ければ工事が止まってしまう」と話す。

「どんな環境でも仕事は楽しく」が信条。

熱帯雨林気候の厳しい環境で,仮設備全般の運用や維持管理を担当する加藤さんの写真

熱帯雨林気候の厳しい環境で,仮設備全般の運用や維持管理を担当する加藤さん

発掘!旬の社員
鹿島の見える風景作品集

ホーム > KAJIMAダイジェスト > July 2010:特集「技術の鹿島を支える機械・電気テクノロジー」 > FIELD 2 施工を支える

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ