建築でも土木でも,水平と垂直を正確に測定することが施工の基本です。
トンネルをまっすぐ掘れるのも,道路を平らに舗装できるのも
測量をしっかり行っているためです。ビルを建てるときも測量を行って
まっすぐに建てています。
下げ振りで測量
たらいに張った水を傾けても水は水平を保ち,糸におもりをつけてぶら下げると,糸は垂直を示します。古くから測量には水準器や下げ振りなどが使われてきました。下げ振りは,糸の端におもりを吊るした単純な道具で,1968年に竣工した日本初の超高層ビル「霞が関ビル」(高さ147m,当社JV施工)の鉄骨を建てるときにも使われました。
下げ振りは風や振動の影響を受けやすく,垂らす距離が大きくなれば,なかなか止まってくれません。霞が関ビルでは,風揺れの影響を小さくするために,取り付けたパイプに下げ振りを通して計測しました。数層の鉄骨を建てるごとに鉄骨の傾きを測定して歪みを調整します。調整は,隣接する鉄骨間に斜めに掛けたワイヤーを巻き取ることで行っていきます。
下げ振りによる計測は現在でも使われていますが,鉄骨を建てる際にはレーザーなどによる測量機器を使うのが一般的になっています。また調整にはワイヤーのほか,専用の治具を使うこともあります。
下げ振りによる測量と測量機器をつかったイメージ
高いほど柔らかくなる
霞が関ビルは「柔構造」の考え方を取り入れた日本最初のビルです。それまで国内には高さ31m以下のオフィスビルしかなく,それらは頑丈な構造で地震の揺れに対応する「剛構造」でした。剛構造は建物自体が重く,地上に近い階は重さを支えるために柱と壁ばかりになります。そのため地震国である日本では超高層ビルはつくれないといわれていたのです。霞が関ビルでは柳のように揺れながらも「スリット壁」という地震力を吸収する部材をつくって耐震性を確保しています。
現在では,建物に地震力を吸収する装置を設置して建物の揺れや変形を小さくする制震構造や,地盤と建物を構造的に絶縁する免震構造が開発されて,建物の揺れを低減しています。
なお,霞が関ビルの建設では,コンピュータによる高度な計算や大型H型鋼,タワークレーンのマストクライミング方式など様々な技術が開発されました。こうした技術は,40年以上経った今日でも超高層ビル建設の基本となっています。
解体に限らず,工事現場で発生した主要な廃棄物は分別してリサイクルすることが法的に義務付けられています。解体工事の場合は,廃棄物のうち重量比90%以上がスクラップやコンクリートがらで,これらはリサイクルされて電炉鋼材や再生砕石などの新たな製品に生まれ変わります。有害物などどうしてもリサイクルできないものは最終処分場に運ばれることになります。
なお新築工事では,資材メーカーが現場で余った自社製品を引き取って再生利用する「メーカーリサイクル」制度などがあり,基本的に解体工事よりもリサイクルできる品目が増えます。当社の現場全体のリサイクル率は約97%にのぼっています。