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どうやって埋立地をつくるの?

島国・日本では,埋立を行うことで新たな国土を創出し,
港や工業地域,空港などとして利用してきました。
現在では,国土の約0.5%が埋立地だといわれています。
埋立は,最初から土砂を投入していくわけではありません。
地盤改良を行い,埋立部の外周に護岸を築造してから行われます。

地盤改良と護岸構築

一般的に埋立工事は,はじめに地盤沈下・液状化対策として必要箇所に地盤改良を行います。この後に,護岸で周囲を囲み,土砂を投入して埋立を行っていきます。護岸の構築は土砂の流失防止や高波からの保護が目的で,環境を汚染することなく効率的に工事を進めるために必要です。護岸には,石を積むものやコンクリート製の函を使うもの,特殊な鋼材を使うものなどいくつかの種類があり,水深や埋立材料などの条件で決められます。投入する土砂は,切り崩した山から運んでくるほか,一定の品質・環境基準を満たした海底の土やほかの工事現場で発生した土砂などを使用します。

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埋立の手順

図版:埋立の手順

東京国際空港D滑走路

東京国際空港(羽田空港・東京都大田区)4本目となるD滑走路は,年間発着能力を約30万回から約41万回に増強するために計画されました。当社を含む15社が協力して2010年8月に完成しています。埋立面積は95万m2で水深は深いところで約20mあります。ここを埋立てて海面から13〜17mの高さまで盛土を行いました。

〈羽田空港D滑走路の施工〉

図版:羽田空港D滑走路の施工

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D滑走路の地盤改良には砂を使って地盤を締め固める工法のほか,いくつかの工法を組み合わせて行っています。これは地盤沈下対策が主な目的で,液状化には埋立材に非液状化材を選定することで対策しています。護岸は生物環境に配慮した傾斜構造で,ひとつ数十kgから数百kgある石でつくられ,この後に中央部の埋立が行われます。地盤改良や護岸づくりも含め,埋立に使用した砂や石は,東京ドーム43個分にあたる5,300万m3にのぼりました。

実はD滑走路は,すべてが埋立でできているわけではありません。面積の約3分の1が鋼製の柱を海底に打ち立てて,コンクリートの床を支える桟橋形式になっています。これは,多摩川の水の流れを妨げないようにするためで,埋立と桟橋を併用した形式は世界でもあまり例がありません。

図版:桟橋の施工状況

桟橋の施工状況。桟橋形式で多摩川からの通水性を確保しました

図版:完成した羽田空港D滑走路

完成した羽田空港D滑走路。左約3分の1が桟橋部

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column 液状化現象とは?

埋立地と聞くと液状化現象を連想する人も多いかもしれません。しかし地盤改良や埋立材の選定などの対策をしっかり行えば液状化は防ぐことができます。液状化とは,安定していた地盤が液体のような性質に変化する現象です。普段は砂粒同士の摩擦で安定していますが,地震などの激しい揺れが加わると,砂粒同士のかみ合わせが外れてしまいます。これによって地下水位より深いところでは,砂粒が水の中に浮いた状態となり,泥水のように流動したり,地表に噴き出すなどして,建物を支えることができなくなってしまいます。

図版:液状化現象とは?

今回,当社技術研究所の協力を得て,液状化実験をやってみました。鉄球とピンポン玉を,比重の重い建物と比重の軽いマンホールなどに見立てて実験しました。地震が発生したと想定して,容器を揺らすと次第に液状化していきます。やがて鉄球が沈み,ピンポン玉が浮き上がってしまいました。なお,この実験では粒の揃った砂を用意する必要があります。

図版:❶砂1,5kgに水400gを注ぎます

❶砂1,5kgに水400gを注ぎます

図版:❷ピンポン球を砂に埋めます

❷ピンポン球を砂に埋めます

図版:❸鉄球を置いて容器を振動させます

❸鉄球を置いて容器を振動させます

図版:❹液状化が発生して鉄球は沈みピンポン球が浮いてきました

❹液状化が発生して鉄球は沈みピンポン球が浮いてきました

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