道路や橋,トンネル,ビル…。あらゆる建造物に使われている
コンクリートは,セメントと水,砂,砂利などを練り混ぜてつくります。
強度と耐久性を誇りながらほかの材料にはない便利な性質をもち,
今や欠かすことのできない建設材料といえます。
どこでもだれにでも
石や木,鉄など世の中には様々な材料があります。なかでも,コンクリートは広く使われている材料で,その場で自由な形にできるのが大きな特徴です。しかも,安く,どこでもだれにでもつくることができます。セメントは石灰石と粘土などを高温で焼くことでつくられますが,このセメントさえ持っていけば現地の水と砂,砂利でコンクリートをつくることができるのです。コンクリートには自然と縁遠いイメージがあるかもしれませんが,これらの材料はすべて,自然界に存在しているものです。
乾燥は大敵
コンクリートは練り混ぜるとセメントと水が化学反応を起こし,時間がたつにつれてかたまってきます。乾燥してかたまると思っている人も多いかもしれませんが,それは間違い。水とセメントの化学反応でかたまるので,乾燥して水分が足りなくなるとかたまらなくなってしまいます。工事現場では,水分が蒸発しないようにシートなどで覆って乾燥を防いでいます。ちなみに,工場から工事現場に向かうミキサー車(正式にはアジテータ車と呼びます)が回転しながら走っているのは,コンクリートがかたまらないようにという理由もありますが,工場で混ぜた材料が分離しないようにするためです。
コンクリートは,引っ張る力に強い鉄筋を入れて補強した鉄筋コンクリートとして使うことが多いのですが,これはコンクリートが押しつぶそうとする力に対しては強くても,引っ張る力に対してはあまり強くないためです。さらに強度が求められる橋や大空間建造物などでは,PC鋼線などを利用したプレストレストコンクリートが使われます。
古くて新しい材料
コンクリートの歴史は古く,イスラエルで約9,000年前につくられたものが最古だといわれています。中国では西安で発掘された遺跡のコンクリート構造物が約5,000年前のものです。有名なのは古代ローマ帝国で,約2,000年前に橋や水道などの建造物がコンクリートで整備されて文明を支えました。
この後,現在のコンクリートが登場するのは1824年のイギリスです。これが日本に輸入されたのは江戸時代末期の1865年で,まだ150年も経っていないことになります。コンクリートが国内で本格的に普及したのは戦後になってからのことです。コンクリートは古くも新しい資材なのです。
新世代のコンクリート
当社では,特殊な混和剤を加えるなどで新たな性質をもつコンクリートを開発しています。なかでも注目を集めているのは,二酸化炭素(CO2)を吸収してかたまる「CO2-SUICOM」(スイコム)です。スイコムは,中国電力と電気化学工業との共同研究で誕生したコンクリートで,コンクリートをつくるときにCO2を強制的に吸収させることで,CO2排出量を実質ゼロ以下にすることに世界ではじめて成功しています。
ほかにも,強度や耐久性,流動性,硬化速度などを調整した新たなコンクリートが生み出されています。
当社が共同開発したソフトコンクリートを使って,植木鉢をつくってみました。このコンクリートは,植物繊維を配合しているため吸水・保水・蒸発散作用があり,土に近い性質を持っています。植物の生育にやさしく,植木鉢に適しています。