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豊島プロジェクトのはじまり

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豊島区は,旧庁舎の老朽化と狭さを長らく課題としていたが,市街地再開発事業によって全国初の高層マンション一体型の新庁舎を南池袋に建設した。旧庁舎の跡地は,隣接する豊島公会堂敷地と合わせて定期借地権を設定し,民間事業者に貸し付けることとなった。その地代を一括前払いで受け取り,新庁舎への移転費用に充てることが,旧庁舎跡地活用の目的の一つとされた。その後,区は両敷地を新たな文化にぎわい拠点として再生し,区の新ホールと民間施設を一体的に整備することを条件に,公募型プロポーザルを実施。2014年に東京建物とサンケイビル,当社の3社で事業者グループを構成し,翌年3月に提案が選定された。

図版:旧豊島区庁舎

旧豊島区庁舎

図版:旧豊島公会堂

旧豊島公会堂

豊島プロジェクトは,東京建物とサンケイビルが約70年の定期借地権者として,不動産開発および民間施設などのマネジメントを担い,当社が設計・施工を担当する。区は新ホール棟のホール部分を買い取り管理・運営を行い,併せて隣接する豊島区民センターと中池袋公園,周辺道路も整備する。これらを同時一体的に完成させるかつてない官民連携プロジェクトは,池袋駅周辺の再開発事業の中でも注目を浴びた。また,区が掲げる国際アート・カルチャー都市のシンボルと位置づけられ,その後公募によってこのエリアの愛称が「Hareza(ハレザ)池袋」に決定した。Harezaとは,非日常を体験できる「ハレ」の場と,劇場や多くの人が集まる場所を意味する「座」を合わせたものだ。

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図版:完成イメージ

完成イメージ

「誰もが輝く劇場都市」をコンセプトに,「8つの劇場」を含む文化にぎわい拠点が生まれる。庁舎跡地(A棟:Hareza Tower(ハレザタワー))には,池袋最大級となる高規格オフィスに加え,低層部にはシネマコンプレックスや商業施設を整備する。公会堂跡地(B棟:新ホール棟)には,新ホールやライブ劇場を整備し, 多様な文化を発信する新たなにぎわい空間を創出する。

一方,区が整備する区民センターと道路は当社がデザイン監修を担い,中池袋公園は基本設計を担った。ハレザ池袋全体に当社が携わることで,統一されたデザインコンセプトの劇場都市が形成される。

工事概要

(仮称)豊島プロジェクト新築工事

場所:
東京都豊島区
発注者:
東京建物,サンケイビル
設計:
当社建築設計本部
用途:
A棟―事務所,映画館,集会場,店舗,駐車場/
B棟―公会堂,集会場,店舗,駐車場
規模:
A棟―S・RC・SRC造 B2,33F 延べ68,653m2
(工期:2016年12月~2020年5月)
B棟―S・RC・SRC造 B1,8F 延べ10,639m2
(工期:2017年1月~2019年4月)

(東京建築支店施工)

図版:断面図
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interview

事業者として,ともに劇場都市を作り上げている東京建物とサンケイビルのお三方に,
池袋の魅力と「ハレザ池袋」への期待を伺った。

図版:イメージ

事業者として考える当プロジェクトの特徴を教えてください。

若林氏官民が密接に連携した事業という点です。官と民という性格の違う組織が一体となってエリア開発を行っています。豊島区は,国際アート・カルチャー都市構想実現のために,様々な施策を一丸となって進めています。このプロジェクトはそのシンボル的な事業であり,区の強い推進力のもと,ともにまちづくりを進めています。

池袋の魅力,またオフィスとしての可能性はどのようにお考えですか。

伊熊氏池袋は,多様性に富んでいて常に多くの人でにぎわっており,交通結節点でもあるので,非常にポテンシャルの高い街です。また,地元の方たちの街をより良くしていきたいという想いを強く感じます。

横田氏これまでビジネスのイメージがあまりない街でしたが,待望の新規オフィスという期待感があります。ハレザ池袋のみをアピールするのではなく,変化・発展していく夢のある池袋の街全体を売り込むことによって注目を浴びていると感じています。現在は,6割ほどテナントが決まっています。

若林氏池袋駅周辺は今後も大規模再開発が続く予定です。私たちは,このエリアの価値向上に向けて,先導的な役割を担っており,他のプロジェクトと競合するのではなく,ともに池袋を盛り上げていこうという気持ちで事業を進めています。

ハレザ池袋に期待するもの,またどのように運営していくのか教えてください。

横田氏8つの劇場空間という他にはない魅力が,ハレザ池袋の輝きとなっています。定期借地の70年あまりの中で,様々な変化はあるでしょうが,豊島区の輝きの中心はハレザ池袋であってほしいと願っています。

伊熊氏池袋の新たなシンボルとして,「ハレザに行けば面白いことがある,まずは行ってみよう」という場所にしたいです。このエリアのにぎわいを,いかに持続させていくかがポイントですが,様々なイベントを開催することで,エリア全体を一体的に盛り上げていきたいです。

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数年にわたる事業の中で、印象に残っていることはありますか。

伊熊氏コンペ時のことが非常に印象に残っています。設計からの“劇場を色々な場所に作る”というアイデアで,提案の方向性が大きく変わりました。高い設計力,着実に作り上げていく施工力,それを支える営業力,このオール鹿島としての全面的なサポートのおかげで,今につながっています。

若林氏これまで多くのプロジェクトに携わってきましたが,ここまで行政を含めた関係者が一丸となり事業を推進できているのは初めての経験です。各社が得意な分野で最大限の力を発揮しているからこそ,このような開発が実現しつつあるのだと思います。

写真

サンケイビル
営業本部 東京ビル営業二部長
横田健治

東京建物
都市開発事業部 事業開発グループ
グループリーダー
若林典生

東京建物
ビルマネジメント第二部 
ビル営業グループ次長
伊熊洋介

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