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A:(仮称)豊島プロジェクト A棟新築工事

ハレザ池袋の中心的な役割を担うハレザタワーと新ホール棟。
新ホール棟は今年11月にこけら落としを,
ハレザタワーを含めたハレザ池袋全体のグランドオープンは
2020年夏を予定している。
これから工事の最盛期を迎えるハレザタワー,
繁忙期を乗り切った新ホール棟,
この2つの現場で実践している取組みを紹介する。

図版:断面図

豊島区旧庁舎の跡地活用

豊島区旧庁舎は1961年に建設された地上4階,地下1階の建物で,当時は都内の自治体総合庁舎として3番目の規模を誇った。解体前の2016年3月までは一部業務が行われており,都内で最も古い区役所庁舎だった。その歴史ある庁舎跡地には,地上33階,地下2階の複合ビル「ハレザタワー」を建設している。2~6階は10スクリーン,約1,700席を有するシネマコンプレックスが整備され,8つの劇場の一つだ。玄関口となる階段状の半屋外劇場空間であるシネマプラザと連動し,新しい映画体験を発信していく。7~32階はオフィスエリアとなり,池袋最大級となる約1万1,000坪の貸し床面積を誇り,1フロア約500坪のレイアウト効率に優れた整形無柱空間を提供する。

見た目も美しく

官民連携プロジェクトとして注目されている当現場は,池袋駅から徒歩4分,明治通り沿いという立地にある。そのため,安全性は当然のこと,工事中の見た目にも気を遣う必要がある。そこで鉄骨建方工事では,人通りが一番多い明治通り側外周部に連層足場を採用した。鉄骨の溶接防護シート養生と仮設足場が一つの筐体(きょうたい)となり,建方の進捗に合わせてクライミングしていくものだ。溶接火花や工具などの落下の心配がない養生としての機能と,多くの作業員が作業するための頑丈な足場,養生としての外部足場の機能が一つになっている。現場の計画時から指揮する持田秀夫所長は,「連層足場は施工性に優れ,安全性も確保します。何より見た目の美しさにもこだわりました」と語る。

写真:持田秀夫所長

持田秀夫所長
photo: Shinjiro Yamada

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図版:連層足場

連層足場。今後,超高層の現場では採用数が増える見込みだ

4週8閉所カレンダーの作成

当現場は,4週8閉所を目指し様々な取組みを提案している。まずは「4週8閉所カレンダー」を作成した。これは,翌年の工程を調整して日曜祝日,季節休暇に加えて閉所日を設定し,4週8閉所となるよう事前に1年分の計画を立てたものだ。「多くの所員と協力会社にとって4週8閉所は初めての取組みなので,作業員の賃金だけでなく安全や品質面からも導入は難しいという意見が多かったです。3ヵ月ほどかけて根気よく話し合い,カレンダー作成に至りました」(持田所長)。カレンダーは2018年から試験的に導入し,今年分も作成され運用している。

図版:2019年版4週8閉所カレンダー
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閉所日が増えることで,日給月給制の作業員の収入が減少する懸念もあったが,働く時間を調整する提案によって解決した。朝は通常の8時より20分早く朝礼を始め,夜は17時から18時までオープンタイムとして作業可能時間としている。毎日の作業を1時間20分増やし5日間働くと,ほぼ1日分の作業時間と同等になる。こうすることで,現場にとっては工程と閉所日を確保でき,協力会社にとっては賃金の確保が可能となる仕組みだ。

また,閉所日としている土曜日には,「職長会の日」や「スキルアップの日」などを設けている。職長会の日は,所員と作業員の家族向け現場見学会や,担い手確保のための見学会,懇親会などを実施している。とくに担い手確保への取組みには積極的だ。ハローワークや鹿世会などとともに,求職者や高校生を見学会に招き,実際に作業体験ができる場も設けて建設業の魅力を伝えている。

スキルアップの日は,関係部署協力のもと資格習得の日としている。協力会社から要望を募り,フルハーネス型安全帯や高所作業車の特別教育などを現場で開催する。現場からは講師と生きた教材として場所を提供し,作業員は現場へ出勤する感覚で資格を習得でき,非常に好評だという。

図版:高所作業車の特別教育の様子

高所作業車の特別教育の様子

図版:鹿世会主催の高校生向け現場見学会

鹿世会主催の高校生向け現場見学会。
様々な工種の体験を行った

図版:家族向け現場見学会の様子

家族向け現場見学会の様子

図版:ハローワーク主催の現場見学会

ハローワーク主催の現場見学会。ハッカーと呼ばれる工具を使って針金で鉄筋を結束する体験も行った

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見える化で業務平準化

持田所長は毎月,業務や発注のマイルストーンを設定する。何をいつまでにやらなければならないかリストアップし,事務所内に貼り出して所員全員で共有している。いくつかに分けたグループのリーダーは,それをもとに配下の所員の仕事量や能力に応じて業務を振り分ける。現場全体で,今何をすべきか,いつまでにやるかを明確にすることによって,効率良く業務を進めることができる。さらに毎月15日と25日には,進捗状況と所員の残業時間を全員で確認し合い,遅れがあるものはフォローし,残業時間が多い場合は他の所員に業務を振り分ける仕組みとしている。「少ない人数で進めていくためには,決められた期間内に,決められたことができるように工夫する必要があります。当現場では,全員で情報を共有して業務の平準化を図り,チームワーク良く運営できています」と持田所長は話す。

竣工まで一年を切り,現場は耐火被覆工事や内装工事などさらに繁忙を極めていく。引き続き業務の平準化を図り,この繁忙期を乗り切っていく。

図版:事務所に貼り出しているマイルストーン管理表

事務所に貼り出している
マイルストーン管理表

図版:豊島プロジェクト全景(4月27日撮影)

豊島プロジェクト全景(4月27日撮影)

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