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concept:人が輝く劇場都市——変化し続けるハレの場

写真:

常務執行役員
建築設計本部長
北 典夫

図版:Hareza池袋の低層部模型

Hareza池袋の低層部模型:建築と公園,道路の境界を越え,内外につながって一体となる。
3棟をつなぐ150mにおよぶ屏風スクリーンが訪れる人々を迎える

この官民連携の旧庁舎跡地活用事業で,当社はA棟,B棟については設計・施工を担うとともに,豊島区の整備事業であるC棟(区民センター),区道,中池袋公園についてもデザイン監修を務めています。複数の街区にまたがるパブリック・レルム(公共的領域)全体を統合して計画し,設計することは,快適で整った街並みをつくるという点で,また街区のイメージの形成・強化という点で,大変重要な役割であると考えています。

街区は4つに分かれていますが,それらが相互に分断されることなく,道路を含め,外部と内部が一体となった強いまとまりを創り出すことを第一の目標としました。

低層部の自然石の外装は3棟共通で,タテ方向の細いラインを強調し,高さもそろえているので,各棟のあいだに緊密なつながりが生まれています。タテのラインの幅は7・5・3のリズム・パターンとなっています。かつて新潟県十日町市にあるブナ林,通称「美人林」を訪れたとき,緑葉の間から漏れ落ちてくる光によって浮かび上がる樹幹の姿が美しく,そこからアイデアを得たデザインです。このリズム・パターンは前面の道路にそのまま転写されて,建物と道路空間が滑らかに連続するように意図されています。

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3棟は屏風スクリーンと呼ばれるブリッジで結ばれ,敷地境界を越えた高い回遊性が得られています。ブリッジの前面には,特性を異にする8つの劇場を訪れる人々がにぎやかに行き交う内部空間と,多彩なイベントが人々を惹き付ける外部空間が大きく広がっています。そのありさまを,ブリッジを祭りの幔幕(まんまく)に,前面の空間を花の下で舞い踊り,あるいは見物する人々のためのスペースと見立てることもできます。そこでブリッジの壁面には鮮やかな配色を施し,非日常性の演出,演劇性の導入を図っています。

このプロジェクトのもう一つの眼目は,池袋に不足していた国際競争力を備えたビジネス拠点の創出です。明治通り沿いのA敷地に建つ高層棟がそれにあたりますが,豊島区の活力を高める企業の集積をめざして,最先端のニーズに応える大規模・高規格オフィスとして設計しています。高層部は,池袋駅近くの新たなランドマークとなるに相応しい,エレガントな表情とシルエットを与えています。

このように,民間の事業者が区や地域と連携して包括的なエリアマネジメントを展開し,エリアの価値を最大化することで池袋に新たな息吹がもたらされ,ここにしかない魅力が生み出されます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは,豊島区が掲げる文化プログラムの拠点として世界中の人々が訪れ,集う場所となるよう願っています。

図版:中池袋公園と正対し,訪れる人々の舞台となるパークプラザ

中池袋公園と正対し,訪れる人々の舞台となるパークプラザ

図版:木立をモチーフとした3棟の外装がハレの場を包み込む

木立をモチーフとした3棟の外装がハレの場を包み込む

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