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3環状道路を造る:工事は地域とともに進む 首都圏中央連絡自動車道

首都圏中央連絡自動車道(圏央道)は,首都圏の道路交通の円滑化,環境改善,沿線都市間の連絡強化,地域づくり支援,災害時の代替路としての機能など多くの役割を担う。近年,路線には新規工場や物流倉庫などの進出が相次ぎ,経済活動にも大きなメリットを与えている。

現在,当社は国土交通省発注の「桶川地区函渠その1工事」,東日本高速道路発注の「境高架橋(下部工)工事」を急ピッチで進めている。

図版:首都圏中央連絡自動車道地図

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ふれあいに支えられて

「圏央道の最も北である五霞〜境古河間に位置し,約2kmの区間に鉄筋コンクリート造の橋脚46基を造る工事です」と説明するのは「境高架橋(下部工)工事」を統括する本田満彦所長。東京都水道局の金町浄水場高度浄水施設工事などの大規模現場を率いてきた本田所長にとっても,この工事は様々な厳しい条件が重なっている。その一つが,もともと水田だった軟弱な地盤だ。総重量が135tにもなる大型の杭打機を安全に支持できるよう作業ヤードの地盤を改良。その厚さを決定するため,現場での地盤調査や改良後の強度確認などを丹念に行い細心の注意を払った。

いま最も苦労しているのが,建設業界全体が抱える問題ともいえる作業員確保と資機材不足だという。「一朝一夕には解決できる問題ではありません。より一層,協力会社との連携を密にすることで,道は開けると信じています」(本田所長)。そのような状況のなかで,本田所長の心を潤してくれるのは,地域の方々とのふれあいだ。自家製の野菜を現場事務所に差し入れをしてくれ,その時の何気ない会話のなかで圏央道開通への期待を耳にする。“安全・品質を確保して,早期に橋脚引き渡しを行う”という工事の目的や原点を改めて感じる瞬間だと話す。

図版:本田満彦所長

本田満彦所長

図版:軟弱地盤に総重量135tの杭打機を安全に支持するために地盤改良に細心の注意を払った

軟弱地盤に総重量135tの杭打機を安全に支持するために地盤改良に細心の注意を払った

図版:完成した橋脚。4月現在で12脚の橋脚が完成している

完成した橋脚。4月現在で12脚の橋脚が完成している

【工事概要】

首都圏中央連絡自動車道 
境高架橋(下部工)工事

場所:
茨城県猿島郡境町大字塚崎~大字長井
発注者:
東日本高速道路
工期:
2013年5月~2014年10月
規模:
下部工(橋脚)46基  
掘削工11,929m3 
コンクリート工9,982m3  
地盤改良工15,829m2
ほか

(東京土木支店施工)

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次の世代のために

躯体コンクリートの打設がラストスパートに入ったのが,「桶川地区函渠その1工事」だ。延長約440mの区間内に土留壁を造成,土留め支保工を設置しながら掘削後,躯体コンクリート構造物を立ち上げるというシンプルな工事だが,随所に当社の提案を見ることができる。土留壁と切梁の強度を高め,切梁段数を3段から1段へ減らしたことで作業空間を広くとり施工性の効率化を図った。また,コンクリートの品質確保にも積極的に取り組んだ。技術研究所の協力のもと打設後のコンクリートの温度変化を随時計測しながら,型枠を外す時期や養生期間などをきめ細かく管理し,品質の高い躯体構造物となるようにしている。「土木構造物は何十年,何百年先まで残るものです。我々ができる限りの力を尽くして,次の世代のためにも良いものを造りたいんですよ。そこに現場マンとしてのやりがいがありますから」と前川陽平所長は品質にこだわる訳を語る。

安全面でもユニークな取組みを実践している。一般車両と工事車両が接する24ヵ所全てにリモコン式の信号機付き遮断機を設置した。全て現場でオーダーメイドしたものだ。また,近隣住民の方の現場見学会など様々なイベントを企画して,地域とのコミュニケーションを大切にしている。

この工事は,2014年度開通が予定されている桶川北本~白河菖蒲間の一部となる。「この道路が供用されれば,中央道から関越道,東北道までが高速道路で結ばれます。近くの一般道が抜け道として使われることもなくなるでしょう。何より地域の皆さんが安心して暮らすことができる。それが私たちの役目です」(前川所長)。

図版:前川陽平所長

前川陽平所長

図版:イメージ図

イメージ図

図版:一般車両と工事車両が接する24ヵ所全てにリモコン式の信号機付き遮断機を設置

一般車両と工事車両が接する24ヵ所全てにリモコン式の信号機付き遮断機を設置

図版:躯体コンクリートの打設状況。切梁を1段に変更して作業効率を高めた

躯体コンクリートの打設状況。切梁を1段に変更して作業効率を高めた

【工事概要】

圏央道桶川地区函渠その1工事

場所:
埼玉県桶川市
上日出谷地先
発注者:
国土交通省
工期:
2011年11月~
2014年12月
規模:
延長約440m 
地中連続壁工21,699m2 
掘削工127,428m3 
コンクリート工33,596m3 
ほか

(関東支店施工)

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Column 職人との会話で実現した快適職場

夏の熱中症対策に良い方法はないか?ミストシャワーなど一般的なものではつまらない。猛暑が続くなか前川所長が頭を悩ませていたところ,ある職人との会話から1つのアイデアが生まれる。工事で発生する地下水を使って,足湯ならぬ“足冷やし”はどうか?「面白そうなことは,とにかくやってみよう!」と現場内に“足冷やし場”を設置した。地下水の温度は10℃。その効果は抜群で,足首を冷やすと夏場でも寒くなるくらいだという。

この取組みなどが評価され,日本建設業連合会の「2013年度快適職場表彰」で優秀賞に輝いた。

図版:工事で発生した地下水を利用した熱中症対策“足冷やし”は大好評

工事で発生した地下水を利用した熱中症対策“足冷やし”は大好評

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