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建学の地に新風を! 都市型校舎の挑戦

日本大学豊山高等学校・中学校

狭小敷地の居ながら工事

既存校舎を利用しながらの学校の建て替え・リニューアルは,都市部の狭小敷地になるとさらに難しさを増す。

東京都文京区の日本大学豊山高等学校・中学校では,護国寺の境内に隣接する約6,000m2の敷地で校舎の建て替えが行われた。5棟の旧校舎が地上11階,地下2階の都市型高層校舎に生まれ変わった。

4年にわたる工期の最初の10ヵ月で仮校舎の建設と移転が完了。3年あまりに及ぶ旧校舎の解体と新校舎の建設が同時進行した。めまぐるしく変わる現場の状況に対し,設計時から協力会社を含めた施工担当者と検討を進める体制を強化した。

写真:地下に設けた3層吹き抜けの自然光の入る明るい講堂兼体育館

地下に設けた3層吹き抜けの自然光の入る明るい講堂兼体育館

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アトリウムを中心とした高層校舎

完成した新校舎は中高の学校施設として類を見ない空間になっている。上層階までアトリウムが抜け,各フロアにはこれを囲むように教室が配置されている。アトリウムにはエスカレーターが設けられ,生徒たちの移動を容易にしている。

災害時にも非常用水として利用できるように屋内プールを最上階に配置している。地下2階から1階の空間には体育館が設けられ,低層型校舎以上の施設機能の充実ぶりを誇っている。

写真:最上階に設けた競技仕様の25m×10コースの屋内プール

最上階に設けた競技仕様の25m×10コースの屋内プール

写真:都心型の高層に生まれ変わった新校舎

都心型の高層に生まれ変わった新校舎

写真:トップライトから自然光が差し込むアトリウム

トップライトから自然光が差し込むアトリウム

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日本大学豊山高等学校・中学校

場所:
東京都文京区
発注者:
日本大学
設計:
当社建築設計本部
規模:
RC造・SRC造・S造(CFT造) B2,11F 延べ25,409m2

2016年3月全体竣工(東京建築支店施工)

二松學舍大学九段4号館

東京の中心で学ぶ

靖国通りを挟んだ靖国神社の向かいに2014年12月,二松學舍大学九段4号館が完成した。千鳥ヶ淵や武道館も至近な九段は二松學舍大学建学の地。2004年には大学創立125周年記念事業の一環として九段キャンパスの再整備が行われ,当社も同年に竣工した1号館以来,設計・施工に携わる。

9階建ての4号館は,低層部にエントランスホールとラウンジ,3階以上は大小の各教室と研究室が入っている。靖国通りと区道に挟まれた二面接道の狭小敷地で,両方向からアクセスできる。

写真:靖国通り越しに全景を望む

靖国通り越しに全景を望む

都市型キャンパスのサードプレイス

中高層部の各フロアには,靖国通りに面する北側に教室機能と切り離されたラウンジスペースがある。高台からの眺めは入学シーズンともなれば満開の桜で埋め尽くされる。低層部にはエントランスホールに面したラーニングスクエアが設けられている。

こうした空間は,学生たちが授業前や空き時間に気軽に立ち寄れる,いわば大学内のサードプレイスだ。二松學舍大学ではこうした空間が各校舎に設けられており,単調になりがちな学びの空間に,彩りを与えてくれる。

写真:スキップフロアからエントランスホールとラーニングスクエアを望む

スキップフロアからエントランスホールとラーニングスクエアを望む

写真:中高層階の各フロアに設けられたラウンジスペース

中高層階の各フロアに設けられたラウンジスペース

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二松學舍大学 九段4号館

場所:
東京都千代田区
発注者:
二松學舍
設計:
当社建築設計本部
規模:
S造(CFT造) 9F 延べ1,974m2

2014年12月竣工(東京建築支店施工)

巣鴨中学校・巣鴨高等学校

歴史に寄り添う分棟配置

東京都豊島区の巣鴨中学校・巣鴨高等学校は,前身の巣園学舎から数え100年以上の歴史をもつ。学内には樹齢100年を超えるクスノキやイチョウが残り,住宅密集地のオアシスとなっている。

ここでは体育館を含めた旧校舎5棟のうち,4棟の建て替えが行われた。特徴的なのは,分棟型の校舎配置。都心にあっても緑に囲まれた学園にしたいとの堀内不二夫校長の思いからだ。各棟の間にはオープンブリッジが設けられ,生徒たちは季節の移り変わりや樹木の表情を間近に見ながら,学校生活を送る。

写真:コーナー部を開口にすることで教室内でも校庭の樹木をより間近に感じることができる

コーナー部を開口にすることで教室内でも校庭の樹木をより間近に感じることができる

写真:講堂の内装材には校庭のイチョウが用いられている

講堂の内装材には校庭のイチョウが用いられている

写真:分棟型の新校舎をつなぐオープンブリッジは校内の憩いの場所となっている

分棟型の新校舎をつなぐオープンブリッジは校内の憩いの場所となっている

ディテールが継承する記憶

来校者の目を引くのは,各棟のエントランスキャノピー(庇)に取り付けられた飾り金具だ。これは2012年まで使われていた1922年創建の本館から引き継いだものである。さらに新校舎の玄関扉や講堂の天井・腰壁には,道路拡幅で伐採された校庭のイチョウやクスノキが用いられている。これらは,いつか卒業生たちが再訪したときにかつての学び舎を思い出してほしいとの発意から生まれたディテールであり,学校内でひと際なつかしさと暖かみを醸し出している。

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写真:旧本館(下)の意匠を踏襲した新校舎の立面

写真:新校舎の立面

写真:旧本館の飾り金具を転用したエントランスキャノピー

旧本館(右)の意匠を踏襲した新校舎の立面

旧本館の飾り金具を転用したエントランスキャノピー

巣鴨中学校・巣鴨高等学校

場所:
東京都豊島区
発注者:
巣鴨学園
設計:
当社建築設計本部
規模:
RC造 B1,6F 延べ15,360m2
工期:
2012年9月~2016年3月

(東京建築支店施工)

こんな学びの場がほしい!──学生と考える図書館プロジェクト 京都女子大学図書館

新図書館建設を学生の学びの場に

京都市東山区の京都女子大学は,約6,300人の学生が在籍し,「京女」の愛称でも親しまれている。この全国有数の女子大学でいま,話題を呼んでいるのが「図書館建築キャンパスプロジェクト」だ。講習とワークショップからなる連続セミナーを通じて,新図書館に学生たちの声を反映する参加型企画である。大学と当社が共同で立案し,竣工までの2年間で実施される。

今年4月から始まったセミナーの内容は驚くほど幅広い。近隣の大学の図書館をめぐる見学ツアーもあれば,現場見学や外壁タイルの製作,講師を招いて家具や照明,カフェ経営などを学ぶ講習も開かれる。

写真:東山の緑に囲まれた新図書館の完成予想パース。さまざまな学びの場で構成されている

東山の緑に囲まれた新図書館の完成予想パース。さまざまな学びの場で構成されている

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女子大生,ヘルメットをかぶる

京女には建築を学べる家政学部生活造形学科があるが,当社開発事業本部の寺田香織課長代理によれば「セミナーにはさまざまな学科から60人あまりの学生たちが集まっている」という。この多くが単独での応募で,「提案型のグループディスカッションでも活発な意見が飛び交う」様子に,自主性を重んじる大学の気風が窺われる。

10月には寺田課長代理をはじめ当社女性社員のガイダンスによる,ヘルメットをかぶっての現場見学会が開催された。身近なキャンパス内の普段立ち入ることのできない場所とあって,ひと際大きな反響を呼んだ。現在は2017年2月竣工予定で工事が進められている。彼女たちの意見が反映され,どのような図書館が誕生するのか,いまから完成が待ち遠しい。

写真:ワークショップ型のセミナーの模様

ワークショップ型のセミナーの模様。各グループから斬新なアイデアが提案される。セミナーは2年間で15回程度開催される

写真:10月に開催された学生対象の現場見学会で解説する寺田課長代理(右から2人目)

10月に開催された学生対象の現場見学会で解説する寺田課長代理(右から2人目)。現場の女性社員も案内役を務めた

キャンパスがヒートアップ!──創造力を競う学生コンペを主催 東海大学 ものづくり学生サミットin湘南

神奈川県平塚市の東海大学湘南キャンパスではいま,「ものづくり学生サミットin湘南」が開催されている。工学部生を対象に企業が課題を出し,有志学生のグループが提案を行うプロジェクトだ。

当社は第1回となる2014年に「東海大学の魅力を高める新図書館建設を考える」を出題。建築学科を中心に40人の学生が集まった。「自然の取り込み方,音や香りに包まれた図書館などの発想力に驚いた」と語るのは出題した開発事業本部の木村栄津子さん。中間相談会や学外の図書館見学会を企画し,この模様を壁新聞で報じるなどして盛り上げた。建築学科の教員や大学職員が見守るなかでの最終講評会では,自分の案への思い入れの強さからプレゼン中に涙してしまう学生もいたという。

好評だった第1回に続いて今年のお題は「新学生食堂を考える」。学生たちの間ではいま,食事の場所だけにとどまらない斬新な学生食堂のあり方について白熱の議論が交わされている。

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写真:最終講評会で最優秀賞に輝いた作品

最終講評会で最優秀賞に輝いた作品。テーマは「本の住むマチ」

写真:他大学の図書館をめぐる「先進事例視察会」も開催

他大学の図書館をめぐる「先進事例視察会」も開催

写真:9月に行われた中間相談会

9月に行われた中間相談会。模型を使って説明をする学生と当社担当者(右から2人目が木村さん)

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