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幾何学模様

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図版:地形を度外視(ハックスタン,アメリカ)

地形を度外視
(ハックスタン,アメリカ)

アメリカ合衆国西部コロラド州の州境は,綺麗な直線で引かれている。こうした州境は開拓時代の名残であるが,農地もまた四角く整然と区画されている。地形の起伏や河川があるのをほとんど無視し,1マイル(約1.6km)間隔に碁盤目状の道路で区切った大規模農場だ。ここハックスタンがあるコロラド州東部は,グレートプレーンズと呼ばれる一大穀倉地帯で,収穫期ともなると,広大な農地を巨大なコンバインが隊列をつくり,トウモロコシ,小麦,大豆などを収穫していく。面積が400haを超える農場も少なくない。牧畜や養豚も盛んだという。

地図:ハックスタン,アメリカ
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図版:砂に描く円(ジャウフ州,サウジアラビア)

砂に描く円
(ジャウフ州,サウジアラビア)

サウジアラビアの北西部,ヨルダンとの国境にほど近いジャウフ州の砂漠地帯に判を押したかのように同じ形の丸が延々と並んでいる。円形農場だ。地下水を汲み上げ,円の中央部を軸に灌漑用のスプリンクラーが回転し,作物に水を与える。大きなものは直径約1kmにも及ぶ。このセンターピボットと呼ばれる灌漑農法は,およそ80年前,アメリカ,コロラド州の農民が発明した。ハックスタンの写真にも円い形がちらほら見える。降雨量に左右されないこの農法の採用により小麦などの作物の収量は大幅に増加したというが,地下水の汲み上げによる環境への深刻な影響が懸念されている。砂漠に描かれた奇妙な光景は近い将来には見られなくなってしまうかもしれない。

地図:ジャウフ州,サウジアラビア

T.A.R.O.

衛星画像のスペシャリスト集団。東京・日本橋にて超小型衛星の設計・製造・運用を行うアクセルスペース社のビジネスチーム。画像は,24時間365日,高度500kmの上空から地球観測(リモートセンシング)を続ける同社開発の超小型人工衛星「ほどよし1号機」が撮影したもの

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