塩が描く渦
(カヴィール砂漠,イラン)
カヴィール砂漠は,イラン高原北部の4,000〜5,000m級の山脈に囲まれた盆地に広がっている。砂漠をつくっているのは大部分が塩分を含む泥で,乾燥した気候ゆえに結晶化した塩が広大な平原を覆う。時折起こる砂嵐が渦巻状の独特な模様をつくる。塩の結晶が光を反射させ,類を見ない色調を醸し出しているのだ。今は写真に青く見える湖や沼も,猛烈な砂嵐が起これば一瞬にして覆われてしまうはかない運命にある。植物も動物もほとんど生息しておらず,延々と続く塩の砂漠を縦断するのは昔も今も困難である。地上からは見ることのできない,衛星写真ならではの光景である。