コンクリートのはつり工法
「コリジョンジェット®工法」
コンクリートのはつり深さを制御できるウォータージェット
コリジョンジェット(衝突噴流)工法は、ウォータージェットを二つのノズルから噴射・衝突させることによって、はつり深さを制御できる、コンクリートのはつり工法です。
ただ、コンクリートをはつるだけでなく、鉄筋を残し鉄筋背面に付着したコンクリートも完全に除去することができます。
特許登録済
(社)日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所の「ウォータージェットはつり性能評価」の試験に合格
- キーワード
- 構造物とりこわし、撤去、はつり、はつり深さの制御、ウォータージェット、衝突噴流、ノズル
コリジョンジェット工法の特長
二つのノズルから噴射されたウォータージェットを衝突させると、衝突後は水流が拡散し、破壊エネルギーは急激に減少します。この原理を応用し衝突位置を調整することによって、はつり深さを制御することができます。
コリジョンジェット工法は、二つのノズルを傾斜旋回させることで衝突位置を調整し、他の工法よりも高い精度ではつり深さを制御することができます。さらに、鉄筋を傷つけることなく、鉄筋裏側に付着したコンクリートも完全に除去することができます。
特長・メリットココがポイント
品質の向上
健全な既設躯体や鉄筋に損傷を与えることなく、所定の深さまで、はつることが可能となるため、品質が向上します。
- 健全な既設躯体にマイクロクラックが発生しません
- 鉄筋を傷つけません
- 付着性能が向上します
施工性・安全性の向上
施工を機械化・遠隔操作していることより、施工効率および安全性が向上します。
- 作業員の技量に左右されません
- 工程短縮が期待できます
- 作業の安全性が向上します
周辺環境への影響が低下
ウォータージェットの採用により、周辺環境への影響低下が期待できます。
- 振動が発生しません
- 粉塵が発生しません
適用実績
阪神本線春日野道改良
場所:兵庫県神戸市
竣工年:2003年6月
発注者:阪神電気鉄道
規模:施工量268m2 はつり深さ20~588mm
学会論文発表実績
- 「衝突噴流によるコンクリートはつり深さの制御」,鹿島建設技術研究所年報第49号,2001年
- 「高圧噴流による地下トンネル拡幅工事」,建設機械,2005年4月
トンネル覆工コンクリート剥落防止工法
「NAV工法」
覆工コンクリート表面の状態が見えるシート接着工法
劣化したトンネル覆工コンクリートの剥落防止としては、覆工表面に繊維シートを接着する工法が一般的に適用されています。この工法はコンクリート片の剥落防止には有効ですが、ひび割れ状況の変化など対策後の覆工表面の目視観察ができなくなるため、対策工の効果を継続して確認できないという課題がありました。
NAV(Nylon Acrylics Visible)工法は、ナイロンクロスにアクリル系樹脂接着剤を塗布含浸させることによって透明度の高いFRPを覆工表面に形成する新しい剥落防止工法です。対策後においても覆工表面のひび割れ状況を目視観察することができるため、対策工の効果を継続して確認し、追加対策工の必要性を判断することが可能となります。
特許登録済
NETIS KT-100023-A
- キーワード
- 覆工コンクリート、剥落防止、可視化、繊維シート工、ナイロンクロス、アクリル系樹脂接着剤
NAV工法の基本構造
NAV工法では、指定の材料を適切に使用することにより透明度の高いFRPを形成します。基本構造は一般的な繊維シート工法と同じであるため、特殊な施工手順や施工機械を必要としません。特徴として、樹脂の硬化を待たずに次工程に進むことができるアクリル系樹脂接着剤を使用するので、エポキシ系樹脂接着剤を使用する一般的な繊維シート工法に比べて工程短縮を図ることができます。
特長・メリットココがポイント
可視性の実現
- ナイロンクロスとアクリル系樹脂接着剤の組み合わせにより、従来の工法にない透明性を実現します。
- 覆工表面の可視性は長期間にわたって持続するので、ひび割れ等の変状を経過観察することができます。
施工性の向上
- ナイロンクロスは柔軟で施工面の凹凸に容易に追従するので、施工性が向上します。
- アクリル系樹脂接着剤は速硬化性があるので、施工時間の短縮が可能で、交通規制等の時間制約のある条件での施工に有利です。
- アクリル系樹脂接着剤は低温環境でも硬化するため、寒冷期の施工に適用することができます。
耐荷性能の確保
- 押抜き試験ならびに接着性試験を実施し、剥落防止に必要な耐荷力を確認しました。
- 独自の大型試験体による押抜き試験を実施し、その耐荷力と高い変位追従性を確認しました。
本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。
マジカルグラウト®工法
施工性に優れたトンネル覆工背面の空洞充填工法
従来の背面充填にはエアモルタルなどが用いられていましたが、空洞以外の箇所に逸走したり、施工中にコンクリートのひび割れからリークしたりと施工性や品質に問題がありました。
マジカルグラウト工法は、エア混入タイプのマジカルグラウトAと非混入のマジカルグラウトBを用意しており、用途や施工箇所に応じた使い分けが可能となっています。
両材料とも可塑性グラウトであるため、空洞内の限定注入に適しており、リークの少ない計画どおりの注入を提供します。可塑材は打設位置の直前で添加され、1.5 ショットで施工を行います。状況に応じて、坑外型あるいは車載型いずれにも対応可能です。
- キーワード
- トンネル、覆工、空洞充填、可塑性グラウト、エア混入
マジカルグラウトの特徴
逸走防止性
可塑材を添加することで、主材は液状から可塑状を呈し、空洞以外の箇所に材料が逸走することを防止します。
リーク防止性
可塑性であることは、地山の亀裂やコンクリートのひび割れをつたって漏れてくる材料のリークを大幅に軽減します。リークは一度起こると止めるのが困難であるため、マジカルグラウト工法を用いて最初から防止しておくのが得策といえます。
水中不分離性
注入直後早期にゲル化を呈するため、水中での高い不分離性を示します。すなわち、湧水や地下水によるたまり水があるような箇所での適用が可能となります。
マジカルグラウトA、マジカルグラウトBの特徴・施工方法
マジカルグラウトA(エア混入タイプ)の特徴
- 軽量であるため覆工への負荷が軽減
- エア混入により使用材料が少なくて済む
- 生コン練りのため作業性が良く、施工スピードが速い
マジカルグラウトB(エア非混入タイプ)の特徴
- 汎用的な機械で施工でき、小規模工事から対応できる
- 強度など物性のバラツキが少ない
- 長距離圧送も可能
- 低強度~高強度の注入が可能
適用実績
都市計画道路環状2号線森支線街路整備
場所:神奈川県横浜市
竣工年:2004年3月
発注者:横浜市
施工延長:140m
本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。
学会論文発表実績
- 「強度の高い空洞充てん材料」,日経コンストラクション,2月27日号,2004年
トンネル内巻き補強
「マジカルボード®工法」
軽量薄肉パネルを用いた高強度・高じん性な埋設型枠
本工法は、高強度・高じん性の埋設型枠である『マジカルボ-ド』を用いたトンネルの薄肉の内巻き補強工法です。マジカルボードは、繊維強化セメント板とアラミド繊維メッシュの積層構造からなる複合部材で、軽量かつ圧縮・引張・曲げ強度に優れています。マジカルボードと既設覆工コンクリートの間には、無収縮の高強度モルタルを充填し、マジカルボードとモルタルと覆工が一体化した薄肉の補強層を形成します。
- キーワード
- リニューアル、内巻き補強、トンネル
施工方法
①アンカーボルト設置
墨出し位置にあわせて覆工にアンカーボルトを設置します。マジカルボードと覆工との離隔が大きい場合は、継ぎナットでボルトを延長します。
②マジカルボード設置
脱落防止機能がついた専用のナットを用いてマジカルボードをアンカーボルトに設置します。ボードの継手部には樹脂接着剤を塗布します。
③無収縮の高強度モルタル充填
マジカルボードに設けた注入孔より無収縮の高強度モルタルを圧入します。1回の注入高さは2m程度とします。
特長・メリットココがポイント
主要材料の仕様
マジカルボードの仕様
- 標準寸法60×90cm、重さ20kg/枚程度
- 圧縮強度80N/mm2以上
- 引張強度10N/mm2以上
- 曲げ強度35N/mm2以上
無収縮の高強度モルタルの仕様
- 圧縮強度65N/mm2以上
- 引張強度3N/mm2以上
優れた施工性
- 補強部材を薄肉化しており、建築限界に大きな余裕のないトンネルの補強にも適用可能です。
- マジカルボードは人力で設置できるので、大型機械を必要とせず、狭隘な環境下でも施工が可能です。
- 補強巻厚が一定でないような変状トンネルに対して、変状度合いに応じて断面厚を変えることができます。
- 覆工に後施工のアンカーボルトを設置してボードを固定するため、大型の支保工は必要とせず、片側車線ずつなど部分施工ができます。
- 高強度の埋設型枠を使用しているため、ボードを固定するアンカーボルトの本数を少なく、現場作業時間が短時間で施工できます。
高い補強耐力
- マジカルボードと無収縮の高強度モルタルによる厚さ約10cmの薄肉補強層で、設計強度18N/mm2、厚さ20cmの既設覆工と同等の補強耐力が得られます。
適用実績
北陸自動車道 風波トンネル
場所:新潟県糸魚川市
竣工年:2008年1月
発注者:東日本高速道路
規模:覆工内内巻補強工(マジカルボード)24.0m
学会論文発表実績
- 「高強度埋設型枠を用いたトンネル内巻補強工法の開発」,第12回岩の力学国内シンポジウム&第29回西日本岩盤工学シンポジウム,2008年
- 「トンネル内巻工法の開発」,北陸地方建設事業推進協議会,平成20年度建設技術報告会,2008年