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浸透性吸水防止材
「マジカルリペラー®

コンクリートの耐久性を向上させる表面含浸工法

コンクリート構造物は、海岸地域では飛来塩分による塩害、寒冷地域では凍結融解の繰り返し作用による凍害など、環境条件や使用条件によっては早期に劣化が進行します。これらの劣化にはコンクリートに浸透する水が影響しているため、水の浸透を防止することによって劣化の進行を大幅に抑制することができます。

マジカルリペラーは、コンクリート表面にシリコーン樹脂の吸水防止層を形成して、コンクリート内部への水や劣化因子の浸透を防止する材料です。塩害・凍害・アルカリ骨材反応などの劣化進行を遅らせて、コンクリート構造物の耐久性を向上させます。新設構造物の予防保全対策及び補修した構造物の再劣化防止対策のいずれにも適用することができます。

マジカルリペラーはクリーム状であるためコンクリート表面への付着性が良好であり、鉛直面や天井面にも容易に塗布することができます。

2021年コンクリート工学会賞 技術賞
特許登録済

図版:マジカルリペラー

マジカルリペラー

キーワード
コンクリート構造物、浸透性吸水防止材、表面含浸材、耐久性向上、予防保全、劣化防止、塩害、凍害、アルカリ骨材反応

施工方法

マジカルリペラーは、コンクリート表面に塗布するだけで吸水防止効果を発揮します。施工条件として、コンクリートの表面水分率は5%程度が目安であり、塗布・養生中の外気温は0℃以上であることが必要です。コンクリート表面に付着した汚れを落とす程度(新設構造物では型枠剥離剤を除去する程度)の簡単な下地処理を行った後に、ローラー刷毛またはエアレススプレーを用いて塗布します。マジカルリペラーはペースト状の材料であるため、塗布の際に飛散や液ダレが生じにくく、1回の塗布作業で所定の使用量を付着させることができます。塗布後1日程度は、水に濡れない状態で養生を行います。

図版:ローラー刷毛による施工状況

ローラー刷毛による施工状況

図版:エアレススプレーによる施工状況

エアレススプレーによる施工状況

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特長・メリットココがポイント

優れた吸水防止効果

マジカルリペラーを塗布することで、コンクリート表面に水滴を通さない吸水防止層を形成します。

  • 表面から数mm程度まで含浸して吸水防止層を形成するため、長期間にわたる吸水防止効果の持続が期待できます。
  • 吸水防止層はコンクリートと化学的に結合するため、塗膜のような浮き・剥離を生じることがありません。

図版:コンクリート表面付近の吸水防止層

コンクリート表面付近の吸水防止層

コンクリートの耐久性を向上

マジカルリペラーを塗布するだけで、コンクリート構造物の耐久性が向上します。

  • 外部から水滴や塩化物イオンの浸透を防止するので、塩害環境においても内部鉄筋の腐食を防止します。
  • コンクリート内部の水分を水蒸気の形で外部へ発散させるため、凍害やアルカリ骨材反応の進行抑制が期待できます。

図版:吸水防止層のイメージ

吸水防止層のイメージ

コンクリートの質感を維持

コンクリートに含浸させたマジカルリペラーは無色透明となるため、コンクリートの質感を変化させません。

  • 施工後にコンクリート表面の状態を目視確認できるので、点検や追跡調査などに支障しません。

図版:塗布後のコンクリート表面

塗布後のコンクリート表面

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適用実績

図版:新東名高速道路 引佐地区はく落対策

新東名高速道路 引佐地区はく落対策

場所:静岡県浜松市

竣工年:2012年2月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 42,197m2

図版:新東名高速道路 富士東はく落対策

新東名高速道路 富士東はく落対策

場所:静岡県富士市

竣工年:2012年4月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 18,810m2

図版:新東名高速道路 掛川地区はく落対策

新東名高速道路 掛川地区はく落対策

場所:静岡県島田市、掛川市、磐田市

竣工年:2012年5月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 96,485m2

本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。

学会論文発表実績

  • 「シラン・シロキサン系撥水材の開発」,コンクリート工学年次論文集,Vol.22,No.1,2000年
  • 「シラン・シロキサン系撥水材の塗布方向に関する一実験」,コンクリート工学年次論文集,Vol.23,No.1,2001年
  • 「シラン・シロキサン系浸透性吸水防止材によるコンクリートの耐久性向上に関する検討」,コンクリート工学年次論文集,Vol.24,No.1,2002年
  • 「浸透性吸水防止材を塗布したコンクリート海洋環境暴露試験」,土木学会,第57回年次学術講演会論文集Ⅴ,2002年9月

ECC
(ECCショット®、ECCクリート®

優れた変形追従性・ひび割れ分散性を有する
高靭性セメント複合材料

ECCとは、セメント、水、砂などのモルタル材料を、高強度の有機系繊維で補強した材料です。先端の力学モデルに基づいた配合設計を行うことで、従来の補修材料にないひび割れ分散性能及び高い引張・曲げ変形性能を実現した材料です。

「ECCショット」は湿式吹付け方式用として開発された材料で、「ECCクリート」はバイオ系の高性能増粘剤を使用することで流動性を大きく改善し、準自己充てん性(土木学会指針:自己充てん性ランク3)を有する材料です。

特許登録済

図版:ECCの優れた変形性能

ECCの優れた変形性能

図版:ECCの優れたひび割れ分散性能

ECCの優れたひび割れ分散性能

キーワード
ECCショット、ECCクリート、吹付け、補修、補強

施工手順・採用工事

「ECCショット」は、現場で製造した材料(ECC)を、スクイズ式のモルタルポンプにて、吹付けノズル先端まで圧送し、 圧搾空気により対象構造物に吹付ける湿式吹付け方式により施工します。「ECCクリート」は、レディミクストコンクリート工場で製造する場所打ちコンクリート、プレキャスト工場で製造するプレキャスト部材と、補修・補強用途などの小規模施工を対象とし、現場で練混ぜが可能なプレミックス材料があり、用途に応じて選ぶことができます。

なお、「ECCショット」および「ECCクリート」は、コンクリート構造物の断面修復、ダム、トンネルなど各種構造物の補修・補強などに多数の施工実績があります。

図版:ECCショット吹付けシステム

ECCショット吹付けシステム

図版:ECC製造プラント

ECC製造プラント

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特長・メリットココがポイント

優れた変形性能

一般的な補修材料は、初期ひび割れが発生した直後に破断してしまいますが、本材料は、ECC特有の多数の微細ひび割れ(ひび割れ幅0.2mm 以下)を発生し、優れた変形性能(引張ひずみで0.2%以上)を示します。

図版:引張性能

引張性能

極めて高い耐久性

ECCクリートは極めて高い耐凍害性を実現し、水中凍結水中融解による促進試験でも全く劣化の傾向がありません。促進試験では、試験期間中の水和による組織の緻密化が劣化を上回り、試験後には試験開始時よりも高い相対動弾性係数を示しました。

図版:耐久性能(凍結融解抵抗性試験)

耐久性能(凍結融解抵抗性試験)

適用実績

図版:上越線越後川口・小千谷間天王トンネル(中越地震災害復旧工事)

上越線越後川口・小千谷間天王トンネル
(中越地震災害復旧工事)

場所:新潟県北魚沼郡

竣工年:2004年12月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:ECCショット施工範囲500m2

本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。

学会論文発表実績

  • 「高靭性セメント複合材料を用いたトンネル補強工法の実大載荷試験」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「高靭性セメント複合材料を用いたトンネル補修技術 ─中越地震で被災したトンネル補修工事への適用─」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「高靱性セメント複合材料を用いたトンネル補強工法に関する研究」,トンネル工学報告集,Vol.15,2005年
  • 「高靱性セメント複合材料で上面増厚した鋼床版箱桁橋の実橋載荷試験」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「下面増厚材料の力学的特性および耐久性に関する基礎試験」,コンクリート工学年次論文集,Vol.24,No.1,2002年

アクリル樹脂系高性能ひび割れ注入材
「マジカルクイックボンド®

低温・湿潤などの施工条件に対応できるひび割れ注入材

コンクリートのひび割れ注入材としては、エポキシ樹脂系材料が汎用的に適用されていますが、低温条件や湿潤条件においては硬化遅延や硬化不良など品質上の問題が生じる可能性があります。

アクリル樹脂系材料であるマジカルクイックボンドは、エポキシ樹脂系材料に比べて低温環境や湿潤環境における接着性能を大幅に改善しました。

マジカルクイックボンドは、樹脂系材料に含有されていることが多い環境ホルモン物質と疑われる物質を含有していないなど、人体への影響が少ない材料です。

図版:マジカルクイックボンドA液、B液

マジカルクイックボンドA液、B液

キーワード
コンクリート構造物、ひび割れ注入、耐久性向上、アクリル樹脂系、硬質、軟質、低温、湿潤

適用方法

マジカルクイックボンドは、適用箇所により次の二種類から材料を選択することができます。

  • 硬質系注入材「マジカルクイックボンド」
    汎用的に使用されている注入材と同様の硬質材料です。ひび割れからの劣化因子の浸入を遮断するとともに応力の伝達を行うことができるため、橋梁上部工などに適用します。
  • 軟質系注入材「マジカルクイックボンドE」
    変形性能に優れた軟質材料です。注入後に季節の温度変化によりひび割れ幅が大きく変動する場合に適用します。マジカルクイックボンドEは実験上200%以上の伸び能力を有する軟質材料であるため、ひび割れ幅の変動に追従して注入部周辺のコンクリートに損傷を与えることがありません。ただし、その変形性能から応力伝達は期待できないので、ひび割れからの劣化因子の浸入遮断のみを目的とするマスコンクリートやトンネル二次覆工などに適用可能です。

図版:接着強さ試験の結果(JIS A 6024:標準条件)

接着強さ試験の結果(JIS A 6024:標準条件)

図版:引張試験における変形性状(マジカルクイックボンドE)

引張試験における変形性状(マジカルクイックボンドE)

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特長・メリットココがポイント

初期硬化性及び低温硬化性に優れる

アクリル樹脂系材料であるため、従来のエポキシ樹脂系材料に比べて初期硬化性に優れ、注入時にひび割れに沿って施すシーリング材を早期に撤去することができます。初期硬化性は低温時においても発揮するため、寒冷地の冬季施工においても適用することができます。

図版:初期硬化性(JIS A 6024)

初期硬化性(JIS A 6024)

湿潤面での接着が可能

従来のエポキシ樹脂系材料では困難であった湿潤面においても、優れた接着性能を発揮します。

図版:湿潤時の接着強さ(JIS A 6024:湿潤時)

湿潤時の接着強さ(JIS A 6024:湿潤時)

取り扱いが容易で作業効率が向上

主剤と硬化剤の混合比は1:1が基本ですが、エポキシ樹脂系材料とは硬化機構が異なるため、主剤と硬化剤の混合比が多少ずれていても硬化不良が生じません。

図版:主剤/硬化剤の混合比と接着強度の関係

主剤/硬化剤の混合比と接着強度の関係

適用実績

図版:リニューアル

マジカルクイックボンドは、2010年~2012年の実績として約2100mのひび割れ注入に適用されています。

学会論文発表実績

  • 「伸縮性に優れたひび割れ注入材の性能検討」,コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム論文報告集,第2巻,2002年
  • 「アクリル樹脂系軟質ひび割れ注入材」,日本構造物診断技術協会,第15回技術・研究発表会,2003年10月

小型犠牲陽極材
「ガルバーシールドF」

鉄筋のマクロセル腐食を防止する薄型の犠牲陽極材

中性化や塩害により劣化したコンクリート構造物では、劣化部を除去しモルタル材料などで所定の断面形状まで修復する断面修復工法が適用されます。しかし、断面修復工法により補修された部位では、マクロセル腐食と呼ばれる鉄筋腐食が進行し、補修後の早い段階で再び劣化するケースが数多く確認されています。「ガルバーシールドF」は、この再劣化の原因であるマクロセル腐食を抑制することを目的に開発した小型犠牲陽極材です。電気防食工法の技術を応用しており、鉄筋に接続するだけで鉄筋の防食効果を発揮します。

図版:ガルバーシールドFの外観

ガルバーシールドFの外観

キーワード
コンクリート構造物、犠牲陽極材、鉄筋腐食、防食、マクロセル、耐久性向上、塩害、中性化

再劣化のメカニズム

断面修復工法により補修された構造物の既設コンクリート部分と補修部分では、塩化物イオン濃度、pH、水分量や酸素供給量などの鉄筋を取り巻く環境が異なります。このため、既設コンクリート部分の電位が相対的に低くなり、既設コンクリート部分を腐食部(アノード部)、補修部分を防食部(カソード部)とする腐食回路が形成されます。このように、腐食部と防食部が明確に分けられる腐食形態をマクロセル腐食と呼び、腐食速度が速いことが特徴です。

図版:再劣化のメカニズム

再劣化のメカニズム

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特長・メリットココがポイント

鉄筋に接続するだけで防食回路を形成

ガルバーシールドFは亜鉛を特殊なモルタル材料で包み込んだ構造であり、亜鉛と鉄のイオン化傾向の違いを利用して防食回路を形成するため、外部電源などの大掛りな設備の必要がなく、鉄筋に接続するだけで鉄筋を腐食(再劣化)から守ります。

図版:防食回路のイメージ

防食回路のイメージ

小型形状で設置作業が容易

厚さ13mmと薄型・小型形状のため、取扱い易く、設置作業が容易であり、構造物のかぶり部分など、厚みの少ない場所でも設置が可能です。

図版:設置イメージと防食のメカニズム

設置イメージと防食のメカニズム

優れた防食効果

ガルバーシールドFは、一般的な条件での使用において、半径60㎝の防食範囲を有し、犠牲陽極材として約10年間の防食効果を発揮します。

図版:ガルバーシールドFの防食効果(鉄筋腐食促進試験)

ガルバーシールドFの防食効果(鉄筋腐食促進試験)

適用実績

図版:桟橋設備の補修

桟橋設備の補修

場所:千葉県袖ケ浦市

施工年:2005年

発注者:富士石油

コンクリート剥落防止用繊維
「バルチップPW・Jr」

ポリプロピレン製短繊維のコンクリートの剥落防止用繊維

近年、コンクリート構造物において、第三者に対する安全性の確保が強く望まれるようになり、施工性および経済性に優れたコンクリートの剥落防止技術が求められています。

バルチップPW・Jrはポリプロピレン製の短繊維であり、連糸状に連なった繊維が、アジテータ車の高速攪拌により単糸に分かれ、コンクリート中に均一に分散します。そのため、コンクリートの体積比0.05vol%以上というごく少量の混入率で十分な剥落防止性能を発揮します。また、コンクリートのフレッシュ性状、施工性および強度特性にほとんど影響を与えません。

※バルチップは萩原工業株式会社の登録商標です。

図版:ポリプロピレン繊維(バルチップPW・Jr;密度0.91g/cm³)

ポリプロピレン繊維(バルチップPW・Jr;密度0.91g/cm3

キーワード
繊維補強コンクリート、剥落防止、トンネル覆工コンクリート、橋梁上部コンクリート

使用方法

一般のレディーミクストコンクリート工場で製造したコンクリートに、現場にて繊維を投入します。バルチップPW・Jrは、軽量で扱いやすいため、繊維投入に伴う煩雑な作業を軽減できます。繊維投入の際には、特殊な機械を必要とせず、アジテータ車を高速撹拌させることで、繊維は一様に分散します。

図版:アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

図版:アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

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特長・メリットココがポイント

優れた剥落防止性能を確認

剥落防止性能確認のため、静的破砕剤を膨張させ、さらにかぶり部に打撃を加えてコンクリートの剥落状況を観察しました。

  • バルチップPW・Jrを混入の場合600回の打撃でもかぶり部は剥落しません。

図版:剥落防止性能(かぶり部打撃試験)

剥落防止性能(かぶり部打撃試験)

通常コンクリートとほぼ同等の施工性

  • バルチップPW・Jrは、分散性に優れ、吸水しない繊維であるため、混入によるスランプへの影響はほとんどありません。
  • 空気量、ブリーディング量などのフレッシュ性状は,バルチップPW・Jrを混入しない配合とほぼ同等であり、ポンプ施工も可能です。
  • 締固め、こて仕上げなどの施工性についても、通常のコンクリートとほぼ同等です。

図版:フレッシュ性状試験結果

フレッシュ性状試験結果

適用実績

図版:吾妻線岩島・長野原間付替第二吾妻川B

吾妻線岩島・長野原間 付替第二吾妻川B

場所:群馬県吾妻郡

竣工年:2010年2月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:7,600m3

図版:中央線西国分寺・国立駅間高架橋

中央線西国分寺・国立駅間 高架橋

場所:東京都国立市

竣工年:2009年1月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:5,780m3

図版:平成20-22年度 中畑トンネル

中畑トンネル

場所:愛媛県宇和島市

竣工年:2010年8月

発注者:国土交通省四国地方整備局

規模:1,020m3

学会論文発表実績

  • 「ポリプロピレン繊維の形状がコンクリートの靱性改善効果に及ぼす影響」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.55,2000年
  • 「剥落防止を目的とした繊維補強コンクリートの実橋への適用性検討」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.56,2001年
  • 「剥落防止を目的とした有機系繊維補強コンクリートに関する研究」,コンクリート工学年次論文集,Vol.23,No.1,2001年

リニューアル技術 インデックス

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