可塑状グラウトによる地盤注入工法
地盤中の空隙、間隙を効率的に充填注入する技術
近年、地震発生時の災害復旧対応、BCPの観点から岸壁の耐震補強工事が多く進められています。ほとんどの場合、護岸背面の埋立て地盤は地震時に液状化すると判定され、この部分は溶液型の薬液注入工法、あるいはセメントミルクを用いた高圧噴射撹拌工法による地盤改良が実施されます。しかしながら、護岸ケーソン直下の基礎捨石層や背面の裏込栗石層は間隙が大きいため、この層を通じて薬液やセメントミルクが海へ流出し、pHの上昇や汚濁などが発生することが懸念されます。これを防止するために、あらかじめ間隙の大きな層に充填注入し、流出経路を閉塞する材料が「可塑状グラウト」です。

可塑状グラウトの充填注入箇所例
- キーワード
- 捨石、栗石、間隙充填、空隙充填、流出防止、海域汚染防止、液状化、地盤改良、地震、耐震、補強
特徴
2種類の流動性のある材料(A液:主材=流動性グラウト、B液:可塑剤)を混合することで可塑状グラウトとします。A液、B液の初期状態ではそれぞれ液体状ですが、A液、B液を混合すると10秒前後の時間でゲル化して可塑状固結状態となります。
可塑状とは、自重変形による流動性を失っているものの、外力によって若干圧力を加えることで容易に変形しうる状態(可塑状固結状態)のことをいいます。可塑状グラウトは、この可塑状固結状態を長時間(10~30分以上)保持できる注入材です。注入材は、大きな地盤空隙に注入した後にも流出せず、計画した限定的な範囲に留まり、良好に充塡されます。

流動性グラウトの例(セメントミルク。自重で流れてしまう)

可塑状グラウトの例(自重による流動性が失われているが、加圧により圧送可能)

流動性グラウトと可塑剤の混合確認状況

可塑状固結状態となったグラウト
特長・メリットココがポイント
空隙が大きい地盤への確実な注入
従来技術では注入が難しかった間隙が大きい護岸ケーソン直下の基礎捨石層や背面の裏込栗石層にも、流出させることなく注入材を注入できます。また、水中不分離性を有しているので、注入中の注入材分離による改良地盤の品質低下や環境負荷の増大といった懸念がありません。

水中の礫への限定注入イメージ
適用実績

大阪港北港南地区岸壁改良
場所:大阪府大阪市
竣工年:2011年3月
発注者:国土交通省近畿地方整備局
目的:一般港湾の液状化対策、薬液注入材の流出対策

八戸LNGターミナル
場所:青森県八戸市
発注者:日揮プラントソリューション
目的:SMW連続壁造成時のソイルセメント流出対策
学会論文発表実績
- 「耐震性向上を目的とした岸壁背面の地盤改良(その2) ─可塑性グラウトによる遮蔽壁築造工─」,地盤工学会,第47回地盤工学研究発表会,2012年
- 「既設構造物の耐震補強、液状化対策を目的とした地盤改良技術」,平成23年度中国地方建設技術開発交流会,2011年