既設岸壁の耐震補強工法
可塑状グラウトとジェットクリート、杭による
ケーソン式岸壁補強工法
港湾施設等の荷揚岸壁は、通常時は資機材などの荷揚げに使用しますが、災害時においては緊急資機材の搬入拠点としての機能も担う重要設備です。
ケーソン式岸壁は、ケーソンと背面の裏込栗石で構成されていますが、大地震時にはケーソンの変状(沈下または海側への移動)やケーソン背面地盤の地盤変状などが生じ、その機能を喪失することが懸念されます。
このため、ケーソン式岸壁の耐震性向上を目的として、ケーソン背面土の地盤改良(可塑状グラウトとジェットクリートの組合せ)およびケーソンへの補強杭による補強工法を愛媛県の岸壁に採用しました。

施工状況

ケーソン式岸壁補強工法 標準断面図
- キーワード
- 岸壁、ケーソン、耐震性向上、地盤改良、補強杭
施工ステップ
- 1. 高圧噴射撹拌工施工時の海域への固化材などの流出防止を目的に可塑状グラウトで遮蔽壁を造成します。
- 2. ケーソン背面土を対象に高圧噴射撹拌工による地盤改良(ジェットクリート工法)を行います。
- 3. 既設ケーソンと補強杭を一体化し、ケーソンに作用する外力の補強杭への伝達を目的とした高強度可塑状グラウトをケーソン隔壁内に注入します。
- 4. 既設ケーソンを貫通する補強杭を施工します(オールケーシング工法)。

施工手順図

特長・メリットココがポイント
本工法は、以下に示す3つの技術で成立しています。
1. 可塑状グラウトによる巨礫の空隙充填、改良材の海域への流出防止
可塑性グラウトは、シールドトンネルの裏込め材やトンネル空洞充填材などに活用されてきました。しかしながら、地下水位以下の巨礫地盤中の空隙充填への適用事例が少ないため、室内試験と現場施工試験により目標品質を確認した結果、良好な充填状況が確認できました。また、地盤改良材(ジェットクリート工)の海域への流出防止として、遮蔽壁の機能も果たしています。

可塑状グラウト充填後コアの一例
2. ジェットクリート工による巨礫を含む地盤改良
ケーソン背面土は巨礫を含む地盤(最大粒径700mm)であり、通常の地盤改良が困難でした。このため、現場施工試験により改良出来形、改良品質を確認しました。その結果、未改良部はなく、巨礫を含む地盤でも良好に改良できることを確認しています。

改良体ボーリングコアの一例
3. ケーソン隔室内グラウト工と補強杭の施工
ケーソン隔室内は中詰栗石が詰まっていて、補強杭施工のための削孔時、孔壁が崩壊して中詰栗石の緩み(ジャ-ミング)が生じ、ケーソンの変位が懸念されました。これに加えて、ケーソンと補強杭を一体化しケーソンに作用する外力を補強杭に伝達させることが必要です。このため、グラウト充填により孔壁崩壊を防止して施工中のケーソンの変位を抑制するとともに、ケーソンと補強杭を確実に一体化させました。