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再生可能エネルギー

陸上風力

多数の実績に基づき、効果的な設計・施工を行います

風のエネルギーを利用する風力発電は、他の再生可能エネルギーと比べて高い設備利用率での電源供給が可能な発電方法として有望視されています。また今後は、陸上だけにとどまらず、洋上への大規模導入も期待されています。

風力発電所の建設には、風況が良好な適地選定から始まり、効率的な風車配置や発電量予測、環境影響調査などの事前検討の段階から、建設地点の条件に応じた設計や施工を経て、運転開始に至るまでに様々な諸検討が必要となります。

鹿島では、30年を超える実績を踏まえて、すべての段階において最適なサービスを提供致します。

串木野れいめい風力発電所

串木野れいめい風力発電所

キーワード

風力発電、風車、再生可能エネルギー、陸上風力、洋上風力、温室効果ガス
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適地選定(風況調査)・風況シミュレーション

風力発電所の建設を計画する際、まず風力発電所設置に適した土地を選定することが重要な要素の一つです。

風力発電に適した土地の条件には風車輸送のしやすさ、民家との距離が離れているなど様々なものがありますが、中でも最も重要な条件は平均風速が大きいことです。風力発電の発電量は風速の3乗に比例して大きくなるので、わずかな風速の差でも大きな発電量の差となります。そのため、事前に正確な風況(特定の場所における平均風速、瞬間最大風速、風向等、風の状態や性質のこと)を把握することは、風力発電所建設計画において最も重要です。鹿島は現地での風況調査や専用シミュレーションソフトを用いた発電量予測など、事業計画の初期段階からお客様のニーズにお応えします。

風況観測と風況予測(発電量予測)

風況観測

風力発電の導入検討を行う段階で、実際に現地に高さ30~60mの風況観測塔を設置し、風速や風向等の測定を最低でも1年間以上行います。ここでは高い観測精度が求められるため、最近では高さ50m以上の観測塔を設置するのが主流です。鹿島は、風況観測塔の設置に必要な許認可取得から設置工事、設置後のデータ記録・解析まで、一連の風況調査に対応します。

風況予測(発電量予測)

風力発電での事業計画を立てるにあたっては、今後どのくらいの発電量が見込めるか予測をする必要があります。風況観測で実際に測定した風況を用いて発電量予測を行いますが、事業予定地は山岳部などの急峻で複雑な地形や、沿岸部などの平坦な地形など様々なものがあり、単純に計算をすることはできません。それぞれの地形に最適な風況予測技術を用いることによって、より正確な事業計画の立案が可能となります。

図版:風況観測塔

風況観測塔

使用するシミュレーションプログラム

風況解析や発電量予測の検討に用いるシミュレーションプログラムには以下のようなものがあります。

各種検討に用いるシミュレーションプログラム

図版:各種検討に用いるシミュレーションプログラム

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WAsP

WAsPは、風況観測値、地形条件、地表粗度および風車発電特性などの入力条件に基づき、任意の地点における風況や風力エネルギー賦存量、発電量を予測するシミュレーションプログラムで、風力発電用のプログラムとしては、世界的に最も普及しているものです。

図版:実行画面例(WAsP)

実行画面例(WAsP)

MASCOT

MASCOTは、WAsP同様の機能を持つプログラムです。日本特有の条件(山岳地形による影響が大きい場合など)においても、高い精度で風況や発電量の予測が可能です。

図版:実行画面例(MASCOT)

実行画面例(MASCOT)

WindFarmer

WindFarmerは、風力発電所の総合的な設計プログラムであり、発電量予測以外にも、風車の最適配置やシャドウフリッカー解析、騒音解析、景観評価、送変電設備設計などが可能で、世界的に広く利用されている信頼性の高いプログラムです。

※風車稼働時に回転するブレード(羽)が太陽光を遮ることによって生じる影のちらつき

図版:実行画面例(WindFarmer)

実行画面例(WindFarmer)

図版:シャドウフリッカー例

シャドウフリッカー例

図版:景観シミュレーション例

景観シミュレーション例

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ウインドファーム計画

風力発電所を計画する際には、発電に適した風況の良い場所であることの他に、自然条件・地形条件・輸送条件・法的な制約など、様々な条件を考慮する必要があります。

その中でも、風力発電所建設において考慮しなければいけない特徴的な条件が、輸送条件です。

風車はいくつかの部品に分けられた状態で工場から建設サイト最寄りの港まで海上輸送されますが、港から建設サイトまでは輸送用の車を使って牽引し、陸上輸送します。

タワーやブレードは高さも長さもある上にとても重いため、一般道を使って輸送する際には道路標識や歩道橋にぶつからないようにしたり、古い橋などを通らないようにしたりする必要があります。このように、事前の輸送道路調査・選定は風力発電所建設においてとても重要です。鹿島では過去の多くの経験から、風力発電所建設の可否判断、適切な輸送ルート選定を行います。

図版:ブレードの陸路輸送

ブレードの陸路輸送

図版:ブレードの陸路輸送

ブレードの陸路輸送

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地形条件

風車は風の吹く場所に計画されるため、例えば山の尾根沿いに計画されることが多くあります。そのため山岳地域では、風車組立に必要な敷地や一般道路から風車計画地までの作業用道路を造成工事により確保する必要があります。

図版:山岳地域での風力発電所建設例(広川明神山風力発電所)

山岳地域での風力発電所建設例(広川明神山風力発電所)

自然条件

風力発電所の建設には、発電規模に応じ環境アセスメントの手続きが必要となります。自然環境に影響の少ない計画の立案が求められます。

法的な制約

風車を設置するためには敷地や輸送道路の造成による土地の改変が必要になります。それに伴い、自然公園法、森林法、農地法等様々な法律に従った計画を行う必要があります。

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支持物(基礎)の許認可申請

風車を計画するためには、計画位置における風の力と地震の力を計算し、これらを考慮した上で地盤条件に合った基礎を建設する必要があります。

以前は風力発電機の部分が経済産業省、タワー・基礎部分が国土交通省の管轄で審査を行っていましたが、 2014年4月からはタワー・基礎の審査も経済産業省の管轄内となり、構造強度・電気設備に係る基準等についての審査手続きが簡略化されました。

鹿島では簡略化される以前から20件以上の案件に対応しており、地質調査の段階から審査完了まで総合的に対応していくことが可能です。

設計手法

地域、地形に応じた風荷重と地域条件、地盤条件に応じた地震荷重を算出し安全性・経済性を満たすタワー・基礎の設計を行います。設計手法は、土木学会から出版されている【風力発電設備支持物構造設計指針・同解説】に従い行います。

審査

直接基礎や杭基礎のように標準的な風車については各地方にある産業保安監督部(産業保安監督所)にて審査されます。液状化が疑われる地盤や地盤改良が必要な基礎については経済産業省にて審査方法が判断され、有識者による審査が行われる場合もあります。

図版:地震動応答解析の検討例①(入力地震動の加速度応答スペクトル)

地震動応答解析の検討例①(入力地震動の加速度応答スペクトル)

図版:地震動応答解析の検討例②(振動解析モデル)

地震動応答解析の検討例②
(振動解析モデル)

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コンクリートタワーの設計技術

風力発電所建設の際には、(海上輸送された)風車部材を最寄りの港から建設サイトまで陸上輸送しますが、近年の急速な風車の大型化にともなって輸送する部材も大きくなっており、特に風車タワーは山間部での道路拡幅やトンネル等の高さ制限が大きな課題となっています。

本技術を用いて、建設サイトでコンクリート製の風車タワーを構築することで、陸上輸送の課題をクリアすることができます。またコンクリート製タワーは耐久性や耐腐食性にも優れ、設計の自由度も高いために、タワー高さを高くすることで、発電量の増加も見込めます。

さらに、近い将来既存風車の建て替え需要が見込まれますが、コンクリートと鋼製を合わせたハイブリッドタワーの技術を用いれば、既存風車基礎の撤去が不要となる基礎増打ち工法も実現可能です。

鹿島は新潟県旧名立町にある日本で唯一のコンクリートタワー風車において、設計・監理を行った実績があります。

図版:うみてらす名立風力発電所

うみてらす名立風力発電所

特長

  • 輸送路の地形改変を最小限に抑えることができる。
  • 耐久性、剛性、輸送性、耐腐食性などに優れている。
  • ハブ高さを自由に設定できる。
  • 風車の大型化への対応が可能
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風力発電所の施工フロー

風力発電所を建設する際の、施工フローをご紹介します。

①アクセス道路・敷地造成

②風車基礎工

③風車部材海上輸送・水切り

④風車部材陸上輸送

⑤クレーン組立・タワー据付

⑥ナセル据付

⑦ローター据付※

⑧試運転調整・使用前自主検査

図版:風車の構成

風車の構成

※ハブをナセルに取り付けた後に、ブレード(翼)を1枚ずつ設置する「一本付け」と呼ばれる方法もあります。

①アクセス道路・敷地造成

風車建設サイトは山岳地にある場合も多いので、まず周辺を造成し、風車を運搬する台車やクレーンでアクセスするための道路を作ります。

また風車位置で、クレーンを配置し、風車を組み立てるための組立用地を確保します。

図版:アクセス道路の造成

アクセス道路の造成

図版:アクセス道路の造成

アクセス道路の造成

図版:風車組立用地の確保

風車組立用地の確保

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②風車基礎工

風車を支持する基礎を構築します。

基礎には、コンクリート基礎の荷重で風車を支持する直接基礎と、地中の支持層まで杭を打つ杭基礎の大きく分けて2種類があります。

タワーとの接合部であるアンカーボルトやアンカーリングと一緒に、基礎を構築します。

図版:基礎杭打設

基礎杭打設

図版:基礎杭打設完了時

基礎杭打設完了時

図版:タワーとの接合部

タワーとの接合部

③風車部材海上輸送・水切り

風車部材については、国内外の工場で作られたものを海上輸送します。そして建設サイト付近の港で、クレーンを使って船から降ろします。この作業を水切りと言います。

図版:ブレードの海上輸送

ブレードの海上輸送

図版:タワーの水切り

タワーの水切り

図版:水切り後、港で仮置き

水切り後、港で仮置き

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④風車部材陸上輸送

水切りした風車部材を建設サイトまで陸上輸送します。

図版:発電機の陸上輸送

発電機の陸上輸送

図版:タワーの陸上輸送

タワーの陸上輸送

図版:ブレードの陸上輸送(夜間)

ブレードの陸上輸送(夜間)

⑤クレーン組立・タワー据付

基礎近傍に配置した大型クレーンを使って、タワーを据付けていきます。

図版:クレーンの設置

クレーンの設置

図版:基礎上へのタワーの吊込み

基礎上へのタワーの吊込み

図版:タワーの建起し

タワーの建起し

図版:全タワー部材の据付完了

全タワー部材の据付完了

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⑥ナセル据付

発電機などが収められたナセルをタワー上部に設置します。

図版:分割ナセル

分割ナセル

図版:分割ナセル

分割ナセル

⑦ローター据付

地上でハブとブレードを組み合わせてローターを組み立てます。(ローター地組)

地組みしたローターをナセルに取り付ければ、風車の据付完了です。

図版:ローターヘッドへブレードの取付

ローターヘッドへブレードの取付

図版:組み立てたローターの上架(3枚同時上架)

組み立てたローターの上架
(3枚同時上架)

図版:ローターヘッドへブレードの取付

ローターヘッドへブレードの取付

図版:※ブレードの上架状況(1本付の場合

※ブレードの上架状況(1本付の場合

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⑧試運転調整・使用前自主検査

すべての部材を据付けた後、タワー内電気工事と風車試運転調整を行い、使用前自主検査、安全管理審査を経て風力発電所が完成します。

図版:使用前自主検査

使用前自主検査

図版:風車据付完了

風車据付完了

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