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洋上風力
鹿島が培ってきた
海洋工事技術と陸上風力での経験を融合します
風力エネルギーは、世界的に再生可能エネルギーの主役となっています。ヨーロッパではすでに洋上風力発電が普及しており、日本でも長い海岸線を活かした洋上風力発電への期待が高まっています。
洋上風力発電は陸上に比べて風速が高い上に安定しているため、より多く発電することができます。また、風車部材を陸上運搬する必要がないため、大型風車の導入も可能です。さらに、周辺への騒音や景観などの影響を小さくすることが可能です。
ただし、洋上における工事の難易度は非常に高いものになります。
鹿島は、これまで沖合空港や洋上備蓄基地等、数多くの海洋工事を行ってきました。今まで培った海洋工事に対する技術と、陸上風力発電での経験を融合し、今後日本においても本格化していく洋上風力発電の導入に対して、積極的に取り組んでまいります。
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キーワード
- 再生可能エネルギー、洋上風力発電、着床式
国内初の沖合着床式洋上風力発電所建設工事
2013年1月、千葉県銚子沖3.1kmの海上に、日本で初めての着床式洋上風力発電設備が完成しました。
この設備は、台風や地震に加えて、日本の厳しい海象条件に適用できる洋上風力発電技術確立を目的とした独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による実証研究で、当社は、洋上風車本体(施工)、風況観測タワー本体(設計・製作・施工)の建設および、基礎構造の研究開発と設計・施工を担当しました。
銚子沖洋上風力発電設備の建設についてご紹介します。
- 工事名:
- NEDO洋上風力発電システム建設工事
- 発注者:
- 東京電力
- 工期:
- 2010年12月~2013年1月
- 設計者:
- 鹿島、小堀鐸二研究所、三菱重工業
- 施工者:
- 鹿島
- 工事場所:
- 千葉県銚子沖合3.1km地点
基礎形式の選定
洋上風力発電設備は、建設地点の水深によって「着床式」と「浮体式」の2つの基礎構造が選定されます。日本においては、まず着床式基礎が成立する水深域での導入が行われ、その後に浮体式へ展開していくことが予想されます。
着床式基礎においては、海底地盤や水深の条件等によって様々な基礎構造が提案されています。
銚子沖の風力発電設備では、建設地点の海底地盤が岩盤であることから、プレストレストコンクリート(PC)構造の重力式基礎を採用しました。
基礎の輸送・据付
銚子沖は常に大きな波やうねりが発生する日本有数の海難所であることが知られており、非常に厳しい施工条件下にあることが想定されました。このため、建設地点での施工時間の短縮を図る目的で、事前に製作した基礎を建設地点まで海上輸送し、据え付けることにしました。基礎は中空のケーソン構造とし、さらに基礎を半潜水状態にして浮力を作用させることで、起重機船による海上輸送時の負荷を低減する工夫を行いました。
基礎の構築は、基礎に浮力を作用させるために、沈下・浮上が可能なフローティングドック(FD)上で実施しました。また、FDを使用することで占有が難しい港湾内の作業ヤードを使うことなく、長期間製作場所を確保するメリットも生まれています。
基礎の海上輸送と据付には、船体中央部側舷に艤装した櫓フレームを用いて基礎を配置することで、波浪による基礎の動揺を可能な限り小さくして、迅速な海上輸送と精度の高い据付を行うことができました。
風車の据付
風車の据付には、2隻のSEP(Self Elevating Platform)という自己昇降式の作業台船を用いました。これにより、海象条件を排除した安定した足場を確保して、作業を行うことができます。
本工事では、SEPを用いるメリットを最大限に生かすために、乗降デッキを艤装した専用アクセスを傭船し、欧州の油田プラットホームなどで用いられている人員移動用バスケットを用いることで、作業時、海象状況によってSEPに乗船できない状況を極力排除する等、様々な工夫を行いました。