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鹿島は旧本社ビル2棟を2008年に解体しましたが、さらに環境性能向上と短工期化を図り、今回100mを超える超高層ビル「りそな・マルハビル」(東京都千代田区大手町)の解体工事へ鹿島カットアンドダウン工法®を適用しています。
今回の解体工事では、粉じん飛散量や騒音の伝搬、景観など、環境への影響を高精度の解析評価を実施し、最適な仮設計画にするとともに、逆位相の音で騒音を低減させるアクティブノイズコントロールや粉塵を効果的に抑える「マイクロECミスト」など新技術の試験適用も行っています。また超短工期化により建替期間の短縮化も図っています。
工事期間中、超高層ビルが“だるまおとし”のように小さくなっていく様子を定点写真でご紹介します。
工事現況
2013年1月30日に最終ジャッキダウンを無事完了しました。
サイクル初回から1フロア3日サイクルで予定通りに解体を進め、高さ108mのビルの1階から24階まで、延べ124回のジャッキダウンを約3か月で行いました。
12月15日から1月12日までのカットアンドダウン解体状況です
解体工事は順調に進んでおり、2013年1月17日現在、建物高さは29mで、当初高さ108mからは79mのゲインです。
また、当初 27,000トンあった建物重量は5,870トンとなりました。
3日サイクルでワンフロアを順調に解体中!
予定通り1フロア3日サイクルで順調に解体中です。
2012年12月12日現在、高さ66.73m、当初高さ108mからは41.27mのゲインです。
環境対策トピックス
粉じん飛散量測定結果
通常の散水に加え、仮囲いの工夫やマイクロECミストの導入により、敷地外への粉じん飛散を抑制しました。敷地内では0.05~0.6 mg/m3でしたが、敷地境界で測定した粉じん濃度は0.03~0.05 mg/m3となり、大気中の浮遊粒子状物質(SPM)の濃度※(=0.04 mg/m3)とほぼ一致する結果となりました。
騒音測定結果
建物上部での騒音を無くし、敷地境界線上に6.8~13.2mの防音パネルを設置することにより在来工法に対して地上~高層の各エリアで騒音を低減しました。解体中のりそな・マルハビルの最上階における騒音測定結果を基にした解析により、 隣接するビルの高さ100m地点における解体騒音は、在来工法と比較して最大で35dB低減できることを確認しました。
CO2発生抑制効果
重機の稼働台数・燃料消費および電力消費などを実測した結果、施工段階のCO2排出量は、従来工法に対して18%削減できたことが分かりました。主な理由は、地上での効率的な解体により、重機台数が削減されたこと、タワークレーンや工事用エレベータ等が不要なため電力消費量が削減されたことなどです。8.5%程度のCO2削減との予測値に対し、これを大きく上回る削減が出来た結果となりました。
気流シミュレーション&マイクロECミストによる粉じん対策
広域の街区を再現した気流シミュレーションを用いて、精度の高い粉じん対策の評価を実施。
地上の仮囲い形状を最適化し、最大49%の粉じん飛散量低減効果があることを確認しています。
新たに開発したマイクロECミストを試験的に導入し、更なる粉じん飛散量の低減を図っています。マイクロECミストは、マイナス帯電させたミストによる粉じん吸着技術です。静電気の力により、これまで難しいとされてきた浮遊粉じんを洗い落す事が可能になり、通常のミスト散水と比較して2倍以上の洗い落し性能を実現しています。
アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)による
重機騒音低減とは
解体用重機の排気口周りに「アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)」を試験的に装着しています。ANCは騒音に対して逆位相音を発生することで低周波音域の騒音を減音させます。聴覚的にも低周波音独特の不快感を大幅に低減できることを確認しています。
定点写真アルバム※サムネールにカーソルをあててご覧ください
現場情報
工事概要
- 工事名称
- :りそな・マルハビル地上解体工事
- 工事場所
- :東京都千代田区大手町1-1-2
- 発注者
- :三菱地所株式会社・JXホールディングス株式会社
- 監修者
- :株式会社三菱地所設計
- 施工者
- :りそな・マルハビル地上解体工事共同企業体
(鹿島建設株式会社・株式会社NIPPO) - 工期
- :2012年4月2日~2013年1月31日