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育む

豊かな緑地環境を育み,
次世代につなげる

住民参加型の環境学習イベント

2020年に開業した新たな国際ビジネス拠点「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」(東京都港区)は,首都を象徴する大都会にありながら,浜離宮恩賜庭園,旧芝離宮恩賜庭園などの歴史文化と融合した豊かな自然環境に隣接。東京湾やお台場の緑地とのつながりが期待される竹芝ふ頭などの水辺環境に近接し,都心部では希少な自然環境に囲まれている。

この立地特性を活かし,建物を特徴付ける2~6階のスキップテラスを中心に,「空・蜂・水田・菜園・香・水・島・雨」からなる「竹芝新八景」をテーマにイベントを開催。地域の住民や在勤者に向けた環境教育,地域交流,情報発信を行っている。運営には緑地環境の施工,管理を担当したかたばみが携わり,イベントを通じて都市の生物多様性の保全にも取り組んでいる。

図版:5月「水田」での田植え

5月「水田」での田植え

図版:6月「蜂」の巣箱見学会

6月「蜂」の巣箱見学会

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図版:11月「雨」水を利用したこけ玉制作ワークショップの様子

11月「雨」水を利用したこけ玉制作ワークショップの様子

東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー

  • 発注者:アルベログランデ
  • 設計:鹿島・久米設計工事監理業務共同企業体
  • ランドスケープ設計:プレイスメディア,
    ランドスケープデザイン
  • 施工:当社東京建築支店
  • ランドスケープ施工・管理・運営:かたばみ興業

グループ連携を活かした維持管理
ホタルが棲むビオトープ

初夏の夜に水辺を舞うホタルの光は,日本の里山の魅力的な風景のひとつ。ホタルは成長段階に応じて異なる環境で過ごすため,多様な環境が豊かに維持されている場所にしか棲みつけない。言い換えれば,ホタルはさまざまな里山の生物を育む環境の象徴となる。

熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場「エコアくまもと」(熊本県玉名郡南関町)には,敷地内の既存ため池を活かした「ホタルビオトープ」を中心とする環境教育基盤が併設されている。廃棄物処理施設は,一定規模以上の面積を必要とすることから自然豊かな農村や中山間地に設置されることが多く,そのため施設本来の機能である廃棄物処理および資源循環に加えて,自然環境保全も重視して設計,建設,運営される。同施設は施工を当社九州支店JV,外構デザインをLD,維持管理を当社グループ会社の鹿島環境エンジニアリング(KEE)が担い,ホタルが棲むビオトープの実現を技研が技術開発でサポートした。ビオトープは施設見学に訪れた小学生が生き物に触れ合う場として,また処分場施設内で働く人々の息抜きや憩いの場としても活用されている。

ビオトープをきっかけに,地域との新たなつながりも生まれた。地元自治体では以前からホタルの保全活動が行われていたが,近年の大雨の影響などで同町のホタルは減少傾向にあり,懸念した住民らがエコアくまもとと当社に相談を持ち掛けた。そして,小学校の授業で技研の技術を用いたホタル飼育が2019年に開始。子どもたちが地域の里山環境を保全していく担い手となり,地域全体の環境保全につながっていくことを期待している。

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図版:エコアくまもとのホタルビオトープではエビ釣りやメダカの観察なども楽しめる

エコアくまもとのホタルビオトープでは
エビ釣りやメダカの観察なども楽しめる

図版

技研が独自開発した,ゲンジボタルの幼虫と餌となるカワニナの飼育装置を囲む,南関町立南関第二小学校の児童たち。技研はこのほか2つの新技術を開発し,ホタルが棲むビオトープの実現を支えている
(写真提供:熊本日日新聞社)

熊本県公共関与
産業廃棄物管理型最終処分場
エコアくまもと

  • 発注者:熊本県環境整備事業団
  • 設計:鹿島・池田・興亜・岩下特定建設工事共同企業体
  • ランドスケープ設計:ランドスケープデザイン
  • 施工:当社九州支店JV
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公園の価値を高める

公園は市民の生活に潤いを与える一方,維持管理にかかる費用が財政負担になっていたり,思うように活用されていなかったりするケースがあり,自治体の悩みの種ともなっていた。こういった社会背景を受け,近年では公民連携の一種として公園管理とその活性化を民間企業が担う事例が増えている。

2017年4月に東京23区で初めて区内多数の公園・児童遊園に指定管理を導入した東京都港区では,かたばみが初年度から6年連続で,港区赤坂地区公園・児童遊園の指定管理者代表企業として14ヵ所の維持管理・運営を行っている。管理運営の基本方針として「利用促進」「にぎわい創出」「魅力向上」を掲げ,適切な管理とともにイベント開催やウェブサイト,SNSでの情報発信を行い,公園を通じて地域全体の価値向上を支える。同社はこのほかにも,「目白庭園」(東京都豊島区)などの指定管理に携わっている。

図版:港区赤坂地区公園・児童遊園指定管理

港区赤坂地区公園・児童遊園指定管理

当社グループはさらに,民間資金を導入し,公園再編に民間企業が携わるPark-PFI制度*3へも積極的に取り組んでいる。「いろは親水公園」(埼玉県志木市)では,飲食店舗の設置および公園施設の一部の設計・監理・整備を行うPark-PFI事業と,公園全体の管理運営を併せて行う事業者の公募プロポーザルが2021年5月に実施され,かたばみが代表を務める計5社のコンソーシアムが事業者として選定された。雄大な河川の合流地点である立地の特徴と,宿場の余韻を感じる歴史的・文化的要素を活かした魅力的な空間演出を提案し,実施に当たりアドバイザーとしてLDとAEを含む3団体が加わったチーム体制を構築。今年8月の供用開始に向けて整備を進めている。

*3 Park-PFI:民間事業者の資金を活用して収益施設を設置し,得られた収益の一部を公園の整備などへ還元することを条件に,事業者には都市公園法の特例措置が適用されるとした新しい公民連携の手法。2017年の都市公園法の改正に伴って新たに制定された

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図版:いろは親水公園整備・管理運営事業のイメージ図

いろは親水公園整備・管理運営事業のイメージ図

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社員でつくる「赤坂農園」

2019年春,当社KIビル(東京都港区)の屋上に,40m2の小さな農園,「赤坂農園」が開園した。当社・グループ会社の社員を中心に,春夏秋冬の4期の作付け・収穫を行っている。現在,賛同・支援するメンバーは220名に上り,野菜づくりを介して部署や世代の垣根を越えたコミュニケーションの場が生まれている。

図版:春季に栽培するリーフレタスは太鼓判の瑞々しさと味の濃さ 

春季に栽培するリーフレタスは太鼓判の瑞々しさと味の濃さ 

図版:秋季,見事なサイズの桜島大根を収穫

秋季,見事なサイズの桜島大根を収穫

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