前震が発生した4月14日(木)21時26分直後から,
当社は本社および九州支店(福岡市博多区)に震災対策本部を設置し,
現地対策本部の熊本営業所(熊本市中央区)を拠点に震災対策活動を開始した。
全社一丸となり応急復旧対応にあたった2週間をまとめた。
4月14日(木)21時26分 前震 地震発生(マグニチュード6.5)
- 地震発生直後,本社および九州支店に震災対策本部,熊本営業所に現地対策本部を設置。震災対策活動が開始される
- 協力会社に支援を要請,作業員・物資の確保に着手
- 22時30分,施工中現場の無事を確認
- 23時15分,熊本県下に居住する社員本人・家族全員の無事を確認
- 九州旅客鉄道(JR九州)から九州新幹線脱線に伴う支援要請を受ける
4月15日(金)
- 日本建設業連合会(日建連)九州支部から要請を受け,同支部に社員を派遣
- 当社既施工物件等の被災状況調査を行う
- 休日や夜間の余震に備え,社員が営業所に泊まり込む等の警戒態勢を取る
4月16日(土)1時25分 本震 地震発生(マグニチュード7.3)
- 前震同様に,再び施工中現場と社員・家族の無事を確認
- 九州支店より現地に支援物資を運搬(以降,定期的に輸送)
- 西日本高速道路(NEXCO西日本)から日建連を通じ九州自動車道復旧工事の対応要請を受ける
- 当社既施工物件や支援要請のあった建築物の被災状況調査と応急復旧対応を開始(約70件)
4月18日(月)
- 押味社長他役員が九州支店に入り,震災対策を検討(テレビ会議で熊本営業所や本社も参加)
- 当社既施工物件や支援要請のあった建築物の被災状況調査と応急復旧対応が本格化(以降,継続対応)
- 復旧工事データベースで物件別の対応情報を共有
- 復旧活動支援のため,本社・九州支店から現地へ技術者派遣(以降,順次派遣)
- 関西・中国・四国支店から現地に復旧活動に必要な支援物資を運搬
- 一部避難所に飲料水などの支援物資を届ける
4月19日(火)
- テレビ会議による本社・支店・営業所・現場間の対策会議を開始(以降,5月9日まで毎日開催)
- 阿蘇地区への復旧支援活動について,大分県側からの対応を開始
4月20日(水)
- 復旧活動の本格化に伴い,社員・作業員の活動拠点となる新たな宿舎を準備(全22ヵ所)
4月24日(日)
- 本社建築設計本部から構造調査の社員を派遣
4月25日(月)
- 本社土木管理本部・技術研究所から阿蘇大橋地区地滑り調査の社員を派遣
4月27日(水)
- 九州新幹線全線復旧(23日,当社担当の九州新幹線脱線車両の撤去完了)
4月29日(金)
- 九州自動車道全線復旧(27日,当社担当の熊本インターチェンジ料金所撤去完了)
~GW中,建築物件を中心に応急復旧工事対応
GW明けからは,全国の支店から応援社員が多数熊本へ着任し,本格復旧工事が始まる
被災地支援のために義援金募る
当社とグループ会社の社員で活動する任意団体「鹿島ボランティアネットワーク:KVネット」は,前震発生翌日の4月15日よりイントラネットを通じ,鹿島グループ役員・社員へ熊本地震による災害への義援金を募集した。CSRの観点から,本社総務部・広報室も,従業員の自主的な社会貢献活動を支援。義援金協力の周知をサポートした。集まった義援金は,熊本県とあしなが育英会に贈呈された。この他,九州支店が支店内で募った義援金を九州経済連合会へ届けている。
JR九州より感謝状を拝受
当社が担当した九州新幹線脱線車両の撤去作業等の活動が,九州新幹線全線開通に多大なる貢献を果たしたとし,九州旅客鉄道(JR九州)の青柳俊彦社長から当社九州支店に感謝状が贈られた。
6月16日,JR九州の古賀徹志常務はじめ新幹線部関係者が当社九州支店を訪れ,河野九州支店長に感謝状を授与し,当初の厳しい作業を振り返り感謝の意を表し,熊本復興へ向けて,両者の協力体制を確認し合った。
熊本県玉名郡南関町に建つ公共関与産業廃棄物最終処分場「エコアくまもと」は,当社JVの設計・施工で,2015年10月に完成した。埋立容積42万2,349m3を有し,昨年12月から稼働している。
「これから本格的に産業廃棄物の受入れが始まろうとしていた矢先に今回の地震が起きました」と語るのは,施設を運営する熊本県環境整備事業団の中島克彦専務理事。自身も熊本市内で被災し,いつ来るかわからない地震の恐怖から眠れない日々を過ごした。
震源地から離れたこの施設に被害はなかった。多くの建物が損壊した熊本の街を見て「災害廃棄物の処理が間に合わない」と直感した。震災で発生したがれきなどの廃棄物は「一般廃棄物」に該当するため,一般廃棄物処分の届出を県に提出し,4月28日に受入れを開始。瓦を中心とする災害廃棄物は,多い日には1日にダンプ100台分以上となり,その量は約2ヵ月で1万tを超えた。「熊本の街を一日でも早く元通りにするため,職員一丸となって休日返上で受入れを続けています」。
現時点での熊本県の発表では,今回の地震で発生したがれきなどの災害廃棄物は195万tと推計されている。現在も解体できていない建物が多く,今後も大量の災害廃棄物が発生するとみられている。